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22.ポリコレバトル制度

3魚の星系・5周期。

ついに試験の周期が来た。


意識を持ってから13か星。

この世界では1年が9か星、半年が4.5か星だから、

私は今、だいたい1歳半ということになる。


ペーパーテストで問われる科目は、

『言語』『計算』『デュナミス』『地理』『ポリコレ』の五つだった。


言語と計算については、

前世の知識のほうがはるかに進んでいる。


この世界では、

デュナミスという便利な力が早期から使えるせいか、

言語や計算に依存しない者が多いのだろう。


そのため、この二科目は

むしろ"未熟に見せる演技"のほうが大変だった。


一方、

デュナミス・地理・ポリコレについては、

これまでの読書の蓄積がそのまま生きた。


特にポリコレの分野で、

今後の私にとって決定的に重要な情報を見つけた。



ポリコレバトル制度。


"バトル"と呼ばれる所以は、

本質が“優劣を決めること”にあるらしい。


既に知っていた主従リンクに加え、

新たに二つの制度が存在することが分かった。


・恋々(れんれん)コネクト

理念りねんチェーン


主従リンクが、

謝罪によって発動する『贖罪モード』だとすれば、


恋々コネクトは、

求愛によって発動する『束縛モード』、


理念チェーンは、

盟約によって発動する『行使モード』と言える。


いずれもポリコレスコアと密接に結びついており、

本質は関係性の優劣付け、

つまり「バトル」だと解釈できる。



主従リンク

スコアが高い側が、

低い側から心からの謝罪を受けた場合に成立する。


スコア差に応じた強さの命令が可能となり、

心から赦すか、スコアが同等・逆転するまで持続する。

関係の上下を決定する制度。


恋々コネクト

求愛する側が、

相手のスコアが同等以下(具体的には差+100以内)の場合に成立。


求愛した側は、

自らを『主従リンクに近い、穏やかな命令を受ける状態』に置く代わりに、

相手に嘘をつかせない状態にできる。


相手が同意行動を取ると、

相互に恋々コネクトが成立し、

新たな恋々コネクトの形成が困難になる。


スコア差が100を超えるまで維持される。


これは当人同士のバトルというより、

恋敵との関係優位を制度化したものに近い。


理念チェーン

スコア差69以内の、

ポリコレに関連する理念の盟約を結ぶことで成立。


理念に縛られた行動しかできなくなる代わりに、

スコアに反映されない専用デュナミスを獲得できる。


一人でも複数人でも可能だが、

複数のチェーンを持つことはできない。


チェーンブレイク――

すなわち破棄・破壊された場合、

スコアペナルティを受け、

二度と理念チェーンを作る権利を失う。


恐ろしいことに、

破壊する側にはポリコレスコア獲得というメリットがある。


また、理念チェーンは

「スコア差が大きい者同士が、同じ理念を持てるはずがない」

という思想を前提にしている。


特に“69”という数値には、

「男女の差は、理念を共有できるほど対等ではない」

と言っているような悪意すら感じた。



これらの制度は、

デュナトスの意志によるものではなく、

『ヴェルウィザーラ冴河』という、

因果律とエネルギーの源泉のような存在によって稼働しているらしい。


デュナミスとは、

使用者がこの冴河と“契約する”ことで成立し、

その仕組みは世界そのものに直結している――

そう考えると理解しやすい。


ここまでが、

テストに出やすい範囲の復習だ。

一通り終わった。



二日後に受ける試験は、

デューナメース認定企業への推薦条件の一つであるペーパーテスト。


このテストと、

メイラ先生・ノアテラからの推薦、

そして面接によって内定が決まる。


認定企業は、

優秀なデュナトスを養成するために

高額な教育訓練システムを整備しており、

その成績次第で内定先、配属先が変わるらしい。


この世界にも、

学歴に似た人生のレールは存在するようだ。


ただ、

『学生』という独立したステージがないのは、正直ありがたい。


前世を思い返すと、

学生という存在は、

教育・社会活動・娯楽のどれにおいても

生産性が低く、経済社会から浮いていた。


あれを、

もっと経済寄りの目的意識に再設計できたら、

幸福度や一人当たりGDPは爆上げできる。

と、お母さんの受け売りなのだけれど。


「アテラ、夕食作ったよー」


「はーい。お姉ちゃん、今行くよー」


ノアテラの声に応える。


ノアテラは、

生意気な私をいつも優しく育ててくれている。


43歳の女性に

「おばあちゃん」と呼び続けるのは、

あまりにも無知で礼を欠いている。


そのため、

勉強と人生経験の成果として、

私は彼女を「お姉ちゃん」と呼ぶことにした。


そして今、

私――アッティラ・ラシュターナは、

今月に相当する3魚の星系より正式に

ノアテラ・ラシュターナを義母とする養子(息子)となっている。


一方、

エンニ・アーグスは公的には行方不明として扱われていた。

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