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94.宣戦布告

白刃棟へは完全再生を終えたレーテに先行してもらった。


レーテと分かれた後、暗号が飛んでくる。

「中齢白刃は、『最強の脳』、『最強の刀』により破壊に成功した。

 今回はナズナにより初齢白刃の手柄となった。よって黄昏棟はアテラが破壊しろ。」


…そうきたか。

レーテは先に行ってしまった。


「あー、戻らなきゃだね」

ルレウがそう言った。


「みなさん、中齢白刃は初齢白刃により破壊できたそうです。

 黄昏は私が破壊します。」

ヤンクとユスティアがうなづく。

ミュミテは無言でついてくる。


黄昏棟に入り、また大広間に戻ると、教官が1名ふらつきながらも立っていた。

「運が悪いね、強い方だよ。」

教官をみてユスティアがそう言った。


「ルレウ、ユスティア、なんとかお願いします。」

『種族の根源』さえ破壊すれば終わる。

後少しだ。


私は地面に落ちている小ぶりのマチェーテのような刀を拾い、『種族の根源』に近づく。

背後ではルレウとユスティアが教官に攻撃を仕掛けている。


黄昏棟の『種族の根源』は、黒い巨石のような形状で、いかにも硬い印象だった。

私は刀で斬りかかるが、キンッと石に弾かれてしまった。


う、もう一度。


今度は両手でできる限りの力を加えて振りぬく。


カァン


「なにやってんの。」

ミュミテにそう言われる。


…手が痺れていたい。

非力すぎて『種族の根源』を破壊できない私…情けない…。



後ろを振り向くと、ルレウとユスティアは二人がかりで教官と戦闘している。

どちらかというと押されているように見える…。

やっぱりあれは普通の教官ではないんだ。


多重の変化デュナミスがある私は増強も受けることができない。どうする…。


「あたしやれることある?」


…ミュミテのその声を聞くや否や、私は思いついた。


私は『種族の根源』の上に乗り、マチェーテの刃先を『種族の根源』に当てて立てた。

「ミュミテ、デュナミスのできる限りで高所へ分裂して、その落下力でこの柄を叩いてもらえませんか。」

「…外すかも」

「お願いします。今ミュミテしか頼れる人がいないんです。」

「はいはい。」

外したら私の腕が飛ぶだけだ。腹をくくろう。


近くの斧を持ち分裂しながら高所に飛んで上がるミュミテ。

大広間の天井付近までいくと、斧を振り上げて自然落下した。


自然落下した後は、斧を横向きにして振りかぶってくる。ちょっとこわい。

そのままミュミテは、私の支えるマチェーテの柄を、釘を叩くトンカチのような原理で叩いた。



ガキイィイン!


柄を斜めに当てられたせいか、私はマチェーテ毎横になぎ倒された。

倒れた私はすぐ前を見る。


目の前の『種族の根源』はぱっくりと真っ二つに割れていた。

やれたのかな…。


「アテラちゃん貸し1ね。」

「はい。」

ミュミテの現金なところは致し方ない。

それより今は感謝の気持ちのほうが上回っていた。



「あー負けたかあ。早いなあ今年は。」

教官が言葉を発する。

これで全部なんとかなった…。セシザも、5色足並み揃えての勝利条件獲得も。


「あぶなかったねー。」

「皆がんばったよ。うん。」

ルレウがそう声をかけ、ユスティアが反応した。


「みなさん、お疲れさまでした。けがを癒して初齢層へ一度帰りましょう。」

終齢層の動向に懸念はある。しかし今は皆疲弊した状況だ。


「『最強の剣』なんてもう二度とごめんだね。俺そんな有能じゃないから。」

「アテラからのお返しは何にしようかなあ。」

ヤンクはこりごりといった様子、一方ミュミテはまだ元気なようだ。


みんなでゆったり集まっていると、黄昏の人が近づいてきた。

平然と歩いており、恐らくアーズのデュナミスの効果が切れたようだった。


「君たち初齢からきたのか。すごい奴らだな。」

「はい、ご不便おかけしますが食料はお持ちできると思います。」

もはやセシザの情報も不要。今は恩を売る…というか恨みを減らすフェーズだと思う。


「そうだな…そうしてもらえればありがたいな。

 何よりアルドゥークを退けた者がいるというのがこちらにとって希望だ。」

セシザ…そんなに暴れ回っていたのか。


「あと、うちの教官は教官長だったのによく戦えたなぁ。」

「あれ反則じゃない?他の棟の教官二人分より強いよ?」

黄昏の者に、ユスティアがそう答えた。


「仕方ない。戦力不足感のある棟に配属されるらしい。

 つまり僕たちは中齢では出来損ないってこと。ははは。」

「それでもずるいなぁ。」


教官長を加えれば中齢層にユスティアが1体1で勝てない相手が3人はいた。

バズラス、セシザ、そして教官長。

アーズだってユスティアでは勝てたかどうか。中齢白刃の前にはどこも戦力不足だろう。

あとは中齢赤誠の攻勢部隊が未知数なくらいか。



そんな中、暗号が送られてくる。

「中齢白刃との交渉に失敗した。

 我々はこれまで中齢諸色と戦後処理を平和的に行ってきた。

 あの好戦的と言われた中齢赤誠でさえも、食料補給と引き換えに次回競争プログラムでの奇襲禁止を約束できたほどだ。

 しかし、中齢白刃とは完全に決裂した。

 彼らは次回競争プログラム開始と同時に我々に宣戦布告し、徹底的に潰すとのことだ。」


中齢白刃との決裂…きっとセシザだ。負けたことがよほど悔しかったらしい。


次は対策をとれる。

あいつが殺しに来るのならこちらにも考えがある。最後の競争プログラムでは最強の布陣で相手をしてやろう。

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