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第三話「パーティーに行く服がない」

 どうもダンジョンは広がらないくせにモンスターだけピンポイントで激レアを引いているダンジョンマスターです。


 ちなみに冒険者は一度も訪れた事ないどころか近くを通った事すらないという状況……。まぁ、あそこは街から離れている上に近くに何か採れる採取ポイントのような物もないので仕方ない……。


「うーむ」


 現在街で仕事を探しに来ている。あっちの世界だとまったく働く意欲はなかったが女の子を養っているし仕方ないのだ……。本当はあの2人にも働いて欲しいが高貴な魔物のようなので人間のために雑用するなど耐えられないみたいだ。

 かといってダンジョン攻略メンバーなど毎日募集しているわけでもなく……。なるべく楽でお金が稼げて出来ればご飯も食べられて適度な休みがある所を探しているのだがそんな都合のいい物はない。


 仕方なく串焼きを売っている屋台の親父と交渉し夕方まで働かせて貰った。日当で50Gと牛の串焼きを4本お土産で貰った。……一日働いても1DPにもならない現実に泣きたくなる俺であった。


「……ただいま」


 未だに扉も階段もないため野ざらしとなっている入り口の穴をゆっくりと降りる。


「お疲れ様です。マスター」


「ご無事で何よりです」


「うむ、ちゃんと稼いできたか?」


「……まぁ、多少は」


 ダンジョン内を見ると3人全員下着姿でゴロゴロしていた。……もうダンジョンというよりはいかがわしいお店みたくなってるけどいいのだろうか? 


 いや、ダンジョンコアに関しては元から下着だから何も言う事はないのだが残りの2人は……最初出てきた時はあんなに高潔な感じだったのに……。俺のせいなのかな……。魔物も住む環境で変わってしまうんだなとわかった。ちなみに2人の鎧とローブはこの前ガチャで出てきた空箱に収納されていた。


「あ、これ牛串。おみやげに貰ってきたよ。一人1本ね」


「ありがとうございます」


「おぉ、旨そうじゃな!」


「ダンジョンコアに飲食物は必要ありませんが折角なので頂きます」


 ダンジョンコア曰く10万DPより上の魔物はDPで購入出来る専用食以外は好んで食べず、中にはそれ以外まったく口にしない偏食家すらいるらしい。この2人は、もうそんな贅沢言っても仕方ない事がわかっているせいか割りかし何でも食べる。


 ちなみにダンジョンの魔物だが食料を上げなくても餓死したりする事はまずない。ダンジョン内にいるだけで魔力を供給してくれるので極論を言えば全く与えなくてもいい。しかしダンジョン内で供給出来る魔力分だけだと発揮できる力は半分くらいのようなので結局全力を出して貰うにはご飯を食べてもらわないといけない……。


 まぁ、俺のダンジョン誰も来ないから全力出すも何もないが女の子を放置して自分だけ食べるというのも……それはそれでどうなのよ? と俺は思う。下着姿のまま牛串を美味しそうに食す皆を見てあぁ……明日も頑張って働こうと思う。


「む……むむむ」


 突然むむむと言い始めたダンジョンコア……肉が喉に引っかかってバグが発生したのか心配になる。



「ダ……ダンジョンコアよ……壊れてしまったのか?」


「こ、こういう時は斜め45度で殴ると良いと聞きました」


「やめて、クロの力で殴ったら死んじゃう」


 というか魔界とかにも昭和のテレビの直し方みたいの伝わってるのか……。


「いえ、ちょっと一斉送信文章が脳内に送られてきたので読んでいました」


「一斉送信文章……?」


 まるでパソコンみたいだなと思いどういう仕組になっているのか気になったが魔法とか普通に存在している世界だし突っ込んだら負けか……。


「ほうほう、どんな内容じゃ?」


「ダンジョンマスターに転生して一年未満のマスターだけを集めたパーティーが開催されるようですね」


「あぁ、聞いた事がありますね。確か魔王軍の幹部の方が1人毎年主催してくださっているようですよ」


 企業でいう専務とかが新入社員集めて会食するイベントみたいなもんか……。何かそういうの俺あんま好きじゃないんだよなぁ……気を張りすぎて疲れそうだし……。


「うーん……イマイチ気が乗らないからパス」


「残念ながらこのパーティーは強制参加です」


「えぇ……」


「……さすがに幹部様が主催しているイベントをサボるのはないじゃろ」


「……さすがにありえませんね」


 黒白コンビにジト目される……。何か真似してダンジョンコアまでジト目してくる……。くっ、こいつら……! こんな連携技を身につけるなんて……。だってしょうがないじゃん! 嫌なんだもん!


「安心してください。マスター」


「……ん?」


「パーティーでは様々なイベントがありますが中には景品が出る物もありますよ」


「ほんと!? どんなの??」


 露骨な景品狙いに黒白のジト目が継続するが無視する。俺はダンジョンマスターとしてこのダンジョンを立派にする義務があるんだ!!


「毎年違うので何ともいえませんがここ10年で1番凄い景品は100万DPでしょうか」


「ぎゃぐま……」


「マ、マスター……動揺しすぎて凄い顔になってますよ」


「きもいのじゃ……」


 あまりの衝撃に口が開いてしまい百万すらまともに発言出来なくなる。100万DPという事は100万マスも掘れてしまう……。地下何階まで作ろう……10Fくらいにして最下層に俺の部屋を置いて……うーん、あんまり広すぎるのも落ち着かないから5DPくらいにして……。ボス部屋は30DPくらいの空間で黒白コンビを設置! これでいこう!


「うへへへへ……」


「マ……マスター……」


「……意識が異世界にでも行ってしまったのじゃろうか」


「異世界から更に異世界に行くのは新しそうですね」


 俺が脳内で100万DPを勝手に使ってダンジョン計画に勤しんでいた所にシロが一言。


「ところでなんじゃが……」


「どうしましたシロ」


「恐らくダンジョンコアは同伴すると思うが……下着姿のまま行くのか?」


「……あ」


 白下着姿のままのダンジョンコアを見る……。1年以内に転生したマスターがどれだけいるのか知らないがさすがに大衆の前に下着姿は晒せないか……俺が特殊性癖の持ち主みたくなってしまう。


「さすがに服を買うか……。ダンジョンコアの服ってどれくらい?」


「リストはこれです。マスター」


 俺がリストを受け取った時に黒白が何やらヒソヒソと会話している。


「というかまだ買ってなかったのですか……」


「うむ……妾も最初は剥くのが趣味なのかと思っておった」


「ダンジョンコアの服すら買えないのは……」


「言うでない……それを言うなら妾達に個室がない事が既に……」


「……」


 あのー、黒白さん? 全部聞こえてますからね? ちなみに黒白クラスの魔物には専用個室を与えるのが常識らしい。部屋どころか家具やアクセサリーなどの装飾品すらDPで購入して与えるほど特別な存在みたいだ……。知らないけどね!! DPないし!……気を取り直してリストに目を通すが。


「ってたかぁ!?」


 リストを見ての第一声がこれである。


・スクール水着(旧):DP100

・スクール水着(新):DP100

・巫女服:DP100

・メイド服:DP100

・ナース服:DP100


 コスプレ専門店のようなラインナップがこれ以外にもズラズラと並んでいる。共通して言えるのはどれも高い!! 

 しかもこれは服だけであり。この他にも猫耳、ニーソなどのパーツもDPでバラ売りされている……。完全にダンジョンマスターの趣味の領域だからなのかとにかく高くてむしろ笑えてくる。


「すいません。マスターには高すぎました。1番安いのだとこれです」


・布の服:DP5


「……」


 これはダンジョンコアなりの仕返しなのだろうか……。今まで下着姿のまま放置してごめんね……。でも仕方なかったんだよ……全部貧乏が悪いんだもん……。


「ちなみにマスター、ダンジョンコア服装10連ガチャも30DPで一ヶ月1回限定で回せますよ」


「……頑張って布の服買います」


「そうですか」


 どこか失望したような目を向けているのは気の所為だろうか……。とりあえず当面の目標が決まった、頑張って残り450Gを稼がねば……。


 ダンジョンマスターですがパーティーに行くための服がありません。

ブックマークが凄い増えててびっくりしました。

皆様ありがとうございます。

結局毎日投稿しているチョロい作者ですがこれからもよろしくお願いします。

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