折れてしまったもの
リノンとの会話が楽しくなってくる。
リノンはいつも不意打ちのように、とんでもない事を書いてくる。
僕の予想を超えて……。
「今日はどんな内容だろう」
独りつぶやきながら、僕は交換日記が光るのを待つ。
……そろそろ勇者の自覚、持ってくれないかなぁ……。なんて言うんだろう……これではまるで……。
「リノンのお母さんみたい……」
彼女なのに……なんだか危なっかしくて、見てられない。でも……僕が出来るのは、交換日記に書く事だけ。
少し、歯がゆく感じる。
そうしていると、交換日記が優しく光る。
今日は……。
……ぱっと見て、予想外の展開に思わず……。
「……大丈夫か?」
つぶやいてしまった。
------
大変なの!!
ユウスケ、ユウスケ!!
大変なの!!!
ナイフが1本折れちゃったの……( ;∀;)
私の最初に買ったナイフか、ユウスケのアドバイスで買ったのか、分からないけど……。
大事な私のナイフがぁ……( ;∀;)
ショックで立ち直れないかも……。
ねぇ、ユウスケ……。
どうすればいいかなぁ……( ;∀;)
固いモンスターに、ナイフだと折れちゃうよ……。
もう折りたくないから、なにかアドバイスちょうだい……。
……せめて、夢だけは良いのが見たいなぁ……。
------
いやさぁ……今までの流れで、薄々感じてたけどさ……。
「……まだ、初期装備なの?」
思わず、口走る。
「はぁ……」
僕は思わずため息をつく。
いやね、だからね、そのね……。
ツッコむところが多すぎて……僕はもう何も言えなくなってしまった。
・・・・・・
一人の少女が泣いている……。
僕は、そっと肩に触れると、少女は顔を持ち上げる。
「泣かないで? 安心して?」
でも、少女は泣き止まない。
「ユウスケ……ごめんなさい……」
少女は、リノンのようだ。謝りながら、目に涙をためる。
「気にしないで……。大丈夫。リノンは強いから……」
そっと、僕はリノンの涙を手で拭う。
リノンは顔に元気が少しだけ戻った様子だった。
「ありがとう、ユウスケ……私、ユウスケの事……」
……。
目が覚めた。
・・・・・・
学校から帰り、僕はリノンの対策を考える。
きっと……いい装備はしないだろう……。それよりも……シルビィ大丈夫か? 魔王さん、うちの彼女が申し訳ございません……。
……なんだか、お詫びの言葉しか出てこない僕。
とりあえず、落ち着かせて……武器屋に行ってもらうしかないよな……。どこまで言うこと聞いてくれるかだけど……。
僕は、リノンをなだめるように、交換日記を綴る
------
ナイフがダメなら……。
大好きなリノンへ。
とりあえず、落ち落ち着いて!!
ナイフがダメなら、ナイフじゃないものを使えばいいんだよ?
その町に、針みたいな急所を突くような武器売ってない?
いくら固くても、急所を突ければ楽に倒せるはずだよ?
それに……そもそも、ナイフじゃなくて……。
……って、もう何言っても聞かなさそうだからいいか……。
とにかく、落ち着いて武器屋に行ってみてよ。
良いものがあるかもしれないからさ。
あまり落ち込まなくていいからさ……。
じゃあ、またね。
------
落ち込んでいるようだし……この交換日記で元気を出してほしい……。
その一心で綴った。
そして、僕はゆっくり、交換日記を閉じる。
交換日記はそれに応え、優しい光でリノンに届いたことを告げる。
「……なんか、ちょっと余計なことを書いた気も……」
ちょっとだけ嫌な予感が、僕の頭の中でよぎった。




