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東口百貨店闇物語  作者: リノキ ユキガヒ
プロローグ
3/25

「百貨店」

 現在ではデパートと言った方が通りがよいだろうか?

 文字通り何でもある店の事だ。

 今では何でもある店の代名詞はコンビニエンスストアやディスカウントショップにそのお株を奪われているが、その代わり高級店というステイタスを手に入れ築き上げてきた。

 東京・日本橋でデパートメントストア宣言の産声をあげ、我が国にその歴史を刻み続けて早150年以上の月日が経とうとしている。

 これだけの月日が流れているのだ。人々の闇もそれなりに飲み込んでいるのは間違いないだろう。

 デパートがもっと豪華に贅沢に進歩する以上に客の欲求はそれを望む。

 その望みを叶えようとデパート側は更に豪華に贅沢にその店構えを飾り立てる。

 そして桃源郷のような売り場で客は己が欲求を果たさんばかりに買い物に没頭する。


 自己顕示の為。


 欲望を満たす為。


 思いを寄せる者の為。


 様々な思いがそこには渦巻き溢れている。

 清濁併せ呑むその混沌とした人々の思惑がデパートの売り場には蠢いているのだ。

 混沌した思惑は何も売り場だけでは無い。

 従業員控えるバックヤードでもそれは怪しく光っている。

 接客業というのはストレスが溜まる職種だ。

 しかも自分達が務める店は高級店を売りにしている店舗だ。

 当然接客する相手はそれなりにステイタスもプライドも兼ね備えたハイソサエティな方々が大多数だ。政界、財界の大物に始まり、

 各界の著名人

 芸能人

 果ては国賓まで

 VIPのバーゲンセールでもできそうな勢いだ。

 この様な職場でストレスを溜めるな、というのが無理な話しだろう。

 勿論、ストレスの元は客だけではない。

 同じ職場で働く者同士でも軋轢は生じてしまう。

 これは致し方の無い事だが、それが歪んだ形で姿を現すとその闇は一層深くなる。

 中には度の過ぎたものも有ったであろう。

 言われのない誹謗中傷を受けたものもあったであろう。

 対人関係のもつれから居づらくなった者もいたであろう。

 華やかなイメージのある職場なだけに人間に潜むドロドロとした闇の部分が冴えだって見えてしまう。

 そして、それは何も売り場に立つ人間だけでは無い。

 デパートを影で支える人間達もだ。

 言わずもながだがデパートに代表される商業施設は色々な人達によって支えられている。


 クリーンスタッフ

 メンテナンススタッフ

 セキュリティスタッフ


 これに


 総務

 広報

 事務


 さらに改装などを手掛ける内装業者。

 商品を納める納品業者。

 エレベーターやエスカレーターなどビル設備をメンテナンスする業者。

 特殊な清掃を手掛ける業者。

 兎に角、様々な人が関わりデパートはその営業をしているのだ。

 そして、それらの出入り業者も様々なスタッフも順調にここまで来たわけでは無いのは想像に難しい事では無いだろう。


 デパート。その華やかな外見とは裏腹にかなり深い闇を抱えている。

 そしてその深い闇は当然の如く長い年月を掛けて積もり積もって行く…。

 それが百年以上ともなるとどうなるのだろうか?

















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