加速する気持ち
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……私の気持ちは変わらないからね……?
大好きなユウスケへ☆
……ごめんね……。
怒ってるところもみたかったけど……我慢するね。
でもね。
ユウスケがどんなに怒っても……もし、嫌われたとしても……。
私の好きな気持ちは変わらないよ?
……たとえ嫌われたとしても、私はそっちに行くからね!!
あ……クエストの事だけど……。
最近はね、1日1クエストって決めてるの。
経験値効率の良いところが出るまで、そう決めてるんだ。
もしかすると、ユウスケが言ってたように、魔王城のそばが効率良いかもしれないし♪
私、平和のために頑張るよ♪
じゃあ、またね~☆
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「……」
僕はリノンの返事を見入っていた。
「……リノン……」
リノンの返事で、僕の募る気持ちは加速する。
僕だって……たとえ、リノンに嫌われたとしても……想いは変わらない。
なし崩し的に始まった交換日記だけど……まさかこんな気持ちになるとは、思いもしなかった……。
本当、最初に信じなくて……軽い気持ちで始めた僕を、今は殴ってやりたい。
リノンは……リノンの世界で、精一杯に使命を果たそうとしているのに……。
……いや、ちょっと天然入ってるけど……。
リノンは、リノンの物語を進めている。
どんどん成長して……クエストも消化して……魔王に近づく決意をしたみたいだ。
僕はどうだろう?
精一杯、リノンは自分の世界で物語を進めているのに……。
応援しかできないのだろうか?
やるせなさを感じながら、僕は眠りにつく。
・・・・・・
「ユウスケ……」
僕を呼ぶ声がする。
きっと、リノンだ。
「私ね……魔王倒したの」
そうか……もう倒したんだね……。
僕は言葉を聞き入る。
「今まで応援してくれて、ありがとう」
……うん……ずっと応援してたよ?
「だから、この交換日記は、もうおしまい。今までありがとう」
え? どういうこと?
僕は声を出そうとしても、声が出ない。
「ユウスケ、さよなら」
ま、待って! リノン、僕はリノンの事を……。
……切ない夢をみた。
何だろう……少し涙が出ている……。
もし、リノンが離れてしまったら……。
僕は急に悲しくなった。
・・・・・・
学校から帰り、僕は交換日記を綴る。
どんどん加速する気持ち……。今すぐにでも逢いたい気持ち……。
……もし、「さよなら」と言われた時……僕は……。
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気持ち、伝わったよ。
大好きなリノンへ。
……うん。
リノンの気持ち、伝わったよ?
僕も変わらないからね……。
……リノンにもし嫌われてたら、ストーカーになっちゃうかも(笑)
一日1クエストって、結構ハードじゃない??
え?
じゃあ、手下の城はもう攻略したの?
今どこなの??
もしかしてハイペースで進んでない??
ちなみに、今のレベルっていくつなの?
……聞いてばかりでごめん……。
ちょっと心配になっちゃったし、
そっちの世界の事も聞きたかったから……。
今度はこっちの世界の話しするね。
じゃあ、またね。
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……そうなるかも……。
もう、僕の気持ちだって、止まらないんだから……。
そして……リノンが、リノンの世界で魔王を倒したとき……。この交換日記をまだ続けてくれると言ってくれるだろうか?
もし……リノンの返事が途絶えたとしても……僕は書き続けるだろう。
そうして、僕は交換日記を閉じる。
僕の切ない気持ちも、のせてくれたかのように、優しい光りで応えてくれる。




