もしも願いが叶うなら……
僕は今日もそそくさと、家に帰る。
交換日記が楽しみで仕方がないからだ。
いつものように勉強を終えて、一休みしていると交換日記が優しく光る。
僕はゆっくりと交換日記を手に取り、広げる。
新しいリノンの言葉が綴られていた。
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私もカラオケ連れてって!
大好きなユウスケへ。
持ち金半分は噂に聞いたことがあるだけよ~(^_-)-☆
今のところ私はお世話になってないわ。
銀行あるわよ~。
私もお金は銀行に預けてるの~☆
今5万ゴールド預けてるよ~!
カラオケって、「歌う」ところなのね……(;´・ω・)
私、つい勘違いしちゃった☆
勇者だからかしら?
歌はあるよ~。
私、そっちの歌もあんまり得意じゃないけど……。
そっちの世界だとそんな遊び場があるんだね~。
もし、そっちに行けたら、一緒に歌お?
魔王……なんか、そんな感じもしてきたわ……。
港町のクエストも、住民がしびれ切らしちゃってたわ(*^▽^*)
じゃあ、またね~☆
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「……噂……なんだ……」
とりあえず、リノンが全滅してそういうところに、厄介になっていないことが知れて、少し安心した。
……弱いところでレベル上げまくってたからなぁ。当然かもしれない。
魔王は……倒すの使命じゃないの? と、ツッコみたくなる。
きっと……リノンは、レベル上げにハマって、ストーリーやイベントを軽くクリアするタイプ……。リノンはリノンの実世界で、そんな縛りプレイをしているのだろうか?
カラオケは……何とか伝わったみたい。
向こうの世界にも、普通の歌があって安心した。リノンは勇者脳になっているのだろうか? 変な間違え方をする。……って、本物の勇者だから、仕方ないのかも。
明日の返事を考えながら、僕は眠りについた。
・・・・・・
早いもので、こうして交換日記を続けてから、ちょうど2カ月が経とうとしていた。
今は10月半ば。そろそろ冷え込んでくる時期に差し掛かった。
まだコートはいらない。温暖化のせいだろうか?
ここ最近、暑い日が続いたりしていて、変な感じがする。
僕はいつものように、交換日記を取り出し、リノンに返事を綴る。
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連れていくよ!
大好きなリノンへ。
今のところやられてないんだね?
それ聞いて、安心したよ!
銀行に5万ゴールドかぁ……。
町にたどり着いた数から数えると、多くない?
いい装備買えばいいのに……。
カラオケはこちらの世界に来れたら、案内するね!
って、こっちの世界の歌、歌えるのかな?
まぁ、来れたらこっちで練習するといいよ。
港町……大丈夫?
ゆっくりめぐりすぎじゃない?
本格的に魔王が怒って、そっちに行くかもよ?
あまり待たせないようにね。
そして、早めに今のクエストも終わらせてね。
じゃあ、また!
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そう……リノンがこっちに来る……。夢では見てるけど、やっぱり現実味がない。本当に僕たちは逢えるのだろうか。
もし……来れたら、色々と案内してあげたい。
水族館やカラオケ……それに……それに……。
今後に若干の不安を抱きながら、僕はリノンが魔王を倒すことしか祈れないことに、歯がゆさを感じた。
交換日記を閉じると、僕の不安を和らげるかのように、ほのかに光った。




