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77.攻撃第一主義

初齢会談は13:00より開始される予定となっている。

私は先ほどの『攻城戦』プログラム説明を終えて赤誠の統制を終えると、ムイと第4棟へ向かう。


第4棟内は、まだ30分も前というのに各々の色の代表と副代表が既に集まってきていた。

私とムイは前回と同じように円形にされた机に着席する。


私達の後にすぐナズナ、ラニュヤが来ると、ハクレイ、ユスティア、カルテイン、シーケウス、レーテ、サミャー、早くも全員が揃った。


「はあい。やっぱりはやいわねみんな。」

「せっかちさんが多いのね。急ぎすぎて化粧がとれちゃうくらいだったわ。」

ナズナとラニュヤはそのように話した。

まだ現在は20分前だ。


「事が事だけにな。早く同盟の方針を持ち帰りたいのだ。」

「ええ、次回盟主ハクレイがどう出るかで棟内もちきりです。

 私達は同盟の決定を聞きに行って来いとすぐに追い出された形だったよ。」

シーケウスとカルテインがそう話す。

一度黒風に追い込まれた黄昏の人々は不安なのだろう。



「早々に集まってもらえてありがたい。

 まずは、本同盟の盟約である安全保障と、プログラム優位を取るための他層制覇。

 今もこれらに疑いの余地がないことを承認いただこう。」


ハクレイは突然手をたたき出す。これは拍手で合意を表明しろと言うことだろう。

私もすぐ後に続く。

その後に各色も特に表情を変えぬまま手をたたく。

強引ではあるが、この確認は進行上効率が良いのかもしれない。


「全員の承認を得られた。

 ではこれから明日以降の中齢層の攻略案を説明する。」


ハクレイは淡々と続ける。

戦闘の火ぶたを切るその流れを、今から知るであろうことに緊張を隠せない面々。

しかしレーテだけは僅かに笑みがこぼれているように見える。


「大筋の方向性として、中齢層、終齢層の全撃破を目指す。

 競争プログラムの内容がもう少しマシなら中齢層の撃破までを考えていたが、プログラムのルール上、勝利条件を得ていない色がかならず戦闘をしかけてくるためだ。」


「そして侵攻を始めるのは初日がいい。勝利条件を得た後は裏切る必要がないからだ。

 早々に初齢層5色分の棟落としを成立させる。」


「迅速な棟落としを叶えるため、チーム編成にこだわる必要がある。

 大軍は防御に回し、必要最低限の精鋭での攻勢を提案する。」


ハクレイはここで一度話を止める。

みんなの本意はどうであれ、ここまで筋が通っていて反論の余地はなさそうだ。

私はハクレイを見て頷いた。


「ではこれから俺が四チームを挙げる。」


「第一、『最強の脳』は各棟および四チームの情報を最適な指示にして送る指揮担当。

 ハクレイ・シラハ、

 カルテイン・グニティエル、

 ナズナ・ルナ、

 サミャー・チュエル」


「第二、『最強の目』はあらゆる情報を素早く指揮や前線へ送り込む知覚担当。

 ラニュヤ・ニェルニュ、

 セーラム・ザザ、

 ウィグヌー・アンズナイア、

 リーネ・ハグーバーク、

 ワラー・クァルテト」


「第三、『最強の剣』は最前線で真っ向勝負して、勝ち続ける攻撃部隊。

 レーテ・シンキュイン、

 ユスティア・タッタ、

 ミュミテ・ゼオラ、

 ルレウ・シエファ、

 ヤンク・ショムス、

 アッティラ・ラシュターナ。」


「第四、『最強の刀』は隠密しながら敵城を落とす裏の攻撃部隊だ。

 シュゼ・ゼオラ、

 チターナ・ドルフォナ、

 メイハーネ・トトー、

 ニェラル・ソーラ」


私の提案に沿った部分が半分くらいしかない。

特にチームアテラがムイ以外編成されていることに意図的な何かを感じる。

でもあのハクレイが半分でも私の意見を採用してくれたことに感謝すべきか。


「初齢最強の脳、ハクレイというわけですか。私はアテラさんの意見を聞きたいです。」

カルテインの猜疑の目。

私が『最強の剣』に組織されてしまっていることが気になるのかもしれない。

それならばハクレイの意図は何となく読める。


「私は、代表や盟主という役をもっていながら自分のデュナミスを開示しないという選択をしてきました。さらに機器測定の結果は『---』トリプルマイナス。

 得体のしれないこの存在は信用の上では危機的であり、身を投げうつ覚悟が必要と受け取りました。

 信用は私の重要視する価値の1つですから望むところです。」

便宜上私はそう語った。


恐らくハクレイの意図は、私の発言とは異なりユスティアの取り扱いにある。

合理主義なハクレイがこれまでユスティアのよりも私の意見を優先してきた理由。

それほどユスティアの『紫の目』はハクレイの手を持てあますのだろう。



「アテラさんがそういうなら申し上げることはありません。

 …あと1点。

 危険な作戦に黒風7人、赤誠5人と輩出いただき貢献に感謝しておりますが、棟落とし役となる『最強の剣』、『最強の刀』に白刃が含まれておりません。

 これでは白刃に勝利条件を満たす機会がないのではないですか。」


「中層4棟を落城させたら残り1棟は残す。あとは成り行きだ。」

ハクレイがそう答えると、カルテインはナズナを見る。


「ご心配ありがとう。わたしは訳あって中齢にすぐに飛び込めないの。この編成は都合がいいわ。」

ナズナはきっと女帝をたらし込んだ男のことをいっているのだろう。

私情による判断だと思うがここは変にもめないよう口をつぐむ。


「承知しました。全代表が納得する配慮された編成に感服の限りです。」

カルテインはしっかりと民主主義的なプロセスを作ってくれた。

彼の性格かもしれないが、とてもよい役回りを演じている。


「では続けよう。

 守らねばならない決まりだ。

 この精鋭四チームは『最強の脳』のメンバーが開始以後指揮権を持つ。

 各々指揮の範囲で行動せよ。

 しかし『最強の脳』が10分以上指令を出さない場合、指揮権は放棄されたと判断して各チーム自由に行動すること。」


「次に、『最強の目』は、この四チームのメンバーだけが知る暗号を幻聴デュナミスで伝えること。

 そして『最強の脳』だけにではなく、できるかぎり全メンバーに連絡を流す努力をすること。」


「『最強の剣』は指揮の範囲で真っ向勝負を心掛けよ。

 相手が何人こようが派手に戦うこと。」


「『最強の刀』は『最強の剣』はいる限りは棟を落とし続けろ。

 細かな作戦は漏洩も防ぐため当日指揮にて行う。

 以上だ。」


あいまいな作戦ではあるが、私を除く全色は『最強の脳』にいるのだから問題ないのだろう。


「さすがハクレイだ。お前以上の作戦はきっと他にないな。乗った。」

レーテが声をあげる。

多分深く考えていない。


「盟主に従います。」

私もこのように答えた。


「『最強の剣』が主人公よ。明日が楽しみだわ。」

「貢献ができず恐縮ながら、案には賛成です。よろしくお願いします。」

ナズナとカルテインが言った。


「それでは全会一致ということでよいか。」

ハクレイが落ち着いた声でそのように言うと、今度はほぼ同時に全員から拍手が上がった。

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