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104.最終プログラム

正午、赤誠棟大広間にて見慣れた面々が集まった。

いよいよ最終プログラムの説明が始まる。

このような場面もこれが最後と思うと少し名残惜しい気持ちになった。


「みなさんこんにちは、実に三カ星間にもわたるデュナメイオンも、最後のプログラムを残すのみとなりました。」


「最終プログラムは『決闘』です。

 内容を説明します。

 まず、ここに1〜18の番号が6枚ずつありますので、各チーム代表がとりまとめて1人1枚好きな番号を選んでください。

 番号選びは早い者勝ちとします。」


「明日朝8:00に、番号に対応した場所が発表されます。

 全て大広間であり、5色の棟+第4棟、つまり6棟分が中齢、終齢も対象含まれます。

 これにより、6かける3の計18棟、番号の数字と対応する形です。

 9:00までには自分の番号に対応する大広間に集まってください。」


「大広間では、プログラム名の通り、疑似的な決闘が行われます。

 決闘は毎周期1,2の日に一回、最大8回予定されます。

 最初は1場所あたりおおよそ95名が決闘し、半数となるまで戦います。」


「脱落は、両手を挙げて降参と声を出すか、そのような合図ができない状態になった場合とします。

 広間には主従リンクのような機能が備わっており、合図だけで脱落の認識が可能です。

 半数の判定は教官が行います。

 教官が終了の合図をしたら、その日の決闘を終えてください。」


「追加事項として、殺害、教官への背信は、所定の2倍のペナルティとなります。

 ただし、今回においてのみ自色への裏切りは不問とします。

 最後に、競争プログラムではありますが、平和が推奨されます。以上。」


平和の定義がよくわからなくなってくる。

何を企もうが『平和が一番』と真面目な顔で言えみたいな風潮は前世にもあった。

この考え方は狂っているけれど、もはや文明社会においての挨拶みたいなものか。


さて番号選び。

発言力の強そうなチターナに相談してみる。


「チターナ、今いいですか。」

「あ、うん」

チターナはルールをメモして読み返していたが、私が呼びかけると反応した。


「番号を選ぶときに2通り考え方がある思います。

 1.チームメンバーを全員同じ番号に揃えて真っ向から勝ちに行く

 2.チームメンバーの番号を同じにせず、できる限り戦わず他勢力の争いにゆだねる

 どちらが皆の考えに合っていると思いますか。」

「うーん」

「1は早く選ばないと全員同じ番号にできなくなるかもしれません。」

急かすつもりはないけれど、チームアテラは戦闘の得意な方で、普通の、戦闘が苦手なチームは2の方針になるはずだ。

従って6名ぎりぎりの私達は早く決断しなければならない。


「アテラはどちらがいいと思う?」

チターナは私に問いを投げ返す。きっとみんなが巻き込まれる重要事だからだと思う。

こういうチターナらしいところを利用させてもらう。


「私は各々が自立する2がよいです。

 初齢同盟の強みを生かせるのも2です。」

初齢会談でできる限り初齢のみんなが生き残る編成を提案する。

何せ決闘相手の1/3は同じ初齢だから、これを味方に引き込むことが最善手と思った。

自チームを囲っていたらきっと初齢は団結しづらくなる。


しかしそれは一理ありながらも建前。

本音としては、私のチームが危険にさらされるのが怖い。

セシザの宣戦布告先は、初齢全体ではなく初齢の首脳部、つまり私に向いていると思ったから。



「…アテラに乗った。他の人の意見も聞こうか。」

私の提案はチターナにあっさり受け入れられた。

建前の部分は最も私らしく、全体合理を重視していたから疑う余地がなかったかもしれない。


ドンッ


突然大広間のドアが開く音がした。

赤誠のみんながそちらへ向く。


「アッティラ・ラシュターナはいるか。」

宙に浮くその者はセシザだった。


「まあいい。アテラ、18番を取れ。この前の続きをしよう。」

私が手を挙げるより前にすぐに次の言葉を発したセシザは、さらに高くへ自分を浮かせていく。


静まる周囲。ざわめきだす前に名乗り出よう。


「セ…アルドゥーク、わかりました。18番を取ります。

 ですが、一つ約束してもらえませんか。」

「約束はしないが言うだけ言え。」

「初齢だけを目の敵にせず、有力者と『特異点』を狙ってもらえませんか。」

特異点がセシザ達の目標なのは察しがついた。

それを邪魔する私達のせいで見つけ出せないから潰すというのも納得がいく流れだ。ならば初齢だけを狙う理由はないはず。


「ああ、もとよりそのつもりだ。」

「ありがとうございます。」

セシザはそのまま颯爽と去っていった。


それだけのために来たのか…5分もかからずにきた驚きもあるが、それ以上に律儀に決闘を申し込んでくることが少し滑稽にみえた。


周囲から「なにあいつ」、「え、誰?」といった声が聞こえだす。


「アテラ、本当に2でいいの?あいつが『最強の剣』を全滅させた奴なんだよね?」

メイがそう聞いてきた。


「はい、対応を誤れば危険を呼びますからやはり2がよいですね。」

私は、チームのみんなが目下セシザの犠牲にならないことが分かって咄嗟に適当なことを伝える。


「アテラに任せとけば大丈夫っしょ。」

「即降参って手もありますからね。」

ムイ、ウイが都合よくそう答えてくれた。


「なんか嫌な予感がするよ私は」

「…私も」

しかし、チターナとリーネは都合の悪いセリフを放ってきた。

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