第24話 今夜は海鮮BBQ
「はいはい。付き合うのはいいですけど、夕食はどうします?」
お酒を飲むにもつまみがあった方がいい。
気づけば十八時を過ぎ、そろそろお腹が空く時間帯。
食べに行くにも周りは海。サニタリールームにバーベキュー用のコンロや炭とかの道具が揃っているのは見たけど、肝心の食材は買ってきていない。
みんなでどうしようかと顔を見合わせていると。
「それなら心配ない。バーベキュー用の食材がセットになっている宿泊プランを選んでおいたんだ。フロントに言えば食材を貰える手はずになっている」
「わかりました。俺が取ってきます」
「わたしもご一緒します」
そんなわけで莉乃さんと二人でフロントへ。
受付のお兄さんから渡されたのは大きな発泡スチロールの箱が二つ。一つずつ抱えてテントに戻って蓋を開けた瞬間、入っていた食材を見て歓声が上がった。
「え、ヤバくない!?」
「すごく美味しそう!」
夏鈴と悠香が瞳を輝かせて喜ぶのも無理はない。
入っていたのは鯛やイナダの他、サザエやホタテなどの貝類。さらに伊勢海老も入った海の幸の詰め合わせ。今が旬のナスやトマトなんかの夏野菜も入っていた。
しかも五人分だから結構なボリュームがある。
バーベキューといえば肉のイメージだけど海鮮も夏らしくていい。
「近くの漁港に海鮮市場があって、そこで水揚げされたばかりの魚介類を仕入れているそうだ。地元の海産物を楽しめるのも、ここが人気の理由らしい」
旅行前、この辺りについて調べた時に海鮮市場があったのを思い出す。
漁港に隣接して作られた市場は、朝に水揚げされた新鮮な魚介類をリーズナブルな価格で購入できるのが人気で、年間で百万人以上が訪れる人気の観光地。
他にも海鮮丼屋や寿司屋など二十軒以上の飲食店も軒を連ね、週末になると県内外から大勢のお客さんが四季折々の海の幸を求めて訪れると書いてあった。
「鮮度抜群で美味しそうだけど、下ごしらえが大変そうだな」
思わず全員揃って莉乃さんに期待の眼差しを送る。
「任せてください。魚を捌くのは得意です」
さすが莉乃さん、期待通りの返事に拍手を送る。
「ですが一人だと大変なので、りっちゃんにお手伝いしてほしいです」
「もちろんです。でも、俺でいいんですか?」
「甲殻類を捌くのは意外と力仕事なので男の子の手があると助かります」
「そういうことなら任せてください」
そんなこんなで、みんなで手分けしてバーベキューの準備を開始。
夏鈴と悠香にはバーベキューコンロや道具の準備と炭の火おこしを頼み、俺と莉乃さんは海鮮ボックスを手にサニタリールーム内にあるキッチンへ向かう。
確認すると調理器具はもちろん調味料も揃っていた。
「さて、どうしましょうか」
「新鮮な魚介類ばかりなので、貝は素材の味を活かした網焼きでいただきましょう。イナダはお刺身にして、立派な鯛はアサリとハマグリを合わせてアクアパッツァ。オリーブオイルもあるので、菫さんのお酒のつまみに海鮮のアヒージョも作ろうと思います」
「いいですね。聞いてるだけでお腹が空いてきました」
「ふふふっ。では、始めましょう」
メニューも決まったところでさっそく開始。
まずはタワシで貝類の汚れをしっかり落としていく。
貝は綺麗に見えても汚れていることが多く、水に浸けながら洗っていると驚くほど水が濁る。火を通すとはいえ、手や口で触れるから念入りに荒れっておきたい。
全部綺麗に洗ってからが本番。
まずは二人でホタテの下ごしらえを始める。
殻の隙間からナイフを入れて貝柱を両方の殻から切り離す。
別にこのまま網で焼いてもいいんだけど、新鮮なホタテは力が強くてなかなか開かず焼きすぎてしまうことが多く、先に開いておいた方が上手に焼けるらしい。
こうすると中に溜まっていた砂も洗い流せるから一石二鳥。
ついでに内蔵の苦いところも取り外しておく。
「……こんな感じですかね?」
莉乃さんの説明を聞きながら見様見真似でやってみる。
上手くできているか不安を覚えつつチェックしてもらうと。
「はい。とても上手にできていると思います」
ほっと胸を撫で下ろしながら次のホタテへ。
「ちなみに、味付けはどうしましょうか」
「バター醤油はどうでしょう?」
「ああ……いいですね」
網の上で焼いたホタテにバターを載せ、とろけた頃に醤油をひとさし。
とろけるバターの甘く芳醇な香りが漂う中、ジュワっと音を立てて弾ける醤油の香ばしさは王道かつ黄金の組み合わせ。濃厚な味わいはどんな料理でも外れがない。
もちろんホタテとも相性抜群。想像するだけで唾が溢れてくる。
あとはバターを切り分けて焼けば準備完了。




