第八章 合宿①
熱海。それは静岡県の伊豆半島の東の付け根に位置する、日本三大温泉のうちのひとつである。
僕達は今朝、椿先生の運転で都内からここまでやって来た。
亀有さんのお父さん、つまりは理事長のおかげで、僕達は熱海で最高級の旅館に宿泊することになった。
そして、僕達はそこの近くの海水浴場に訪れたというわけだ。
人はまばらではあるが、それなりに混んでいる感じがするね。
☆ヤッッホォォォォォィィィィイ!☆
「どうぞ、いただいてくださいっ!!」
「こっち!」
「あーんなの~」
真希、希望、七海ちゃんが一斉に僕の口に食べ物を押し付けてくる。
そんなにいっぺんに食べられないよ。
そう、今僕達は恋人ごっこをしている。僕が彼氏で、真希と希望と七海ちゃんが彼女っていう設定で。
てか、みんなの水着可愛すぎ!
真希はワンピースタイプ、希望はビキニタイプ、七海ちゃんはスクール水着で三者三様なのだが、みんな似合ってて可愛いのだ。
ちなみに亀有さんは「先に行っててくれ」って宿を出るときに言ったのを聞いたっきり会ってない。一体どこにいるんだろう。
涼太は違う席で食べ物をバキュームしていて、椿先生はナンパされに行ってる。
僕は真希の焼きそばと希望のカレーと七海ちゃんのブルーハワイ味のかき氷を同時に食べる。
口の中がパーティー状態だ。口は大阪、胃はインド、気分はハワイ。体の至るところが世界中を旅しているよ……。吐きそう。うぇ~。
だけど僕は勤めて笑顔でいる。
「おいしいですか?」
「うまい?」
「まだあるの~」
だって3人がすごく嬉しそうにニコニコしてるから。くっそー! 可愛さに免じて許してやる!
「待ってって! 僕の手は2本しかないよ!」
手が3本あれば平和的だったのになぁと思う。
海岸線を3人で歩いているのだが、誰が僕の手を握るかですごくもめている。
てかそもそもどうしてこんなこと始めたんだっけ? ま、いっか。
「あたしが手を繋ぎます!」
「真希じゃない! 私!」
「違うの! ななはお姫様だっこしてもらうの!」
女子にこんなこと言われたのはもちろん生まれてはじめてだ。ごっこ遊びだとは言え、めちゃくちゃ嬉しい。
「じゃ、じゃあ順番で……」
僕が提案すると、3人は渋々賛成してくれた。
じゃんけんで順番が決まった。希望、七海ちゃん、真希の順番になったみたいなんだけど――、
――どうして1秒ごとに交代しているのかなッ!?
☆どうしてお前が!?☆
「あらお兄さん、とっても男前ねぇえ! 一緒に泳がないかしら?」
「うわ、キッモ! 近寄んな!」
「いいじゃないのぉおん!」
「うるせぇ! きめーんだよ!」
ヤバイやつがおった。しかもただのヤバイやつではない。とてつもなくヤバイやつだ。
そんなキモ男にナンパされたイケメン男は、キモ男の頬を拳で思い切り殴った。
「なッ!」
そんな光景を眺めいていた僕は思わず声を漏らして目を伏せた。キモ男が殴られてしまったことにではなく、イケメン男の生死を案じているのだ。
「いいじゃないのぉおん!?」
キモ男は殴られたの全く動じず、黒光りした皮膚の下に眠る自慢の筋肉をピクピクさせた。
どうしてお前が!?
☆なんでお前も!?☆
あの気配に気づいたのはビーチバレーをしていたときだった。
僕だけでなく、真希、希望、七海ちゃんも気づいたみたいだ。
僕達は辺りを見渡し奴を探すが、その姿はどこにもなかった。
「何ッ!」
やつは現れた。
『地面から!?』
「デュフフフフ! みーづげだ!」
「なんでお前も!?」
僕は思わず叫んでしまった。
「デュフフ! ぞんなごどどうでもいい! おでも混ぜろ!」
そう言ったガチロリコン板橋はなんと水着を着ていた。もちろんアニメのロリキャラの。
「僕達とビーチバレー?」
「ぞうだ! いいだろ?」
僕は3人に目線を向けた。
みんな嫌そうな顔をしている。
「変なことしないならいいですけど」
「でも見ているだけで不快……」
「キモイからやなの~」
はたして僕達はビーチバレーをしたのでしょうか? どう思うかはあなた次第です!
☆なんとなく流れ的に分かったよ、君が来るのが☆
喉が渇いたので、みんなで海の家に飲み物を購入。やっぱりまだ涼太はいたが、その隣に巨大質量が座していた。
番人である。
なんとなく流れ的に分かったよ、君が来るのが。
☆全員集合ってやつだね☆
なーんて思って飲み物を啜っていたら、
「危ないッ!」
女性のそんな声が聞こえてきてそちらを向くと、なんと大きなスイカが勢いよく飛んできた。一体どこから!? それにどうして!?
3人はようやく振り返るが、スイカはそんな3人の目の前に……。やばい!
「ハーッ!」
瞬きする間に白くて長い髪の毛と髭を生やした老人が、いつも通り和服を纏って現れた。
「爺さん目白! どうしてここに!」
「家に帰るためだ」
「家?」
「わしは旅館を経営しておるのだ。今日お前らが宿泊する宿をな」
「そうだったんですか!」
その後、僕達はお詫びとして、爺さん目白が日本刀で切り分けたスイカをみんなでいただいた。
☆白熱・超次元卓球☆
「約束された勝利の刀・《エクスカリパー》!!」
爺さん目白は白いピンポン玉を日本刀の平地(平らな部分)で思い切り跳ね返す。
「うわぁ!」
僕の頬を掠めてピンポン玉は後ろの壁に激突。壁は少しへこんでいて、焦げ付いてもいた。
「す、すごい威力……」
僕は狼狽えていた。
僕達は一度旅館に戻った後、大浴場前にある卓球場で温泉卓球を楽しんでいる。
しかし、これは楽しいのレベルではない。もはやこれはただの卓球ではなくなっているのだ。超次元卓球である。
基本的には普通の卓球のルールを遵守して、僕、真希、希望、涼太、番人、ゲイーズ青戸、爺さん目白、七海ちゃん、さっきやってきた亀有さん、すごくガッカリしている椿先生の10人でトーナメント戦である。番人はまだ海の家にいるみたい。
僕対爺さん目白、真希対椿先生、希望対ゲイーズ青戸、涼太対ガチロリコン板橋、七海ちゃん対亀有さんの対決である。
初戦は僕と目白さん。
目白さんはラケットを使わないで日本刀でやるみたいだけど、早速サーブをスマッシュを打たれて先制された。
次はスマッシュを打たせないぞ!
僕はそう思ってサーブを打った。
「飛天!」
ピンポン玉は僕のエリアにワンバウンドした後、爺さん目白のエリアに。ピンポン玉に強烈なバックスピンを掛けたので、ピンポン玉はその場で静止した。
爺さん目白はそれを打つことができなかった。
「よっしゃ!」
僕は拳を突き上げた。
「ふッ! 姑息な手を!」
爺さん目白は鼻で笑ってそう言い、ピンポン玉を指で摘んだ。
「彗星の鍵・《コメットミーティア》!」
爺さん目白の放ったピンポン玉はワンバウンドした後、ネット上で止まって空中で固定されたかのように動かなくなった。
しかし、しばらくした後に、ものすごい加速度で落下してきたので僕はそれを打ち返せず、ただその場で立ち尽くしていた。
その後、接戦が続くも、惜しくも僕が敗れる形となった。
そして、第2回戦は真希と椿先生の対決だ。いや、だか正確にはそうではない。
『HKT35!?』
そこにはナンパされずに途方に暮れ、現実逃避をする、我が学院の英語教師でありながらオカ研の顧問である馬込クリスティーヌ椿こと35歳のおばさんはそこにはいた。変態仮面として。
「我が名はHKT35! 変態仮面椿35歳よ!」
さっき見たときはすっごく落ち込んでいたけど、もう立ち直ったみたいだね。相変わらずの復帰力。
「行くわよマッキー!」
HKT35は持ってきたポーチからマイラケットを取り出して叫んだ。
「実は中高と卓球部だったのよ!」
何度か椿先輩と卓球をしたことがあるけど、たしかにすごく上手い。
先行は真希だ。
「天地を分かつ久遠の闇・《リュエール・デ・ゼトワール》!」
真希の打ったピンポン玉はネットギリギリを通ってHKT35のエリアへ。そして、突然右に曲がり台の外に行き、左に曲がってエッジに当たり台の上に戻って転がった。
「なかなかやるわね……!」
椿先生はにやりと笑ってラケットをくるくる回した。
「蛇蝎!」
真希は再びサーブを打つ。急加速してエンドラインギリギリ着弾する。
しかし、
「救済の加護・《メサイヤ》!」
『ッ!?』
僕達は息を飲んだ。
そう、椿先生はあれをカットしたのだ。
完全に取ったと思って油断していた真希は目を丸くしていた。
「先生は元日本王者のカットマンだったのよ!」
椿先生は変態仮面の格好をして誇らしげに胸を張った。
「次は先生のサーブね。行くわよ! 座標転移・《テレポーテーション》!」
椿先生のピンポン玉は瞬間移動した。正しくは超高速で移動したのだ。
あまりの速さに目が追いつかなかったし、ソニックブームも聞こえた。
こんなの人間が打てる技じゃない。そもそも機械でも無理なんじゃないか? でもそれを可能にするのが馬込クリスティーヌ椿なんだよなぁ。
ピンポン玉は台をへこませて止まっていた。
「どうだ! これが鍛えに鍛えてきた先生のサービスよ!」
すごい。すごすぎる。
どっちも強い。どっちが勝つか本格的に分からなくなってきたぞ!
ピンポン玉と台がへこんでいるので、どちらも新しいものに交換し、プレーが再開された。
「彗星の鍵・《コメットミーティア》!」
「させません! 龍の地降・《イネファブルボイド》!」
「永久の自公転・《グラビティースピナー》!」
「風・《リフト》!」
「避雷針・《クロノステイシス》!」
「ッ!」
今のプレーを説明しよう。
椿先生が爺さん目白も使った彗星の鍵・《コメットミーティア》(ピンポン玉を上昇させて一気に落下させる技)を放つが、それを阻止するために真希が上昇中のピンポン玉を思い切り叩き落とした。それを椿先生はなんとか打ち返し、コマのように超回転を掛けて真希のエリアに返す。真希はピンポン玉がバウンドしないことを推測すると、ピンポン玉の落下地点にラケットを起き、返した。椿先生はそれを真上からネットギリギリに真希のエリアに打ち返して、バックスピンを利用して自分のエリアに戻したのだ。
結果は25対27で椿先生の勝ち。今まで見てきた卓球の中でもっとも熱かった。温度計を見たら40℃くらいあった。てかもはやバレーボールみたいな点数だったね。
続いての対決は希望とゲイーズ青戸の対決だ。これも熱戦でゲイーズ青戸が力に対して希望は技だった。
柔よく剛を制すという言葉があるが、その通りに僅差で希望が勝利した。
涼太とガチロリコン板橋の対決は呆気なかった。
涼太はお腹が空いていて、板橋の目の前にはロリがいっぱいいたので、2対11で板橋の快勝だった。
七海ちゃんと亀有さんのは、七海ちゃんが健闘するも亀有さんが勝った。
トーナメントなので、続いては爺さん目白とHKT35の対決。
「あなたと対決できるのを楽しみにしていた」
「先生もよ」
爺さん目白は日本刀を抜いて椿先生に向けた。椿先生もラケットを爺さん目白に向けた。
歳の差は倍以上あるが、これでも先生と生徒だ。
「ゆくぞ! 極天!」
「飛天!」
「暗黒物質・《ダークマター》!」
「なッ!」
極天とは飛天の逆で、ドライブスピンを掛けることによって着弾後の弾速を速めるものである(蛇蝎と同技違名)。椿先生は飛天でピンポン玉を打ち返し、爺さん目白はそれに、ラケットのラバーでは掛けられないような回転を日本刀で掛け、エッジを掠めて地面に落とした。
椿先生はそれを拾おうとしたが、玉が急に上昇して空振ってしまったのだ。
「やりますねェ」
「お褒めに預かり光栄です」
「だけど、先生も負けていないわ!」
2人は短い会話の後に再びプレーを再開した。
「永久の自公転・《グラビティースピナー》!」
「全てを反転する矛盾・《リパルションパラドックス》!」
「なぬッ!」
爺さん目白の放った超回転サーブは、それとは真逆の回転を掛けられて跳ね返され無回転になり、爺さん目白はそれを打ち返すことができなかった。
今回はスピン対決だね。日本刀による特殊スピンとあらゆるスピンを使いこなす椿先生。
「白ちゃんってゲームとかするの?」
椿先生は唐突に尋ねた。
「たまにやるぞ」
「隙あり!」
「カァッ! この小娘め! わしに本気を出させるとはいい度胸ではないか」
爺さん目白が回答した瞬間に、狡賢い椿先生は高速サーブをしたのだ。
それに腹を立てた爺さん目白は日本刀を鞘に収めた。
「剣を出さなくていいの?」
椿先生はにやりと笑って技を放つ。
「混沌に皆帰す太陽の光・《ルナティックプロヴィデンス》!」
「居合斬り(いあいぎり)!」
とてつもない強さで打てれた玉は、これまたとてつもない力で打ち返され、へこんでしまった。
勝者は爺さん目白になった。この戦いは物がよく壊れたね。ピンポン玉にラケット、ネットに蛍光灯。まあそれだけ白熱したってことだね。
続く希望とガチロリコン板橋の対決はもちろんガチロリコン板橋の勝利。
そして、ガチロリコン板橋と亀有さんの対決。
これもまた見もの。
「ロリロリ波!」
「除染玉!」
ガチロリコン板橋のロリロリ波と亀有さんのキモさを除去する除染玉が激突した。
観戦しているこちらにもエネルギーの衝突による暴風が吹いてきている。
「ハーッ!」
「トラァーッ!」
――ドカンッ!
辺りが煙たくなり、僕だけでなく、みんなが咳き込んだ。
「一体何が?」
僕は呟いた。
煙が晴れて僕達はようやく状況を理解した。
台が割れていたのだ。
その後、新しい台が用意されて2人は気を蓄えた始めた。
2人の周りの塵が上昇し、更には陽炎のようなものが見えてきた。
その陽炎は無色から黄色に変色した。更には2人の髪の毛の色も黒から黄色になる。
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
まさか、これは……、
『超サイヤ人!?』
僕達は仰天していた。
「ここで会ったが百年目! 覚悟しろカキャロット!」
「それはこっちのセリフだ! ベジータブル!」
ガチロリコン板橋と亀有さんは互いに睨み合った。
「行くぞカキャロット! ロリック砲!!」
「かめかめ波!!」
ピンポン玉が二つの攻撃に挟まれてペシャンコになるが、2人はお構いなしで気功波で攻撃していく。
ロリによりパワーアップしているガチロリコン板橋ではあるが、亀有さんも同じ亀属性であるかめかめ波で対抗する。
「瞬間移動!」
「待てカキャロット!」
2人はもはや卓球ではなく戦闘を開始している。
だが止めるつもりはない。この2人がこうなるのは分かっていたから。
殴ったり殴られたり、蹴ったり蹴られたり。超白熱の戦いが繰り広げられている。地面で、空中で、中で、外で。
僕達は2人を追って至るところへ向かう。
2人は外の庭園で戦いを繰り広げていた。
「太陽拳!」
「何ッ!」
眩しすぎて目をつぶってしまう。それと同時に亀有さんが板橋を殴る音が聞こえる。
「グハッ!」
板橋は吹き飛ばされて壁に激突。
「どうしたベジータブル! 立て!」
「ふッ! この程度何ともないわ!」
板橋はそう言って立ち上がった。
板橋と亀有さんは同時に気を貯め始める。髪の毛は黒髪に戻り、腕などに赤い体毛が生えてきている。
そう、2人とも超サイヤ人4になったのだ。
「ファイロリフラッシュ!」
「10倍かめかめ波!」
旅館の至るところが破壊され、庭園は無茶苦茶になってしまった。そして2人もぶっ倒れた。
決着はつかず、爺さん目白の不戦勝ということになった。
幸い僕達以外のお客さんはいなかった(貸し切っていたみたい)ので、被害は最小限で済んだ。爺さん目白もそこまで怒っている感じじゃなかったからよかった。
☆そう言えばそうだった☆
いやー、いい湯だった!
朝から遊び尽くしたけど、疲れが一気に抜けた気がするよ。
――パパン! パン! パン!
『誕生日、おめでとう!!』
「え?」
僕は一瞬何が起こったか分からなくなった。
部屋に夕食券を忘れて取りに帰って戻っきたら、みんながクラッカーを鳴らしてそんなことを言ってきた。
そうだ。今日7月12日は僕の17歳の誕生日だったんだ。すっかり忘れてた。
「みんな、ありがとう!」
僕は感動して涙が出そうになったけど、頑張って耐えて感謝の気持ちを伝える。
夕食会場にはオカ研、椿先生、四天王だけでなく、くるみ生徒会長や美咲委員、T高田などの生徒会のみんなもいた。
「とりあえず座れ」
亀有さんに促され、僕は座布団の上に座る。
僕の目の前には美味しそうな料理がたくさん並んでいた。
「当館の料理人が腕によりをかけてご用意させて頂きました」
そう言ってきたのは爺さん目白だった。
『いっただっきまーす!』
涼太や番人が午前中に海の家で食べ物を爆食いしていたのは、このときに食べ過ぎてみんなの分を取っちゃはないようにするためだったらしい。
そして、亀有さんや生徒会の人達で会場を装飾したり、「桜田17歳ハッピーバースデイ!」のプラカードや手作り巨大ケーキを作ってくれていたみたい。ほんとに嬉しい。
それに料理も美味しいし、マジ最高!
特に魚介・海鮮料理が新鮮でほっぺたが落ちちゃうね。
一通り食事が終わると、
「桜田、お前にプレゼントだ」
亀有さんはそう言って僕に包装された箱をくれた。
「開けていいの?」
「ああ」
僕は包装を丁寧に剥がしていくタイプの人なので、慎重にセロハンテープを剥がしてその中身を確認する。
「スマホケース?」
「そうだ。お前欲しがってただろう?」
「え? 覚えてたの?」
「ああ。いつまで経ってもその古いボロクソのケースを使ってたからな」
今のスマホケースをボロクソ言われた僕は、早速スマホを取り出して亀有さんが新しく買ってくれた手帳型のケースにはめる。
緑の亀マークがクリーム色の地にランダムドット柄に並んだものだ。
「すごく可愛いよ。ありがとう、亀有さん」
「そ、そうか? 喜んでくれたらいいんだ」
亀有さんは何故か恥ずかしそうに俯いてそう言った。
その後も、涼太から三木製菓のネコの舌10箱、番人からは延命堂の熱海延命饅頭10箱、爺さん目白からは大志と書かれた扇子(なんかの扇子だよねこれ)、ガチロリコン板橋からはこのロリが可愛い10選(アニメ・マンガ・ラノベのロリキャラの写真や説明文、可愛いところなどが事細かに書かれている)、ゲイーズ青戸からは10kgのダンベル2つ、椿先生からはこれで英語マスターだ! と書かれた手作りの冊子、七海ちゃんからは熱海のご当地キャラのあつおのストラップ(お揃いみたい)、会長からはルイ・ヴィトンの最高級革財布(恐れ多い)、美咲委員長からはこれまたお揃いのデザインが美しいハンカチを貰った。
みんな色んなものくれて部屋に持ち帰るのが大変だった。特に10kgダンベル2つは重かった。
でもみんなの思いが詰まったプレゼントは本当に嬉しかったし、自分がどれだけ友達に恵まれているかが分かった。
これからも友達は大切にしないとだね。
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