表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/109

107.心理戦

20秒と謳ったセシザ。早期に攻撃をしかけてくるだろう。

私はセシザを見ながら私は2つの指示を飛ばす。


(干渉属の心理攻撃をお持ちの方は、アルドゥークに集中砲火してください。全力で。)

(回帰属の修復をお持ちの方は、攻撃の矛先の空間に修復を入れてください。)


セシザは分裂を始めた。

自身の分裂に並行して各々の武器も分裂する。


(デュナミス残量青、多重防壁青だわ。)

ラニュヤからのはセシザのデュナミス残量をこまめに報告するようお願いしてある。

青はとてもぶ厚い感覚らしい。残量が減れば薄い暖色に寄っていくそうだ。

多重防壁は干渉属の心理攻撃によって相殺されていくはずだ。



セシザは開始5秒もたたぬうちに武器をマシンガンのように私に向けて射出する。

私は変身デュナミスで自身をカピバラに変化させて動き回り、それをかわす。


仲間達が私周辺に向けて回帰属修復デュナミスをかけると、セシザの武器は元へ帰ってゆく流れに変わる。

チターナの反射のように威力を保ったままの跳ね返しはできないが、物質の運動を少し前の速度にもどして減衰させることができる。



「アルドゥーク、20秒はすぐですよ。本気はまだですか。」

私はそう挑発しながら次の指示を入れる。


(引斥属の加速をお持ちの方は、回帰される武器を地面に突きさすよう働きかけてください。)

セシザに打ち込んでも重力のねじれのようなデュナミスでかわされる。

ならば地に落として武器をできる限り使用しづらくすることを狙った。


「小僧…」

その言いながらセシザは自身と武器を分裂させ続けた。

恐らくコピー人間は100人、武器は万を超えているかもしれない。


(残量防壁共に青、化け物ね)

そうラニュヤからの報告がくる。



我々初齢連合は一貫してセシザに向いている。

そして部屋の隅ではクェルティナと他勢力の小競り合いが行われている。


指示通りに地に突きささっていく武器は砂煙を起こし、視界を悪くさせた。


(砂の濃霧がでました。

 次にナルタタとルンシャクは『混合形成』で濃霧を拡大、維持します。

 みなさんはできる限り濃霧を利用して死角へ退避してください。)

そう指示を飛ばす。

引斥と回帰の混合により濃霧は霧散することなくその場にとどまり続ける。


セシザの第二派ともとれる無数の射出はまた、私に向いているようだった。

私は背が低いこともあって、砂煙にうまくカムフラージュされて攻撃の焦点がずれていた。

ただし第二派はそのあまりの数から、周囲の者達も巻き込まれた。


身体に槍が刺さる者、腕を切り落とされる者、腹部に斬撃を受ける者。

セシザは私以外を殺害することによるデメリットを避けるためか、攻撃速度が以前より遅く、さらに私の頭より下にしか武器を飛ばさないようだ。


(回帰属の修復をお持ちの方は、負傷者を優先して修復を。

 どうにもならない負傷者は降参すれば教官からの救護を受けられます。)


「降参します!」

初齢の者から降参の声があがった。

もう少し耐えたら戦局がかわるのだけれど…。



(イマルス、このセリフを発してください。『20秒経ちました。私は無傷です。アルドゥークはこの程度だったのですか。』)


「20秒経ちました。私は無傷です。アルドゥークはこの程度だったのですか。」

イマルスの声。彼は初齢青月の筋トレマニアで、レーテのしなやか筋肉の信奉者でもある。



セシザは当然私の声でないことを認識してか、攻撃を広間全体にばらまきだす。


恐らく挑発が効いている。私の望む戦局だ。


(容赦ない全体攻撃ですが怖くはありません。

 傷を受けた者は小さく助けを呼んでください。それを聞いた者は回帰属修復をお願いします。

 引斥を持つ方はできる限り各々を宙に浮かせてください。高所には攻撃がきません。)


初齢の者達は数名降参の声が聞こえたが以降は止まった。

皆この戦いに慣れてきている。



一方で他層の者達は、流れ弾うけだしたせいか、降参の声が次々あがってくる。



「アテラ、こそこそ隠れずでてこい。」

セシザの声が聞こえる。

もはや両者どこにいるかわからない。


私は身体をできる限り細く保ち、流れ弾をやり過ごす。



(アルドゥークは必ず次の手を打ってきます。

 増強持ちの方は肉体を硬化させて姿勢を固めてください。)



セシザは武器の嵐とともに宙に浮く者達を巻き上げる。

上方に上がった人々は砂煙から目視可能となり、次々と手足を串刺しにされる。


上方の者達は次々と手を挙げて降参していく。


セシザは数を減らしたら視界が明けると判断したかもしれない。

助けられず申し訳ないがまだ潜伏が必要だ。



(イマルス、このセリフを発してください。…)

そしてイマルスが私の言う通りに声をあげる。


「アルドゥークは私程度の子供一人に手を焼くのですか。

 その程度では今後人生で何も成し遂げることはないでしょうね。」


その言葉からセシザは暴風のように剣を舞わせた。きっと感情の高ぶりだ。

そして自身の分身を自ら切り裂いていく。



…くる。王の特性のトリガー。



これは心理戦。今ここで決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ