表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/81

カラオケ

 夢を見るのも日課だろうか?

 今日もリノンの夢を見た……。素朴な談笑……でも、僕はそれだけでも幸せを感じた。


 目が覚めて、余韻に浸る僕。

 そういえば……リノンはもっと具体的な夢を見ていたなぁ……。

 どんな夢だろう? ……僕と実際に逢ったら、幻滅するんじゃないだろうか。そんな不安もよぎる。

 募らせすぎて、イメージ違うといわれたら……。


 寝ぼけ眼で朝食をとり、学校に向かう。

 いつものように、大樹と鉢合わせして。


 「試験も終わったなぁ……」

 「うん、そうだね」

 「なぁ、雄介?」

 「なに?

 「カラオケでも行かないか? 明日にでも」

 「お、良いね!」


 そうして、僕と大樹は明日の約束を取り付ける。

 これも……交換日記のネタになるかな……。


 ・・・・・・


 学校も終わり、いつもの日課になる。

 勉強を済ませて、一息ついていると交換日記があわく光る。


 僕はそっと手を伸ばし、交換日記を広げる。


 「……」


 目についたタイトル……。よかった……暫くはシルビィの事は書かない。そう心に誓う。



 ------

 シルビィの事書いたら、本破くからね(--〆)


 こんにちわ~☆

 ……やっぱり校長って、強いのね……。

 私たちでもそんなにすごくないわ……。


 こっちにも学校はあるけど、私は行ったことないの。

 主に魔法を勉強する子が行ってる感じなの。

 私から見ると、レベル上げれば魔法覚えるのに……って、思っちゃうんだけどね。

 なんか、それって特別みたい。


 シルビィもスキル身に着けるのに、ダンジョンで覚えてた感じだったわ。

 ……あ、シルビィの事考えたら、この本破くからね!?(--〆)


 町は今4つ目なの。

 新しいモンスターがいっぱい居て、はしゃいじゃった♪

 ここでしばらくレベル上げする予定なの。


 じゃあ、今夜も夢で逢いましょうね♪

 ------



 リノンの所にも、学校はあるみたい。だけど、リノンは行ってないみたいだな……。僕と同じ同級生になると、楽しそうなんだけど。

 どうも魔法学校らしい。やっぱり、こっちの世界で言うところの、異世界にリノンはいるようだ。

 ……じゃあ、初めに話ししてたおじいちゃんって……本気でボケてたのかもしれない……。

 大体のリノンの住む世界観が、見えてきたような気もする。


 そういえば……最初はゲームって疑ったよなぁ……。だって世界観が某RPGなんだもん……。

 けど、ヤキモチも妬かれ、交換日記の内容からも、一人の女の子……リノンは実在すると、確信できるようになってきた。

 ……そもそも……もう僕にはもう告白した時から、恋心が芽生えてるけど……。


 今日も良い夢が見られますように。

 そう願いながら、僕は眠りについた。


 ・・・・・・


 「雄介、今日の約束忘れてないだろうな?」


 帰ろうとする僕を、大樹が呼び止める。


 「あ、あぁ、わ、忘れてないよ?」

 「……最近の様子が変なのも含めて、全部話させてやる!!」


 大樹はそう言うと僕の肩に手をまわし、首をロックする。


 「い、痛い! 勘弁してくれ!!」

 「い・や・だ!」


 大樹が意地悪をする。

 とはいえ、彼女が出来たことについては、まだ伏せとこう。

 こっちの世界とは異なる、異世界の彼女なんて、信じられないだろう……。


 「じゃ、行くか!」

 「うん」


 大樹から解放され、僕たちはカラオケに向かった。


 「カラオケと言えば、ここだよな!」

 「うん、学校のそばだから、安くて良いよね」


 僕たちは、学校が終わってすぐ来たので、待ち時間なしで入店する。


 「雄介、得意のアレ、聞かせてくれ!」


 僕は最近ボカロの曲にハマっている。

 昔はマイナーだったと聞くけど、今では校内放送で放送部が流すほど人気になっている。

 僕はその一つ、持ち歌を披露する。

 採点ゲームで遊んでいるので、歌い終わった後結果が表示される。


 「92点? やっぱスゲーよ。この曲難しいだろ……」

 「いや、歌いこんでるから……」


 確かにボカロの曲は、機械に歌わせているので、なかなか表現が難しい。僕もこの曲を覚えるのに時間がかかった。


 「じゃあ、次俺ね」


 大樹はマイクをとり、JPOPを歌う。


 「くそぉ……82点かぁ……」

 「いや、この曲難しいから……」


 流行りの曲。でもかなり練習しないと、点数は伸びない。大樹自身も歌は上手い。けど、採点機能には嫌われているらしく、点数は思いのほか伸びない。


 「大樹の十八番おはこなら、90点狙えるんじゃない?」

 「簡単に言うなよ……」


 大樹は少ししょげながら、次の曲を選んでいた。


 ・・・・・・


 カラオケが終わり、僕は近くのゲームセンターが気になった。


 「僕、ここで1ゲームやっていきたいんだけど……」

 「あぁ、付き合うよ。あのゲームだろ? 俺は高くて手が出ないけどな……」


 大型筐体の対戦陣取りゲーム。出た当初は500円くらいが相場だったが、学生街ともあるのか、値段控えめ300円になっている。


 「じゃあ、見てて!!」


 僕は筐体に乗り込み、ドアを閉める。

 モニターで戦況が見えるので、大樹はそこで観戦するようだ。

 ネット対戦型なので、対戦者が決まるまで少しウエイトがある。

 マッチングが完了し、カウントダウン。


 「いくよ!!」


 カウント0と共に、僕はゲームを操作する。

 2分以内に、多く陣地を取ったほうが勝ち。

 自分のアバター……ロボットがやられても、待機時間を代償にして復活できる。


 「!?」


 相手の動きが良い!?

 一回目の撃沈メッセージ。瞬殺された……。


 「次!!」


 ……も、早かった。

 2分の間、僕はほぼ何もできないで、やられていた……。


 「雄介……相手が悪かったみたいだな……」

 「……」

 「ちょっとしたギャラリー出来てたんだけど、相手有名なプレーヤーらしいぞ」

 「そう……なの?」


 すっかり気を落としていた僕に、大樹は慰めの言葉をかける。

 意気消沈しながら、大樹と僕は家に帰った。


 ・・・・・・


 今日の対戦結果を受けて意気消沈気味だけど、僕は交換日記に手を伸ばす。

 ゲーセンとカラオケの事書いてみよう。


 ------

 カラオケ行ってきたよ!


 こんにちは!

 そういえば前に、僕がそっちの世界のこと聞きたいって言ったけど……。

 僕の話もしないとだよね。


 今日はゲーセンの対戦ゲームで負けました……。

 最近調子よかったんだけど……。


 あと、友達とカラオケ行ってきたよ!

 久しぶりに歌ったら、のどが痛くなっちゃって…。

 今はかすれ声だったりするんだ……。


 そっちでは歌ってどんな感じなの?

 リノンは歌ったりするの?


 町……4つ目でレベル30なの!?

 早く進めたほうが、経験値の効率も良いよ?


 じゃあ、またね!

 大好きなリノンへ。

 ------


 僕は今日の事を綴りつつ、半分はリノンの事について尋ねる形で書いた。

 そして、今日も良い夢が見られるように願いながら、交換日記を閉じる。

 それに応えてか、交換日記は優しく光る。


 ……そういえば……。カラオケって書いちゃったけど、通じるかな……。通じないだろうな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ