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105.死のブロック

チターナは一度疑念を持たせると面倒だ。けむに巻くために一旦注目を変える。


「みなさん聞いてもらえますか。

 先ほどの侵入者はアルドゥークという者です。彼が言っていた18番は『死のブロック』になります。

 なぜならアルドゥークはかなりの強者で、特に戦闘力の高そうな者を好んで倒すからです。

 従って、決闘初回で犠牲にならないために、私のように戦闘のできない方が18番を取る必要があります。」

私は大声で周囲に向けてそう言った。


さらに続けてチームメンバーに伝える。

「明日に番号に紐づく会場が決まるので、何番を選んでもよいと思います。適当にもらってきてよいですか。」


「ああ、任せるよ。」「いいよ。」

メイとムイのみが簡単な返事をして他の者は頷いたり頷かなかったりした。


私は強引に事を進めるため教官の方へ行く。


「アテラ…無理しちゃだめだよ」

私の服を引っ張ってリーネがそう言ってきた。


「無理じゃない。セシザは私が倒す。」

リーネをガン飛ばしながらそう言って前へ進む。

自暴自棄も強がりでもない。まだ初齢会談と一日考える時間がある。

可能にもっていく決意を見せた。


そして教官から番号をもらい、チームに戻った。


「アテラはかわいい顔していながら、イスフェサーザが宿ってるみたい。」

戻った私にチターナはそう話しかけてきた。


「イスフェサーザ?」

「あぁ知らないか。アグナで昔から信仰されている神様の1つだよ。」

宗教については歴史書に書いてあった。

言われてみれば、アグナは歴史上宗教色の強い国家で通しており、主神とされる3神の1つがイスフェサーザだったことを思い出した。


「大昔は神様の生まれ変わりや啓示を受けた者が救世主や英雄になったものだよね。

 ここ1,000年くらいはないねぇ。」

「アグナでも俺の故郷である西の僻地は、主にジジババからの救世主信仰が強いんだよなぁ。」

メイが言ったことにムイがそう反応した。


宗教の話はこれまで全くと言っていいほど出てこなかった。


宗教が表に出てこないということは、それだけ自由が行き届いているのではないかと思う。

『自分達の不幸を誰のせいにでもできる表現の自由』があると布教活動が難しいというのをどこかの宗教本で読んだ。

そして宗教以外で宗教と真っ向から戦いそうなのがポリコレ。

ポリコレが言論の自由に育てられたのだから、そうなるのは当然のことかもしれない。



数十分後、私はムイと初齢会談に出向く。

次の盟主は順序で行けば私。しっかり考えをまとめていこう。


みんな時間前には揃っていた。最終プログラムに向けて高いモチベーションを感じる。

私はいつもの定型の挨拶を終えた後、過去のハクレイに倣って初齢同盟の有効性を確認する。


「みなさん『決闘』プログラムの説明はお聞きしたと思います。

 その上でまず初めに、改めて確認します。

 初齢同盟の『同盟国の安全を保障する』ことに変わらず同意の方は拍手をお願いします。」


皆が拍手を始める。自分も拍手をしながら周りの眺める。


これは大前提だ。この同意あって初齢が生き残る最善のチーム編成が進め…

「…あれ?」


私はつい声が漏れた。

ハクレイが拍手をしていない。自分の目を疑いたくなる。


「ハクレイ、これはどういった意…」

「今回は同意しかねる。初齢同盟の破棄と捉えてもよい。」

私の言葉に被せるようにハクレイはそう言った。


「り、理由を聞いてもよいでしょうか。」

「2つあるが一つは伏せる。もう一つは戦闘に秀でたメンバーが特段多い我々には利がないからだ。」

それは分かる。でも今まで積み上げてきたものは何だったのか。

信用なんて最初からなかったというのか。


そうか。自分で信用という言葉を発して気づいた。

信用は『習慣』『対等性』『忠誠』…

ハクレイにとって忠誠は最初から一貫して0で、習慣も意識的に持たなかっただろう。

最後の対等性…ギブアンドテイクの『中齢層の脅威を防ぐ』という同盟からのテイクが消えたからこうなったのか。


しかしデュナメイオンを終えた後のコネクションはどうでもいいというのか。

それにおいては、ハクレイの考えはセシザみたいなものなのか。


理由を一つ伏せたのも気になる…。


…ここで思考を巡らせても仕方ない。

今はやれるだけのことをやろう。黒風が味方につかなくても初齢の4/5は味方。大筋に影響はないはずだ。


「それでは拍手された方々には『同盟国の安全を保障する』ことを重要事として、『決闘』プログラムでの連携をお約束いただき、有力者の番号開示をお願いします。

 また、拍手されなかった方も、できる限りの中立姿勢をお願いしておきます。」


「有力者を主軸として明日までに同番号の作成会議を行ってください。

 私は18番において指揮周りを務めさせていただきたいです。」



ハクレイ以外の面々は、ハクレイが同盟破棄したことに対して、意外な表情こそすれど方針を変えることはなかった。

会談はこれまでの信頼関係もあってか滞りなく終わる。


私は一通りの情報を仕入れると、18番の代表として編成を進めた。

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