俺はヤンデレが嫌いだ。

作者：ペペペマン

ヤンデレ。二次元にハマっているのならば誰しも一度は聞いたことのある言葉、ジャンルだろう。

ヤンデレとは、「病むほどデレる」の略称である。その名の通り、恋愛感情を持った相手のことを考えすぎて精神的に病んでしまう、というものだ。

例えばヒロインが主人公の写真を部屋にびっちり飾り、それを日がな一日眺めては恍惚とした表情を浮かべる。この構図を見た瞬間に分かる人なら「これ、ヤンデレやな？」と思うだろう。

では、なぜ自分がヤンデレを好かないのか、なぜヤンデレを認めたくないのか。それを話していきたいと思う。

まず、ヤンデレというのは悪感情で成り立っている。愛、と謳っておきながら何故悪感情なのか、恋もしくは愛とは悪感情にはなりえないのではないのか。そう考えた甘ったれている恋愛脳の諸君、私もそう思っている。だからこそヤンデレを好かないのだが、その話はまた後だ。

とりあえずストーカー、というものを想像してほしい。特定の人間について回り、ストーキングされている人から恐怖を受ける人間、それがストーカーだ。

ではまずなぜストーカーが現れるのか、そこから話そう。

ストーカーをする人の多くは普通の人間だ。ストーカーなんぞする奴にまともな奴はいないと思うだろうが、そうではない。彼ら彼女らは可哀想な奴なのだ。

ストーカーをする心理とは、単純化していくと「こちらに振り向いてほしい」という思想に帰結する。

恋をしたのだ、もちろん自分に振り向いてほしい。だがあの人とは何の関係もない。でもこちらに対して何かしらの感情を向けてほしい。他人として終わりたくない、この恋を終わらせたくない。ならば悪感情でも、恐怖でも、せめて向けてほしい。でないと「損」だ。

このような考えから、ストーカーは生まれる。もちろんこのような考えを肯定しているわけではない。だが往々にしてストーカーとは「自分の『好き』という気持ちを言葉にして伝えることすらできない極めつけの愚か者」という者たちの末路なのだ。

告白してフラれたからストーカーになる者もいる。つまりそいつは「告白に一度、もしくは数度失敗したから『仕方なく』悪感情を欲する」という汚物にまみれた核物質より救いようのない奴なのだ。

そして、このストーカーの心理はヤンデレのそれと酷似している。最悪だ。

ヤンデレに、未来はない。ヤンデレにあるのはただただ恋愛対象を傷つけて、自分の「物」にしたいという浅ましく醜く形容しがたい短絡的な欲求。

その証拠に、ヤンデレというものは恋愛対象を監禁し、非道いものだと四肢をそぎ落としたりして苦痛に喘ぐ姿を見て嗤うのだ。まるでなかなか芸を覚えない犬がやっと芸を覚えた時のように。悍ましい。

ヤンデレにだって種類がある、なんて阿呆のようなことを思われた方、想像をしてみてほしい。ヤンデレというカテゴリー、ジャンル内に恋愛対象が悪感情を抱かないような描写があっただろうか。いつだってヤンデレというものは恋愛対象を傷つけ、貶め、壊していく。人間としてなければならない感情というものを欠如させているのだ。豚にすら劣る畜生と呼び名を変えてもいいかもしれない。

さて、ヤンデレが嫌いである理由をつらつらと並べたててきたが、自分にとってこれが最悪、というところが二つある。

理不尽なところだ。

恋をしているというのに相手の感情を読み取ろうとしない。何かをすれば何かが変わる、なんて当たり前のことを理解できていない生まれたての赤ん坊より知能指数の低い思考回路をしているのだ。

責任転嫁もする。「あなたが悪いんだよ」とか「あなたのせいで私は」とか。好意を伝えるための言葉としてあまりにも相応しくない。ふざけるのはその歪み捻じ曲がったそのスカンクの糞尿以下な性格だけにしてほしい。

責任転嫁をするくせに普通に好意を伝えようとしない。「私は駄目だから」みたいな言葉を見るたびに虫唾が走る。なぜ自分の好意を恋愛対象への障害行為で伝えようとするのか。言葉でよいのではないか。「好きです」なんてひらがなでも四文字しかない言葉で相手へ好意は伝えられるのだ。なぜそれをしない。ここが意味不明だ。

主人公の周りに女性がいる場合排除しようとするのも本当にいただけない。殺す、ということの意味を理解していないのだ。他人の人生に傷をつけ、それがさも当然であるかのようにふるまい、自分に責任があるとみじんも思わない。最悪の場合また責任転嫁をする。「あなたが近づいたから」なんて悍ましい理由で殺したりするのだ。可愛い嫉妬なんて言いたくもない。クソッタレ以下で単純脳味噌の薄らトンカチの馬鹿と言わざるを得ない。

盗撮をする、というのも意味不明だ。これも「好き」というだけで代替できる。二文字になった。

第一犯罪だ。設定にもよるが大体が法治国家の設定である日本という舞台でそれをするのは迷惑防止条例違反なのだ。法律で愛は止められないとか頭の中が真っピンクな中学生でも考えない。自分で考えられるだろう。迷惑がかかるとわかるだろう。なぜやるのだ。

解らない。解せない。理解できない。ヤンデレというものには鼻がひん曲がるほどの異臭を感じる。