私のアイドルを育てるために
それからの私はもう必死だった。正直自分でも引くレベルで必死だった。
まず、基本的な知識が必要だということで、勉強に力を入れた。頑張ったと言っても、中身はアラサー。とりあえず小学校の内容は特に問題なしである。
次いで、歌だとかダンスなんていう、アイドルに必要不可欠な技能だが…これだけは私だけの力ではどうしようもない。杏は、別段裕福というわけでもない家庭に生まれたので、2つともを習わせてほしいとも言い辛かった。そこで、杏がダンスを、私がボーカルレッスンを受けられるようにお互いの親を説得、習ったことを教え合う形にして妥協する。
なぜ杏がダンスかと言うと、単純な話。
私は、運動が、できない!
杏の設定的に、運動は得意だったと記憶している。世の中向き不向きは存在するよね?別に私は歌が上手い訳では無いけど。どちらかと言うと杏の方が上手いけれど!
「ひなちゃんはすごいなぁ」
ふにゃんと笑う私のアイドル。いやいやすごいのは君、最終的に輝くのも君だからね。
こうして、小学生の内に彼はダンスも歌もできるスーパー小学生へと変貌した。必死に歌の先生に師事を受けたかいがあった…!
私?ダンスも歌も結局そこまで上達しませんでしたよ。