表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/81

冒険の続きが知りたい

 今日も僕は急いで帰る。交換日記の住人・リノンと話をしたいからだ。

 急ぐ気持ちで、交換日記を開いてみたが、まだ新しいページは追加されていない。今までの事を考えると、寝る間際ぐらいに返ってくる。

 向こうも、一日を終えてから書いているのだろうか?

 ……いや、向こう……交換日記の世界では、どのように時間が流れているのだろうか? ちょっとした疑問を覚えつつも、僕は返事が来るのを待つ。


 季節的には、もうそろそろエアコンの冷房がいらなくなってきた。時々暑い日もあるけど……。

 少しずつ衣替えが進んでいくところだ。


 ぼんやり時を過ごしていると、交換日記はほのかに光り、交換日記の住人・リノンからの返事が届いたことを知らせる。

 僕は、そっと交換日記を手に取り、追加された内容に目をやる。


 ------

 私もお魚好き~☆


 こんにちわ~☆

 うん、そうそう!

 お魚、大好きなの!!

 ユウスケは焼き魚と煮魚どっちが好き?


 魔法、しっかり届いたから、ユウスケは実は偉大な魔法使いだったりして?


 そうそう、ユウスケの日記見て、村まで行ってみたの。

 一緒の子は、シルビィって言うんだけど、

 ちょっと厳しかったみたい。


 それでね、村の装備一式シルビィに買ってあげたの。

 そしたら、と~っても喜んでくれたよ♪


 ユウスケの言う通りにしたら、シルビィレベル8まで上がったの。

 びっくりしちゃった!

 私はまだレベル16だから、追いつかれないか心配…。


じゃあ、またね~☆

 ------


 「魚に食いついてきたか……」


 僕は、微笑みながら交換日記を読み解く。焼き魚と煮魚ねぇ……僕、水族館に行こうとしてるんだけど……。まぁ、刺身が好きかな?

 仲間は……シルビィって言うんだ。リノンみたいに無茶はさせてないみたい。無茶させてたら怒りたいところだけど……。

 僕のアドバイスも受け入れてくれたみたい。基本RPGは先勧めたほうが、レベル効率も良いから、交換日記の中でもそれは通用するみたい。


 僕は、知っているゲームの知識で答えれば、交換日記の世界でも通用することを知り、少し安心した。交換日記の世界では、どうなっているんだろう……。そう考えながら、僕は眠りについた。


 ・・・・・・


 すっかり、僕は交換日記にハマっていた。学校も足早に帰り、食事も風呂も済ませて、交換日記に没頭する。

 今日はどんなことを書こう……。なんだか増えた仲間の事が気になる。

 僕は筆をとり、交換日記にしたためる。

 とりあえず、魚の好みの料理方法も、書いて……。


 ------

 仲間はシルビィって言うんだね。


 こんにちは。

 魚……僕は刺身かな……。


 魔法使い……まぁ、自分に眠りの魔法をかけたりするのは、得意だけどね(笑)


 仲間になったの、シルビィって言うんだ?

 村の装備だと楽々じゃないかな?


 基準は分からないけど、シルビィがレベル10になったら、クエスト行ってみたらどうだろう?

 リノンは回復魔法使えるし、念のため回復薬も持っていくと、良いかも?

 クエストは洞窟だっけ?

 僕からすると楽しそうだけど、そうでもないのかな?


 じゃあ、またね!

 ------


 ……刺身、通じるかな……海外でも刺身って、あまり食べられないと聞いたこともある。相手は交換日記の住人。この世界では、刺身と言う言葉はあるのだろうか?

 言葉という魔法が届いたのは嬉しいけど、なんだか気恥ずかしい。だから、あえてあまり触れないようにしておく。


 僕はゲームを進めるようなアドバイスをしてみる。

 さすがに、いつまでも村に留まられても、話が見えてこない。僕はこの冒険の続きが知りたく、先に進めてほしい。


 そう願いながら、僕はゆっくりと交換日記を閉じる。

 交換日記はほのかに光り、交換日記の中の住人に届けられたことを告げる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ