再会しました
校門の前には、希望に満ち溢れた新入生が集まっていた。
私の入学した支援科は、マネージャーだけでなく、アイドルのプロデューサーや芸能事務所の役員志望など幅広い人材を育成するらしい。実際のゲームではあまり触れられていないから、よく分からないのよね…
内容を覚えているとは言えど、断片的なものが多いし。いつ忘れてしまうかも分からない。だが、甘えたことは言っていられないのだ。
何がなんでも全てのフラグをスルーし、尚且つ杏をトップアイドルに仕立てあげなければ…!
クラス表の前で1人メラメラと燃えていると、聞きなれた声が私を呼んだ。
その声は、虹咲雛の一番近い、宇月雛にとって1番遠い場所にいた声。
「…雛?」
「…!杏!」
幼い頃の面影を少し残した顔がすぐ後ろにあった。
「帰ってきてたのか。」
「約束したからね。」
そう言って指切りをするように小指を差し出すと、向こうもくすくすと笑う。あ〜浄化される〜。
「よくこの学校に入るって分かったな。」
「なんとなくだよ。」
「連絡くれれば良かったのに。」
少し拗ねたようなアクションを取る。なんなんだこの子は小悪魔か〜?すき。
「歌もダンスも上達したんだぜ。」
「すごいじゃん。」
私のいなかった3年間の話を聞きながら、人混みを抜け出す。さすが芸能科のある学校。入学希望者多いんだろうなぁ。
「そういえば、杏は芸能科だったよね。」
「あー、うん。そう。」
突然歯切れが悪くなる。どうかしたんだろうか。
「ねぇ、あ」
何かあったの、と聞こうとした時だ。
人混みが、真っ二つに割れた。