プロローグ「ダンジョンがない」★
俺は相川瑠比、大学を2年で中退して現在ニートである。俺は今地図を片手に森の中を歩いている、ここはどこかって?
それに関して説明するために少し回想シーンに入らないといけない……。俺がいつもの様に自室でPCを使用しネットゲームに精を出している時に事件は起こった。突然俺の身体は、光の渦に包まれて何もない空間に放り出されたのだ。
地に足は付いていないがかといって落下するわけでもなく、不思議な感覚にびっくりしている俺にどこからか声がかけられる。
「おめでとうございまーす!! あなたは抽選に選ばれました!」
「……はい?」
詐欺をする時の常套句が如きセリフを言われた俺には、不信感しか芽生えない。
「抽選って……俺何も応募してないけど?」
「応募してなくても勝手に選ばれちゃうんですよ~。あなたは今からダンジョンマスターとして魔王様の下で働く事が決定したのです」
「親ですら許してないのに何勝手に人の生き方を決めてるんだ!」
「えー……魔王様凄い美人なのに……」
「やります」
美人ならしょうがない、どうせこの世界で生きていても辛いだけだ。
働くっていうのが気に食わないけど、ダンジョンマスターってくらいだから自営業みたいなもんだろう雇ったやつをこき使えばいいや。
「では、ダンジョンがある場所を記した地図を渡すので現地に向かってくださいね~」
「直接ダンジョンに飛ばしてくれればいいのに……」
「残念ながら出現位置は特定の場所しかなくて……直接は無理なんですよ」
「なんともまぁ……不便な」
「でも、ダンジョンにたどり着いたら可愛いダンジョンコアちゃんとお話出来ますよ!」
「すぐいきます」
姿も見えない相手の声に元気良く返答した俺であったが気づいたら森の中にいた……。
さて回想シーンをしている間にダンジョンにたどり着いたぞ!! 面積の広い森の真ん中に平原が広がっている、どうやらここが地図に記された俺のダンジョンのようだ。
ダンジョンマスターという事は、ここは俺の家! 屋敷! 城! 何はともあれ……可愛いダンジョンコアちゃんとかいうのがいるらしいけど、どうすれば喋れるのだろう?
ダンジョンコアというくらいだからダンジョンの奥にいるのだろうか? そう思ってダンジョンに入ろうと思った俺であったが入り口がまったく見つからない、不思議に思って周囲を歩いていると何やら手のひらサイズの蒼い宝石が落ちていた。
「おぉ、売ったら高く売れそう」
さすがファンタジー世界、幸先がいいなと思ってテンションの上がった俺であったが……。
「売らないでください、マスター」
突然宝石が光はじめ目の前に現れる蒼い髪の少女。
無機質な雰囲気を醸し出しておりさながら機械のようだ……人型なのでアンドロイドという表現の方がいいのだろうか? 髪は腰付近まであるロングヘアーで何故か下着姿である……。ちなみに下着は白です。
「どわぁあ!?」
「私はドワーフではありません、マスター」
「いや、そうじゃなくて……君は?」
「ダンジョンコアです、マスター」
「君がダンジョンコア!? 確かに可愛い……けど何で下着姿なの?」
「この世界のダンジョンコアは、マスターが服を購入しない限り下着のままです」
「恥ずかしくないの……?」
「特に恥ずかしくはありません、マスター」
「じゃあ……いいか、このままで」
別段俺は下着姿のままでも困らないからな、さすがに街に近かったら考えたけど。
「所でダンジョンコア、ダンジョンに入りたいんだけど。入り口どこ?」
「その件なのですがマスター。悪いお知らせと悪いお知らせがあるのですがどちらから教えましょうか」
「どっちも悪いんだ!? 凄い悪いとかでもなく、ただ悪いんだ!?」
「では、悪いお知らせその1ですが」
「しかも、マスターの了解も得ないで話し始めたよこの子!?」
この子意外と融通効かないのかも……。
「この世界で転生を司る上位存在がいるのですが、手違いで開拓済みの空きダンジョンがないのにマスターをダンジョンマスターに転生させてしまったようです」
「なにしてんだ!!! ウキウキで転生しちゃった俺はどうなるんだよ!!」
「そしてもう1個の方ですが」
「もう既にかなり萎えてるんだけど……なんでしょう?」
「なにぶん、この世界には無数のダンジョンがあり管理してるのは魔王様なんですが。このダンジョンは、ダンジョンポイントが初期値0になってますね。恐らく魔王様がポイントを振り忘れました」
なにやってんのー!!! 魔王ヘルプミーー!!
「え……という事は……どういうこと?」
「はい、頑張ってダンジョンを作る事から始めてください。マスター」
「……ダンジョンってどうやったら作れますか?」
「DPという物があるのですがDP1使う事で1マス掘る事が出来ます。ちなみに100GでDP1に換金が出来ますよ。マスター」
「……1マスってどれくらいの大きさ?」
「大体縦横2mくらいですね。マスター」
「それもう手で掘った方が早くない!? え、この世界って時給いくらなの?」
「そうですね、大体1日働いてよくて100Gくらいでしょうか」
「1日働いて2mなら手で掘った方が早いじゃん!!!!」
「ダメです、手で掘った物はダンジョンとしてカウントされません。ただの落とし穴です」
「DP使って1マス掘ってもただの落とし穴だと思う!!」
折角ダンジョンマスターに転生したのにダンジョンがないとかありえる? 絶望に打ちひしがれる俺にダンジョンコアが一言
「とりあえず、マスター。働きましょうか」
ダンジョンマスターですが僕のダンジョンがありません。
見てくださりありがとうございます。
1話は本日3月23日の21時に投稿させて頂きます。
お時間ありましたらそちらの方も閲覧よろしくお願い致します。
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