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64.王の種族

「ユスティアは存外素直な奴だったなぁ」

黒風からの帰り道、メイが言った。


「その素直さから危険性を感じとってしまいます。」

「用心深さは大事だけどね。

 レーテ、ユスティアと、初日に暴れた私達以上の実力者が2人もいるなんてね。

 ただ見方を変えれば戦力。

 初齢同盟合意書にある通り、初齢全体が優位に立てることならば、できるだけ前向きにいけたらとも思うよ。」


メイの言う通りだ。

私の直感は些末なものだと思いたい。


「アテラ、貴方が獣王を知らなかったようですので、情報を入れておきます。」

ウイが話し出す。


「獣族、鳥族、竜族、虫族、両族、蛇族、軟族、魚族、無族の計9族のうち、王の種族として50年君臨できたのは獣、鳥、竜、蛇と無の5族。

君臨期が2500年を超える無族の天族と、竜族の剛竜は特性性能も別格ですがかなり扱いづらいです。」


「獣王の猫族『紫の目』、発動は希少種の視認、

 鳥王の翼鳥は『藍の羽』発動は大嵐のような天候、

 竜王の剛竜は『赤の鱗』発動は瀕死の怪我、

 蛇王の蛇竜は『青の牙』発動は極限の空腹、

 無王の天族は『黄の紋』発動は同族の大量死、

 それぞれ王の種族と特性は覚えておいたほうが良いです。」


ウイ様のデータベースは本当に素晴らしい。

2500年前…つまり根源的にマジョリティ優位の仕組みがあったということだ。

そして、はるか過去より、この仕組みの奪い合いもマイノリティ迫害の要因になっただろう。

そのような熾烈な戦争が繰り広げられてきたからこそ、今の強力な平和の仕組みができたと憶測してしまう。


私達は赤誠棟に戻ると、得た情報をチーム内に限らず赤誠のみんなに伝えた。


その日はユスティアの信頼性や他の重要人物の考えや動向の予想、対他色への対応方針までに話を詰めていった。

まとまった結果としてはこうだ。


白刃とは、配給物スイーツや情報源のやり取りをして、戦力を求めない。

これは白刃自身が総意としてデュナメイオンのNo.1を狙っていないであろうこと、そして比較的温和な空気を感じたことからそのようになった。

さらに白刃随一の能力者であるナズナの包含属、体力食いを使ってしまったらその後相手からの強い怨恨を買うことも一因した。


黄昏とは、ルレウのチャーム反動が消えるまでは共同作戦を避けて定期連絡及び要望に応えるのみとする。

これも黄昏全体の温和志向が見えていることが第一、そして、チャーム反動が初齢同盟の亀裂にならないことも考慮された。


青月とは、いざ作戦会議となれば、再生能力レーテを軸とした敵線突破部隊を提案することにした。

プログラム次第ではあるが、『投資』ですら優位に立つために実力行使が起きた現実を考えると、今後も対決を前提とした作戦展開をするべきだろう。

中齢層の制圧案はそこから生まれた発想でもある。


黒風とはハクレイを通さずに個別の対応をしない。とした。

ユスティアの戦術は切り札になり得るが、それが裏返った時のダメージも甚大だ。

ルレウもそれを同意したところで、最後はハクレイに委ねることとした。


ハクレイを信用するかについてはチーム内でも2分化した。

しかし、ハクレイチームは自己の勝利というわかりやすい基準において、少なくとも中齢制圧までは裏切ることはないという見解で一致した。


おおよそ、このような方針となり、今後の初齢会談において話す機会があれば私が代弁するとした。


この流れが赤誠内で作られていく中で、赤誠も本来であれば黄昏のような傾向を持つことを確信した。


そもそもデュナメイオン参加しているという時点で、全員デューナメース認定企業の試験をクリアするほどの教養の持ち主なのだ。

自ずと民主的運用になること、それが既定路線で間違いない。


そうなると、転生した私や、不毛の地出身のハクレイ達のような異常者が、民主進行と比較してこのような突貫的な大同盟の構図を発生させたと受け取れる。


今がデュナメイオン開始からたった5日目の夜。

先ほど赤誠に書簡が届き、初齢層会談は明後日の7日目。明らかに早いと思う。


合理性の高い人が揃ったとしても、層全体で連合を組もうなどと考えるのは第一プログラムの結果後ではないだろうか。


この迅速突貫な生き物のような構図が、凝り固まったポリコレ企業の既定路線を破壊できる可能性があると考えると、とても胸が躍った。




そして、プログラム『投資』の終了まであと4日。

私はムイの作成したハクレイとのスワップ合意書の失効を確認すると、できる限り他の色にもスコアが回るように書簡を回した。



初齢層各位


まだ投資を終えていない方へお伝え下さい。


現在、アテラとハクレイのチームが圧倒的スコアを獲得しており、価値増加が尋常ではありません。


しかし、この増加は、あなた方が投資した後に、さらに積み増した量から計算するため、後で投資した者が不利となる設計です。


さらに、アテラとハクレイは初期に相互投資をしております。

つまり、他色が後で上乗せするほど二強の構図を強めてしまいます。


デュナメイオンでは、同色内の裏切り行為が禁止されていることから、同色の信用は築きやすく、これは、同色の高スコア者さえいれば、分配を交渉しやすい環境があると言えます。


そこで新たに白刃のナズナチーム、青月のレーテチーム、黄昏のカルテインチームを挙げさせてもらいます。


この3チームは初齢同盟における首長であり、今後も各色の代表として認められた方々です。

今後のプログラムで還元の機会も検討していただけます。


投資締め切りまであと4日です。

アテラとハクレイへの投資を避けましょう。

そして適正な分配、戦略的還元の策にご協力をよろしくお願いします。

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