不思議なノート
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勇者って言われました!
こんにちわ~☆
初めまして。
私はリノン・ジータと言います。
なんか、今日起きたら、私に伝えたいことがあるって言われて、お城に呼び出されたの。
そしてたら、「そなたは勇者の生まれ変わりで……」なんて、説明臭い話をされたの。
なんか、めんどくさい……( ;∀;)
とりあえず、これから城の周りで、スライム狩ってくることになったんだけど、スライムってなんかドロドロで、汚いし……( ;∀;)
今日はレベル3まで上がったよ~。
そっちの話しも聞きたいな。
じゃあ、また明日書くね~☆
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……。
そこには、女の子らしき文字が書かれていた。所々に、絵が添えられている。
僕、新田 雄介はどうしていいものか、わからないでいた……。
・・・・・・
今朝の出来事。
僕の机の上に、「交換日記」と書かれている、ノートのようなものが置いてあった。
昨日までは、なかったはずなのに……。中を開くと、可愛らしい文字で、日記が綴られていた。
冒頭のあの内容だ。
僕は、最初誰かの悪戯かとも、考えた。しかし……こんな文字を書けるのは、家族には居ない。僕は一人っ子で、両親との3人暮らし。まさか、母親がこんな悪戯をするとは、思えない。まして、父さんなんかは……。
「父さん、母さん、このノート知ってる?」
「知らないわよ?」
「知らないな」
例えば、女の子の幼馴染が、部屋に入って悪戯……なんてこともない。僕の知り合いに女の子なんて居ないからだ。
例え……もし、わずかな可能性として、そうだとしたら、相当怖い。それだけ、僕に親しい女友達なんて、居ないからだ。
とりあえず、その交換日記を机の上に置き、僕はアルバイトに出かけた。
帰ったら、冷静に考えられることを望んで……。
・・・・・・
で、帰ってきた今、朝の事は現実だったと思い知らされる。交換日記はしっかりと、僕の机の上にあった。読み返しても、全然現実味がない。
にらめっこしてても、しょうがないので、とりあえず、僕はノートに返事を書いてみる事にしてみた。
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女勇者って凄いですね!
こんにちは。
初めまして。
新田雄介といいます。
女勇者ってすごいですね!
なんだかかっこいいです。魔法とか使えたりするんですか?
また、仲間とかもこれから作るんですか?
お城の説明話、お疲れ様です……。
僕も校長の長話は嫌いです。長い間立たされるので、貧血で倒れる人が居たりします。
初日でレベル3、おめでとうございます。
スライムは何匹倒せましたか?
スライムって、ゲームではよく出てきますが、倒すのそんなに大変なんですか?
また、お返事待ってます。
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なんだか、某RPGのゲームでもやっているんだろうか? とりあえず、話を合わせる感じで、交換日記に書いてみる。
「って、何書いてるんだろう……」
僕は、独り呟きながら、交換日記を閉じる。
……閉じた時……ほのかに光ったような気がする……。
「え?」
僕は、声を上げる。目の錯覚? 僕はもう一度、交換日記を開く。
……が、僕の書いた後には、続きは書かれていない。
「まさか……ね?」
きっと疲れているんだろう。僕は早々に寝る準備をして、今日は寝ることにした。