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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

空色杯「五百文字未満の部」参加作品

笑うノート

作者: 野中 すず

 五百文字制限企画向けに書きました。お題は「本が捲られるような音」です。

 

 バサバサッ!


 鳥が羽撃(はばた)く様な――、乱暴に本が(めく)られる様な音で那美(なみ)は目覚めた。

 いつもの悪夢から解放され、喉が異常に渇いている。


 時計の表示は午前7時前。


 那美は寝室から台所へ向かった。





 

 バサバサッ!


 薄暗い台所のテーブルの上に、(いろ)()せたノートが開いていた。

 表紙と背表紙はテーブルから離れないが、他のページが勝手に激しく捲られ続けている。


「俺を覚えているか?」


 ノートから声が聞こえた。

 那美はまだ悪夢をみている。


 確かにそのノートに見覚えがある。

 しかし表紙は見えない。

 ノートの内容も捲られる速度が速すぎて見えない。


「分からないわ」

 那美は答えた。

「あの愛も忘れたか?」

 ページが捲られる音は止まらない。

 笑う様にバサバサと。


(あっ!?)


 ようやく那美は気付く。


 このノートは死んだ夫と高校生の頃にやっていた交換日記。

 あえてメールもラインも使わない事を「愛」だと勘違いしていた。


(今は違う。真実の愛を私は知っている)


 またノートがバサバサと笑った。


「喜べよ。()()()()を選んだお姫様」

「何を?」

「お前の罪を見逃さない連中がもうすぐ来る。お前と一緒に亭主を埋めた男、お前に()()()()とやらを教えたあの若い男の家にもな」




 ……ピンポーン。



 最後まで読んでくださりありがとうございます。


 御感想、評価(☆)頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。


 ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
これは……笑っているのかしら?それとも?うふふ。 500文字未満でこのボリューム。 楽しませて頂きました、ありがとうございます。
ホラーやサスペンスといった、短い中にも…いや短いからこそ様々な想像を掻き立てられる、恐ろしくも面白いお話だと思いました! 「まだ悪夢を見ている」という言葉が、現実も悪夢のような状況に変わりないのでは…
冒頭の部分で心を掴み、その後背筋に悪寒を感じさせながら本物の愛って何?果たしてこの世界から逃れられるのか?という感覚に陥らせ、最後の一文で悪夢から目が覚めたように現実世界に戻って来れた感じがしました …
感想一覧
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