表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/109

89.偽装した者

「それでは食料の保証はしてもらえるということでよかったでしょうか。」

中齢黒風側の鳥族女性がそう話す。

「ええ、姉のセンシアからも直に説明の通信が来るでしょう。

 当方の都合によりご不便おかけしてしまい心苦しく思います。」

丁寧に答えるチターナ。


「俺が天井に防備を張っていればなあ、侵入を防げたなあ。」

バズラスはとても悔しそうだ。

天井にもあれをできるのか。


「天井にも貼ってあれだけ周囲も守るとしたら凄まじいデュナミス量ですね。」

「ははは、成長速度を速めるデュナミスだが植物は自然由来だ。

 倍々に増えるから、突破されるとしたら最初だけ。

 俺のデュナミスは最強の盾なんだよ。

 …今回は負ける気しなかったんだがなぁ。」


成長を続ければこのデュナメイオンを覆い尽くすこともできるということだろうか。

そんなのあってよいのか…反則レベルのデュナミスだと思う。


不意に暗号が飛んでくる。


「『最強の刀』からの報告だ。

 中齢黒風の『種族の根源』は破壊した。

 破壊者はシュゼ、つまり残りの二棟を赤誠と白刃で分ければ全員勝利条件の1つを満たせる。

 次の棟は黄昏だ。戦力情報を待て。」


今更ながら『最強の脳』はただ情報共有だけの『平凡な口』でしかないと思った。

刀がいるからこの愚痴をハクレイへ発信してみようかなあ。


「バズラスさん達、お手合わせありがとうございました。

 次のプログラムでも仲良くやりましょう。」

私は適当に挨拶してルレウの背中に乗る。


「ルレウ、外へおねがい」

「はーい。」


そしてチターナに目線を合わせて、口真似で『あとでね』と3回メッセージを送る。

チターナはうなづき、ウインクして答えてくる。

さらにメイにも手を振っておいた。


黒風棟の入口へ。

バズラスの植物の壁が本人の言う通りの能力ならば、中齢黒風はかなり知恵不足ということになる。

初手で植物を山盛りにして、殆ど攻撃隊にする、もしくは同盟である青月の援軍に出せばよかったのに。

中齢こそ知略の巡らせ合いが起きていると思ったがそうではないのかな。


「また次?早すぎー」

入口外で座り込んでいたミュミテがついてくる。


「アテラ、もう中はいいのかい?」

同じく入口外で座り込んでいたレーテが話しかけてくる。


「はい、無事完了です。次は黄昏棟になります。」

「よーし、今度こそ活躍するぞー」

「私も、活躍するぞー」

「アテラは無理。僕に状況をちゃんと伝えてくれたらいいから。」

活躍するぞーと言ったレーテをちょっとかわいいと思って真似したのに素へ返されてしまった。


今回レーテを無効化されてしまったのは私のせいだ。

ユスティアとレーテの戦闘力を生かすにしても、もっと考えて戦術を組む必要があった。

次は黄昏、セシザがいるとされている白刃が本命とすると、まずここで汚名返上しておきたい。


黒風棟をでて少し行ったところでみんなを止めて待つ。


「…ぉーい。」

しばらくするとどこからか声がしてきた。


「アテラ、きたよ。」

全然何も見えないところからチターナの声がする。

足音や気配にすら気づかなかった。この透明化デュナミスは本当に素晴らしい。


「チターナ、『最強の脳』にあなた達の仕事は『平凡な口』ですか?と伝えてもらえますか。」

「ハハハ辛辣だね…。伝えるのはニェラルだからオブラートに包むかもしれないけれどいいかな。」

「はい、あと次の黄昏棟ですが」


「やっほー、黄昏棟の情報を伝えるわよー。」

私が言いかけた途端に『最強の目』からの暗号が来る。


「黄昏棟は棟外と一部中で混戦状態。恐らく相手は白刃だわ。

 早急に落としにかからないと先に取られちゃうわよ。」

背後に敵のいない白刃ならば確かに仕掛けてもよさそうな状況。にしても動きが早い。


「棟外110名以上、棟内20名程度。

 棟内は未戦闘か、恐らく人数で優位に立っている黄昏が優勢で、棟外は人のざわつきがどんどん棟寄りに遷移していることから白刃が優勢にみえるわね。

 なお白刃には黒風の-215をさらに超えて、-233というデュナミス値がいるわ。

 ウイが今まで見た中でも最高記録だそうよ。

 他にも-219が1人。これだけの相手には力押しできないと見た方がよいわ。」


-233、凄まじいスコアだ。

恐らく本デュナメイオンで最もマイナスの大きいデュナミス値ではないだろうか。



手短に情報連絡は終わった。

私は『最強の剣』に暗号内容を伝えるより早くチターナに話しかける。

「チターナ、大至急なのですが、白刃の棟を可能な限りの速さと隠密で『最強の脳』と連携して落としてもらえませんか。」


当然の行動だ。当デュナメイオン最強クラスの者が二人も黄昏棟に攻めに出ている。

きっと本拠地は手薄に違いない。ハクレイもそう考えると思う。


そして次は『最強の剣』に向けて少し声をはって話す。

「みなさん、敵は黄昏棟です。

 黄昏と白刃が交戦しているようですので今回最大の戦いが想定されます。

 そして残り時間がありませんから、強行軍で向かいましょう。」

「やろう!」「うん!」「活躍するぞー」「がんばろうか」「めんど」

1人除き、とてもよい返事が返ってくる。


その声のすぐ後に、足腰に増強デュナミスがかけられる。

そして風を切るように前進を始める。

セシザ達相手にどこまでやれるか。私は頭をフル回転して戦術を組み立てていく。


そして遠くなるミュミテへはこう言っておいた。

「ミュミテ!この先に恐ろしいほどの美男子がいますから、惚れやすいミュミテは不要です。さようなら!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ