表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「かりそめの花嫁になれ」と冷遇されましたが、むしろウェルカム!~問題ありません、私は魔法の研究と実験さえできればそれで!~  作者: YoShiKa


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/17

3.北の離宮と興奮

 白すぎるほど白い結婚生活が始まってから一ヶ月。

 とうとう訪れた北の離宮は、かつて国王の愛人だか妾だか側室だか、とにかくそういった女性達が住んでいたらしい。


「申し訳ございません、レティ様。こちらではこの者達が……」


 案内してくれた老齢の侍従長が、申し訳なさそうに頭を下げる。

 王子妃()付きとなった数名の侍女、料理人、庭師など、離宮における最低限の使用人が紹介された。

 こんなにも少ない人数で申し訳ない、ということらしかった。

 加えて、使用人たちは誰しもが『厄介払いされた地味な花嫁』として私を憐れんでいる。

 きっと『王子に愛されず、こんな僻地に追いやられて可哀想に』と思っているのだろう。

 それは分かる。私も逆の立場で事情を知らなかったら、そう思うに違いない。


 が。

 今の私は使用人たちから向けられる憐憫の眼差しどころか、紹介にすら構っていられなかった。


(ああああっ、素晴らしい! このひと気のなさ! 適度な荒廃感!)


 北の離宮は王都から馬車に揺られること三時間。

 僻地でしかなく、気軽に訪れられる距離ではない。

 だから、まずまず人が立ち寄ることなんてない。有り得ない。

 そして、この通り。常駐している使用人も少ない。


 つまり、誰にも邪魔されずに魔法の研究や実験もできる。やりたい放題!


「お品物のご用意にお時間をいただく場合も……」


 まだ説明が続いていた。

 私はやっと、侍従長に意識と視線を戻した。

 王都が遠いのだから、物品の手配に時間がかかることは当然。

 使用人が少ないのだから、王宮ほど一瞬で何もかも仕上がらないことは当然。

 それを「不便をかけて申し訳ない」なんて思わなくてもいいのに、侍従長は心底申し訳なさそうにしている。

 

「気にしないでください。私は静かなのが好きなのです。……ところで地下で一番広い部屋は?」

「は、はあ。地下室で最も広い場所となりますと、かつての食糧庫がございます」

「窓はありませんね?」

「もちろんでございます」

「最っ高です。そこを私の私室にしてください」

「は、……は?」


 侍従長は、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をした。

 おっと、いけないいけない。

 私は王子に見捨てられるほど「病弱で大人しい花嫁」だった。

 えっと、地下室の理由理由……。


「――実は太陽の光が苦手でして。地下で静かに療養したく……」

「さ、左様でございますか」


 よし、誤魔化せた。

 誤魔化せた?

 まあ、よしとしよう。


 私はこうして、念願の引きこもり研究所もとい離宮の私室を手に入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ