僕の部屋にエアコンが付いた
僕はこの時間が、とても待ち遠しく感じるようになった。
勉強をしながら、交換日記が光るのを待つ。
僕にとっては勉強が日課なので、それほど苦ではない。
勉強を始めて幾時、交換日記がほのかに光りだす。
僕は交換日記をてにとり、新しく追加されたページに目をやる。
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一旦村を出ます!
こんにちわ~☆
休日って、よくわからないけど、宿楽しんでね!
そっか…ユウスケはクエストを一杯こなしてるんだね。
なんか尊敬しちゃう♪
私はね、ユウスケの言う通り仲間を増やしに行こうと思うの。
だから、一旦この村をでてギルドがある街に戻ろうと思う。
私、勇者だけど人見知り治らなくて……。
……なんで私が勇者なんだろう……。
ユウスケみたいな人が勇者になればいいのに……って、思っちゃうの。
頑張って、話しかけてみるね!
魔法、覚えたら連絡するね~!
まったね~☆
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なんだか……ネガティブになってる?
クエストって言っても、配膳係やってただけなんだけどなぁ……。
僕は心の中で、人見知りのリノンを応援していた。
・・・・・・
今日は僕の部屋に、念願のエアコンが来る日。
……もう、夏も過ぎ去ろうとしてるけど……冬と来年の夏は快適に過ごせるだろう。
僕の部屋に入り、父さんは業者さんと話をしている。
そして、取り付け工事も完了し、業者さんは帰ってゆく。
僕は、付きたてのエアコンに電源を入れる。
「ピッ!」
短い音を立てて、エアコンがうなり声をあげる。うなり声と言っても、最近のエアコンは音が静かなんだけどね。
「雄介、どうだ?」
「最高!!」
父さんに話しかけられ、僕は絶賛の声を上げる。
父さんもなんだか嬉しそうだけど、なぜだか分からない。
「快適だからって、あまり部屋にこもるなよ?」
「うん、大丈夫」
僕が返事をすると、父さんは部屋を出ていった。
まだ残暑が残るところだったので、エアコンが付いたのは心強い。
快適で……勉強もはかどる。
「そうだ、交換日記書かないと……」
僕は交換日記を取り出し、綴る。
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ユウスケはエアコンを手に入れた!
こんにちは!
こちらは夏バテ解消のためにエアコン作戦、完了しました!
エアコンあると快適です。
……宿題がはかどるって言ったから、しっかりやらないとだけど……。
ん……まぁ、言われると確かにクエストを、一杯こなしてるような感じかな?
でも、お客さんの御用を聞いて運ぶだけだから、そんなに負担じゃないかも?
人見知りのリノンにはつらい仕事かもしれないけど……。
僕は楽しんでやってるよ。
仲間だけど、もしかするとリノンみたいに人見知りの人もいるかもね?
ここは頑張って!!
じゃあ、また!
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次こそは、仲間が出来てる報告を受けたいと、僕は願いながら交換日記を閉じた。
交換日記はほのかに光った。