幕間 徹美の部屋
幕間ですので、気楽にご覧ください。
今日の昼休みは涼太がいない。
そう、この学園の伝統校内放送に出演するのだ。
――ルールール、ルルルルールル、ルルルルールールールールールルー…………
「今、学園で大活躍されている四天王の5人です。どうぞお入りくださいませ」
オニオンヘアーをした黒柳徹美(椿先生)がそう言うと、四天王の学食の仙人、学食の番人、ゲイーズ青戸、ガチロリコン板橋、爺さん目白が拍手に迎えられて中へ入ってきた。
「ようこそおいでくださいました。よろしくお願いしまぁすぅ」
『よろしくお願いします』
5人はソファに腰を掛ける。
「まず手前から、大食い担当の赤羽涼太さんと吉祥慶介さん。ゲイ担当の青戸國光さん。ガチロリコン担当の板橋幹雄さん。爺さん担当の目白幸隆さんですー」
5人は紹介されると小さく礼をする。
「アカバさんですもんね。なんでアカバネじゃないんですか?」
「なんで? なんでと言われても。そっちの方が読み易いからじゃないですか?」
「ふーん」
自分で聞いといて、後は素っ気ないのが徹美である。
「さて、みなさん特技があるんですよね? 早速披露してくれませんか?」
徹美は5人に提案する。
突然だったので、5人は戸惑ったが、
「ではワタシがやりますわねぇえ!」
ゲイーズ青戸は一歩前に出て着ていた制服を脱いだ。
現れたのは黒光りする美しい筋肉。そして色んなマッスルポーズやジョジョ立ちを取っていく。
「わぁすごい! あっ、硬ーい!」
徹美はゲイーズ青戸の筋肉を触りまくる。
徹美は筋肉が好きなので、しばらくゲイーズ青戸の筋肉をペタペタしてから、
「赤羽さんと吉祥さんはフードファイターと伺っますが」
徹美は言葉を継いで涼太と番人に尋ねる。
「日々どんな敵と戦っておられるのですか?」
戦う!? 何を勘違いしているんだこのおばさん!
「いや、戦うっていうか、大食いのことです」
涼太が答えた。
「あ、大食いのことだったのね。知らなかったわ。わははは!」
なにわろてんねん!
「まあいいわ」
相変わらず引き早ッ!
「目白さんは本年73歳になられるということですが、こうやって学園の高等部に通われております。このことをどうお思いですか?」
「新たな人生を始めたかったんです。人生100年生きる時代です。今からでも遅くないとわしは思います。まあ、わしは家庭の事情で高校というものに行けんかったんですわ。そんで高校生活ってのをしてみたいと思ったんです」
「そうなんですかぁ。でも他の生徒と年の差がありますけれど」
「いやしかし、孫みたいに思っていつも見ています」
「板橋さんが俗に言うロリコンになったのはどうしてなんですか?」
「まずは可愛いからです。髪の毛、おでこ、目、鼻、耳、口、うなじ、鎖骨、肩、脇、ぷっくら胸、脇腹、おへそ、くびれ、腰、お尻、太もも、ふくらはぎ、ちっちゃな手足……そのすべてが愛おしい! 可愛い! 食べたい!」
「その食べたいってのは何なの?」
出たー! 徹美ビーム! またの名を冷酷な眼差しー!
徹美ビームは相手を不審に思うときに発動されるものだ。あまりいいものではない。
「食べたいは食べたいですよ。言葉では言い尽くせませんね。ああ可愛いああ可愛い」
「将来ニュースで、あなたの名前を聞かないことを願っています」
「ショートコント。標識」
涼太と番人が即興でショートコントを披露し始める。
「わー、こんな山奥を運転するのは久しぶりだなぁ。ちょ待てよ、クマ出没注意かよー。怖いなー。出くわしたらどうしよう」
「ノソリノソリノソリ」
「って番人かい!」
おー、即興にしてはいいねェ。
「ん?」と、徹美は首を傾げる。
「よく分からなかったんですけど 分かりやすく説明してくだされませんか?」
ショートコントに質問!?
「え、あー、えっとですね。クマが来るのかと思ってたら番人だったって話です」
涼太は説明する。
「あー面白い面白い。わははは! あなた達面白い! どうしてお笑い芸人じゃないの? ははははは、面白い面白い!」
時間差で爆笑してやがるぜ。なんだこいつ。
「ショートコント、服屋の店員。ウィーン」
「いらっしゃいませー」
客が涼太で店員が番人だ。
「すみません、僕に合うジーンズ探しているんですけど、なんかいいのありますかね?」
「それならこれなんてどうでしょうか」
番人はそう言って極少のジーンズを涼太に見せつける。
「何ですかこれ」
「はい。これはハルト君のためハンドメイドしたジーンズです」
「何やねんそれ! てかハルトくんって誰だよ!」
「ワタル君、マサト君、イサム君、カケル君、レン君のもありますよ」
「リカちゃんの歴代ボーイフレンドやないかい!」
この後も四天王と黒柳徹美のトークは続き、この学園伝統の校内放送『徹美の部屋』が終了した。