リノンの物語は進んでました
僕の気持ちにも、変化が出てきたのかもしれない。
3日連続……リノンの夢を見た。
なんだか、とっても幸せな夢だった。
目が覚めて、余韻に浸る。
……本当に……リノンとこうして、学校生活を送れる日が来るのだろうか。もし……来るののであれば……。
そんな願望が僕に芽生えつつあった。
・・・・・・
僕はいつものように勉強をしながら、交換日記の返信を待つ。だいたい、僕の勉強を見計らったかのように、交換日記は光る。
そのタイミングを見計らって、僕は勉強の区切りをつける時間を作っている。
ひと段落するのと同じタイミングで、交換日記はあわく光る。
僕はそっと手を伸ばして、新しいページに目を落とす。
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港町を出ました!
こんにちわ~☆
学校? 制服?
どんな感じなのかしら?
なんか、お互いに夢で逢ってるのね♪
なんだか嬉しな~☆
私たち、運命でつながってるのかなぁ……。
そうね、私の日常も話しするね♪
今はレベル30で、今日港町から出たところなの。
武器はナイフのままよ?
だって……ユウスケが最初にアドバイスして買ったものだもん☆
投げられなかったけど……今は2本ナイフで頑張ってる!
全部で6本のナイフだけど、いちいち手入れする手間省けて
便利なんだから♪
夜中に全部磨いてる感じだよ~。
この日記の前にね☆
じゃあまたね!
夢で逢いましょ☆
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「……レベル30で初期装備!?」
僕は、リノンのタフさに圧巻する。
そうなると、仲間の方の装備が心配になるけど……。また逆鱗に触れたら怖い。シルビィの心配は出来るだけ避けよう……。
今日も良い夢が見られるようにと願いながら、僕は眠りにつく。
・・・・・・
また、同じ夢を見た。
女の子と……多分リノンと制服姿で談笑している夢。
顔のイメージはできないけど……ぼんやりだけど……雰囲気でリノンとわかる。
人見知りと言うけれど、僕に対しては……僕のイメージなのだろうか? リノンは人見知りの雰囲気は感じられない。
僕と居るから? それとも、僕の作り出したリノンだから?
目が覚めて、また余韻に浸る。
・・・・・・
今度は僕の番。
僕は交換日記を広げる。
……そういえば、始業式の事……書いてみようかな。
悪戯心に火がついて、校長先生の話題を振ってみる。
校長先生には悪いけど、ちょっと大げさに。
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また校長が魔法使ったよ?
こんにちは。
そっちには学校が無いのかな?
いや、あるんだっけ?
こっちはね、みんな学校に行く仕組みになってるんだよ。
僕も夏休みが終わったから、今は学校に行っているんだ。
学校初めの校長挨拶では、体育館が暑くて15人倒れちゃったんだ。
それで少し問題になってたなぁ……。
リノンは港町を出たんだね?
もうレベル30になったの?
そうしたら、もう町も何か所か回ってきたの?
リノンが早く魔王を倒せることを祈るね。
……えっと……まだナイフだったんだ?
そろそろ変えないとつらくない?
それでは、またね!
大好きなリノンへ。
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まぁ……問題になったのは事実だし……。数は大げさすぎかな……実際は数人で、貧血持ちの子だけなんだけど。
リノンは学校知らないんだ……。もし、叶うなら一緒に行きたい。
それにしても……そろそろ、ナイフはいいと思うんだけど……。僕も大したアドバイスしてないつもりなんだけどなぁ。
なんだか、のろけ話聞いてた間に、結構進んでたみたいだな……。
少しずつ、リノンの世界を聞き出せて、僕は嬉しかった。
また……いい夢が見られますように。
そう願いながら、交換日記をそっと閉じる。それに答えたかのように、交換日記は優しい光で僕に応える。




