第2話 俺は両親に感謝を捧げたい!
「ああ、また暗いところで本をよんでる」
「あさひくん。目を悪くするよ?」
「いいんだよ。うるさいぞ!ばか!」
なぜかとっさに毒が口から飛び出てしまう。
ああ、そうなんだよな。頭の中は理性が支配しているのだが、俺の中に眠っている5歳児の感情がときどきこうして勝手に俺の意思を越えて、自分勝手に動いてしまうのだ。
「えええ!? シィネ、わるくないよぉ。だってかくれんぼしてたんだよ!」
俺はこの状況をリカバリーするべく頭を働かせる。
「ああ……。シィネは悪くないな。すまんすまん。考え事をしていたんだ。」
そういって俺はしぃねの頭を撫でまわす。
ふふふ。前世では何歳で死んだか分からないが、美幼女の頭をこんなにこねくり回していたら、おそらく警察の御用になっていただろう。
そうシィネは美幼女だ。将来が楽しみになるくらい整った顔立ちをしている。
「えへへ。しぃね、これすきぃ~。」
茶色いアッシュブロンドの髪の毛がぐしゃぐしゃになるのにも関わらず、しぃねは躾けられたゴールデンレトリバーのようにおとなしくなでなでを受け入れている。
くうううう!たまらない!可愛すぎだろう。
誰にきもいと言われてもいい!
俺は今ここで生きている!!
姿なき両親よ! 俺を産んでくれてありがとう!
「そうそう、ここは暗いから明るくするね!」
そういうと【シィネ】はなんでもないかのように押入れに明かりをつける。
そう、スイッチに触ることもなく。そもそも押し入れには明かりは存在しない。
「えへへ。どうおにいちゃん? 明るくなって本読みやすくなったでしょ?」
そう【シィネ】は【魔女】(へクス)と呼ばれる異能者なのだ。