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36.戦闘狂

「なんと…最初から全面戦争となるのか…」

「奴ら許せん。」

シーケウスが事態を呆然としてつぶやき、メイが怒りをあらわにする。


「戦争の判断はまだ早いです。誰だって無償で20デューンもらえるならばもらいますから。その1チームを徹底的に挫けば沈静化できる可能性はあります。」

私は声を張り上げた。

パニックになって全面戦争が起きるのは赤誠としてもよくない。何よりここで戦意のない黒風に攻撃でもしたら先導切ったルレウが無事では済まない。この意見を強引に力押しなければ。


「黄昏さんはルレウの遠隔連絡があるはず。それが来るまでは待機すべきです。

チームアテラは黒風に捕縛されたメンバーの救出、およびルレウを探しに行きます。」

「仕切るねえ。乗った!」

「急ごうか、状況が悪化する前にね!」

私のような子供の発言に乗るチターナ、メイのテンポの良さに助けられる。


「シーケウスさん、くれぐれも早まらぬ様。ルレウさんの安否に関わります。」

私は小さな声でそう伝えると、高く手を挙げて走り去る。


みんなが後に続き、メイが増強デュナミスをかけてゆく。

「アテラはアタシが運ぶからいいよね。」

「軍師様は飛脚の上にて座して待つのみ。」

メイはともかくリーネのあおりがだんだんひどくなってきている気がする。


「勢いよく出て来たけどアテラ何か作戦があるの?」

チターナよく聞いてくれました。戦慄の我がアイデアを説明しましょう。


「ぼくの背中にはクモがいるんだけど…」

「うわっ」

メイが驚いて私を落としそうになる。


「なんだこのクモは」

「触ったらだめです」

メイが抱っこを片手に切替えつかみ取ろうとしたが制止した。

多分メイはクモを捨てていただろう。あぶなかった…。


「これがルレウの遠隔で連絡する装置で、干渉デュナミスで操作、幻聴、共有を使い実現するそうです。」

「へえ面白いね、それが作戦と関係が?」

「このようなデュナミスの連動に着想を得ました。」

「うん。続けて。」

あれ、遠隔連絡デュナミスコンボを聞いた反応が薄い。感動すると思ったのに。


「まず、ウイがなるべく遠くから観測で敵を発見する。

見つけたらメイがチターナの脚腰にできる限りの増強をかける。

チターナは全速力で敵に向かう。

さらにメイはチターナへできる限りの引斥デュナミスで前進加速をかける。

チターナはその増強速力との引斥速力によって凄まじい早さで前進しながら敵チームに突撃する。

チターナは、自身から見れば敵チームがすごい早さで近づいているはずですから、それをもてる全力で反射する。

反射の衝撃で敵チームは壊滅、名付けてチターナ・ボムです」

「…」

「…ネーミングはともかく、恐ろしい威力を出せそうなアイデアね。メイのデュナミスの速さ次第では殺しちゃうかもしれない。」

チターナはネーミングが気に入らなかったようだ。


「反射範囲を制御するんです。地面から自分の脚くらいの高さまでに。」

「脚をやるってことか…。」

「そこでリーネの干渉と回帰です。干渉は幻覚で痛みを増幅させて考える余地をなくさせる。でも敵一人だけそれをかけずに回帰で直すんです。死の地獄と希望があれば誰だって希望を選びたくなります。」

「アテラ…」

あぁ、メイの軽蔑のようなまなざしが辛い。


「あの、アテラのドス黒さについては全てが終わった後に尋問するとして、その案には2つ穴があるよ。1つは私の反射が敵のデュナミスと相殺してしまう可能性。もう1つは敵を殆どを補足できず通り過ぎてしまう可能性。」

「補足に関しては自信があります。数百人の同時観測もできますので。大まかな敵位置は干渉で共有できます」

やはり、その精度があるからこのメンバーをあの大勢の中からすぐに集められたんだよね。

共有もしていたとは、ウイのデュナミスも相当強い部類だろう。


自分で言うのもだけれど、この猟奇的な作戦にやや軽蔑的な反応こそあれど誰も異を唱えないのがみんなの戦闘狂っぷりを物語っている。

私は今、ゲームのMOBなんだ。だから客観的で冷徹になれるんだ。

この作戦の最大のリスクはアテラの人間性について皆が疑念を持つことだろう。


「相殺について楽観的予想ですが、チターナのデュナミス総量に勝る相手はいませんよ。」

「そうか。力押ししてしまえばいいか。」

チターナはすんなり納得した。


メイが私を抱えながら半分振り向く。

「リーネも大丈夫?壊滅させるところまでは見えたけれど、リーネが最も過酷な…」

「大丈夫。アテラの命令だからやる。」

「リーネやる気だねえ。それじゃ悪のリーダーアテラさんの作戦遂行といたしますか。」

チターナのこのセリフは、みんなが悪いことをしていると感じているかもしれないよという優しいお知らせなんだろうな。

さっきまで悪を討つみたいな雰囲気出しておきながらというのだからやはりモラルが疑われてもおかしくない。


もう1つだけ懸念がある。

ルレウがいた場合だ。


ムイが敵チームを6名程度か、人質合わせた10名あたりで判別するならば、牢の中の人質はまとまっているから反射相手を選別できると想定してうまくいくだろう。


でもそれ以上であった場合、黒風が大群でいるか、ルレウのチームと交戦している可能性がある。

その場合はかなり慎重に敵を見定めよう。


「あ、発見しました。」

ウイが発言した。そしてすぐ全員がその場で停止した。

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