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95.粋がり

私達は友好的な黄昏棟の者達との会話はそこそこにして帰路についた。


「あの教官長はだめだよなぁ。」

ユスティアがまだ言っている。


あれから教官長とは会話した。

私は中齢層の戦力分布について上手く聞き出そうとしたが、『それは言えん。言ったら処罰される』との一点張りで話にならなかった。


「ユスティアはセシザのことを雪猫団のリーダーのシャバトゥラくらい強いと言っていましたね。

 教官長はそれよりは下という印象でしょうか?」

私はユスティアに聞いてみた。


「シャバトゥラさんはリーダー代行ね。

 世界に50人くらいしかいない精鋭中の精鋭、デュナトスTier2相当の強さと言われていたよ。

 教官長はそれに比べれば…Tier3上位ってところかなぁ。」

教官達はデュナトスTier3、戦闘向きでないノアテラも一時Tier3だった。Tier3の強さはピンキリということか。


「Tierってあまりわからないけど、強さを表す感じ?」

私をおぶってくれているルレウが話しかけてきた。


「うん、私はデュナトスを相手にしていたから肌感でわかるのよ。

 雪猫団のようなアウトローを討伐しに来るデュナトスは、チームで動く。

 討伐のチームリーダーは最後スピリエを除けばいつもTier3かTier2相当の相手だった。

 Tier2からは化け物で、少し交戦したらシャバトゥラさんがしんがりをして撤退命令がでるんだよ。

 Tier2上に11人のTier1、下にはTier5まであって、Tier5なら何万人もいるようだし、デュナメイオンの参加者は皆なれるくらいだと思う。」

メイラ先生がTier2だから、メイラ先生も化け物の部類かぁ。イメージがわかない。


「ふーん。わたしには関係ないか。

 アテラはクェルティナさんと話した?」

「いいえ、黄昏棟の方でしょうか。」

「うん、最後までアーズってやつと戦ってた人なんだけど、干渉属で、平和主義を強く意識させて戦意を喪失させるデュナミスをもっているみたい。平和幻想という希少種だよ。」

平和幻想…効果はみた。平和主義刷り込みなのに、幻想などと命名するところがリアリティあるなぁ。


「それで、もしかしてコピーさせてもらえるのですか?」

「うん、恐らく次は全層解放の開発プログラムが来るんだって。」


競争プログラムにおいて、最初の『投資』は順位が初齢だけに限られていた。

それが『攻城戦』になると棟を越えた戦闘を意図させた内容になった。

なぜなら、どの色も1色落とさなければならない中、5色、つまり奇数という余りがでる環境だったから。


きっと開発もその流れに合わせるのだろう。最後は全層サバイバルでもさせるつもりかもしれない。


「平和幻想だなんて。私の最も忌避するところだな。」

ユスティアはそう言った。私もこればかりは同意せざるを得ない。


「ユスティアには言ってない。ユスティアは真逆なの知ってるから。」

「ルレウ、戦いを避けて平和になるより、戦いを乗り越えて平和になる方が現実的ですよ。」

「あー、アテラもそっちなんだー。」

ルレウは子供のように口閉じてへの字にする。


本当だったら主張を譲ってあげたいけれど、さみしがりのルレウには私以外にも興味を持ってもらうように本音でぶつかってやろう。


「いいえ、ユスティアは戦闘狂、私は戦いを辞さない平和主義ですから少し違います。」

「戦ったら同じだよ。傷つく結果は同じ。」

「傷つくことは成長、そして先に行くために必要な過程です。

 成熟した者でないと真の平和にはたどり着けませんから。」


「まーた難しいこといって。傷ついて元に戻らない人だっているんだからね。」

「起こるべくして起きる戦いを無理に止めて、それで皆傷つかないだろうなんておこがましいと思います。

 それこそ世界を統一すれば平和と考える支配者達と同じくらいに傲慢です。」

「…」

「あと、戦わないという結果によって増えた傷つく人達はどう見ますか。

 戦わない者こそ人を傷つける基準を見失いがちです。存外そちらのほうが多く傷つくかもしれませんよ。」

「…もういい。」

ルレウはそう言うと機嫌を損ねて、私を下ろして離れて行った。

戦いは悪と啓発するより、戦うコストを認識させることの方が遥かに現実的だろうに。



「アテラ、女の子を正論で言いくるめるの悪い癖だね、ふふ…。」

ユスティアが私をおぶるように後ろを向いてそう言った。


「う、確かに…。」

「ほら乗った。」

私はユスティアにおぶってもらった。


「このような一人で行軍すらできない未熟者なのに言葉が過ぎました。反省します。」

私は自分の恰好悪さに気づいた。

恥ずかしいことにルレウにおんぶされる身ながら嬉々として正論をぶちまけていたのだ。


「うーん、男の子は自分の脚で歩けたとしても歩けないがごとく謙虚に、粋がらないことが大事だよ。」

粋がる…?

…ああそうだ、その通りだった。

振り返れば私はそんな態度だった…。


強者のはずのユスティアがやけに真理をついてくる。

そういえば以前、女の子ユスティアも怒らせたんだった。


「…その通りでした。その言葉は金言です。

 これからはユスティアにも謙虚に行きたいです。ありがとうございます。」

「わかればよろしい。ふふ…。」

あとでチターナあたりにルレウのケアを頼もう。



「はぁーい、みんな気になる終齢層の情報よー。」

ラニュヤから暗号が流れてくる。


「終齢層の『攻城戦』は膠着状態。でも面白いことに2色 対 3色で組み分けられているわ。

 うまくいくと3色が1色失って2色を破って、丸く収まるかもしれないわね。

 動きがあったらまた連絡するわ~。」


終齢層は2同盟に分かれて総力戦を行っているかもしれない。

もしラニュヤの言う通り戦わずしてプログラムを終えられるなら楽だろうなぁ。

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