水族館
翌朝。
傷心旅行にならなかった、僕の旅は続く。
今日は、ホテルを出て水族館に行く。
ホテルのチェックアウトを済ませて、目的の水族館に向かう。
距離的には歩いて5分ほど。
何度か来たことがある水族館ではあるが、こうしてホテルを出て入るとなると、僕も少し成長した気持ちになる。
僕は……大好きな、ジンベイザメの大水槽の前に行く。
ここの大水槽は、いろんな魚が入っていて……サメとイワシも一緒に泳いでいる。
僕は、しばらく……というか、2時間くらいぼんやりと見入っていた。
「いつ見ても、優雅だよなぁ……」
ぼそっと、つぶやく。
「ねぇ、あのお兄ちゃん、ずっとこの水槽の前に居るね」
小さい子の無慈悲な言葉を浴びて、僕は何枚か写真を撮って、この場を去る。
そのあとは、一度フードコートで食事をとってから、水槽を散策した。
「……ちょっと一人だと寂しいなぁ」
もし、彼女とかと一緒に来ると、楽しいものなのだろうか?
僕は、リノンの事を考える。
告白したとは言え、本当に会えるのか……わからない。
でも、僕にとってはリノンが彼女だ。
「もし……写真だけでも、見せて上げれれば……」
そう願っても、きっと交換日記の向こう側には、届かない。
なんだか、すごく遠くの遠距離恋愛してる感じなのかな……。
出来るだけ、言葉で伝えられるようにしたい。
僕は水族館を堪能し、帰路についた。
・・・・・・
部屋に着き、今度は僕が書く番。
素直に……思ったことを書こう。
------
大好きなリノンへ
大好きなリノンへ。
返事くれて、ありがとう。
読んでて、僕も胸が熱くなりました。
リノンはどんな気持ちで書いてくれたんだろう……って。
僕も大好きだよ。
……女の子とこんな話しするのは初めてだから、あまり言葉が
思いつかなくてごめんなさい……。
でも、僕の気持ちが伝わると嬉しいです。
今日は水族館に行ってきました。
僕の好きなジンベイザメも見ることが出来ました。
写真とかがあると、見せたいけど……。
水族館はきれいなところです。
もし、可能なら、リノンと一緒に行きたいな……。
ダンジョンのことも教えてくれると嬉しいな。
また、返事を待ってます。
------
僕も、リノンの世界が知りたい。
だから、僕の世界をリノンにも出来るだけ、言葉で伝えたい。
僕の気持ち、届くだろうか?
交換日記をそっと閉じると、優しく語り掛けてくるように、光りを放った。




