希望の光
僕は返事を期待しながら、家路につく。
家に着き、部屋で着替える。
リビングでくつろいでいると、夕飯の時間。
夕食をとり、風呂に入って、僕の部屋へ。
そう、何気ない日常の生活だけど、僕はソワソワしていた。
昨日の返事が気になるから……ちょっとボケてみたし。
落ち着かないまま、交換日記が光るのを待つ。
しばらくして交換日記が光り、リノンの返事が来たことを示す。
僕は待ってましたと、交換日記を手にして広げる。
「……」
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つまんない……。
大好きなユウスケへ☆
うん♪
もし、そっちに行ければ……って思って買ったドレスなの~☆
実は私も、見てほしいって、思ってるんだ……。
そっちに行く手段ないかなぁ……。
クエストだけど、長老?が、しびれ切らしちゃってた……(-ω-;)
ちゃちゃっと片付けて、今次の村にいるの。
でもね……ここ、経験値あまりよくなくて……。
つまんないから、さっさと次の街に行こうと思うの。
今度の街は、魔王の手下が立てた城がそばにあるんだって~。
ちょっと楽しみなの♪
使命、忘れてないよ?
……話半分だけどね(笑)
じゃあ、またね~☆
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日記のタイトルが目に付く。
「……つまんない……かぁ……」
僕はしょげた。
学校の事、全部スルーされた!?
「まぁ……リノンの冒険が進むなら、それでもいいけど……」
僕は、軽く……いや、結構ショックを受けた。
・・・・・・
翌日。
気を取り直して……。
僕は交換日記を綴る。
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その調子で魔王城まで行かない?
大好きなリノンへ。
ドレス、期待してるね!
僕もそっちに行く方法があるか調べてみるよ。
なんとなくね、この交換日記がここにあるから、もしかしたらどっちかの世界に、行く方法あるかもってね。
うん、どんどん進めなよ?
そしたら、経験値効率いいところあるかもしれないから。
もしかすると、魔王城のそばが良かったりしてね。
……学校の話、スルーしたね……。
せっかく考えたのに……。
こっちの世界には興味ないのかな……?
スルーすると、こっちの話しないよ?
じゃあ、またね!
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そう……この交換日記が、ここに存在している。リノンの世界の物……なのだろう。
だから、リノンの世界からこちらの世界に、物を移動する手段はあると考えられる。
僕は以前、リノンの事を「本の住人」というような、感覚でいたことがある。
けど、それは間違い。リノンはしっかりと、僕達の世界を「そっちの世界」と言っているからだ。
リノンには、僕達の世界を「異なる世界」……「異世界」との認識がある。
「でも……」
そうなると、この交換日記はリノンの世界と、僕の世界に二冊あることになる。僕の手元から、交換日記が消えたことが無いからだ。
魔法で物を複製している? それとも……。
「……深く考えるのはやめよう……」
いずれにしても、この交換日記が僕たちを逢わせる、キーになるに違いない。
望みは捨てたくない。もしかすると……リノンに逢えるかも知れない。
そんな希望をもって、僕は交換日記を閉じた。
ほのかに光り、リノンの元に伝わったことを告げる……もしかすると、この光は僕達にとって希望の光なのかも知れない。




