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あの日の恋(×3)が終わってくれない!~思い出の美少女たちと再会したら、恋の続きが始まりました~  作者: 柚本悠斗@小説家
二章 一色夏鈴

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第3話 菫さんの恋愛事情

「菫さんが来てるっぽいね」

「そうみたいだな」


 玄関を開けて店内へ入って行く夏鈴に続く。

 するとカウンター席に座っている菫さんの姿があった。


「みんな揃って遅かったな」

「すみません。さっきまで猫の集会に参加していたんです」


 なんだか眠そうに見えるのは気のせいだろうか。

 目の下に化粧では隠し切れないクマが滲んでいた。


「朝から手伝いに来てくれてたんですか?」


 もしそうだとしたら申し訳ない。

 猫の集会に行くと伝えておけばよかったと思ったんだけど。


「いや。朝は観音山に行っていた」

「観音山……?」


 観音山とは名前の通り、山頂に観音像の建っている丘陵地。

 その周辺にある公園やレジャースポットなどのエリアを指した相称のこと。

 春には観音像を囲むように数千本の桜が咲き誇り、夏には新緑に囲まれ、秋には燃え上がるような紅葉が美しく、季節を問わず楽しむことができる人気エリア。


 ところがどっこい。


 夜になると一転、美しい夜景を餌に出会いを求める男女が集まる場所。

 俺たちのような高校生でも知っているくらい有名なナンパスポットだった。


「正確には朝ではなく、昨晩からいて気づいたら朝になっていたんだがな」

「「「「…………」」」」


 その一言で概ね察する俺たち。

 つまり、菫さんなりに元彼と決別しようと前向きに考えた結果、市内でも有数のナンパスポットに足を運んで出会いを求めたものの残念な結果に終わったらしい。

 手元にあるブラックコーヒーが夜通しナンパ待ちをしていた証拠。

 菫さんは悔しそうな表情を浮かべて愚痴を零し始める。


「どいつもこいつも声を掛けるのは女子大生ばかり。他の女たちがお持ち帰りされる姿を一晩中見せつけられていた私の身にもなってみろ。しかも、ようやく声を掛けてきたと思えば中年のおっさんで『お姉さん、いくら?』などと聞きやがる……私は純粋に出会いを求めているのであって、援助はいらんし愛人契約もごめんだ!」


 店内に響き渡る悲痛な叫び。

 菫さんはテーブルに突っ伏して全力でやさぐれる。


「まぁまぁ、そう落ち込まないでください」


 ちなみに三人とも菫さんの元彼の件は知っている。

 最初の頃は、学校の屋上で俺の相談に乗るついでに愚痴るだけだったんだけど、夏休みになると学校が休みだから、再建活動の休憩中に愚痴るようになった。

 夏鈴たちは同じ女性だからか、元彼のクズっぷりに非難轟轟。

 結果、みんなで励ましてあげようという話になった。


「菫さんが美人すぎて男が気後れしたんですよ!」

「もしくは男に見る目がなさすぎるんだと思います」

「ナンパをするような方に菫さんの良さはわかりません」


 元気づけるべく夏鈴を筆頭に菫さんを持ち上げる。


「すまない……生徒にこんな相談をするなんて教師失格だな」

「気にしないでください。菫さんは教師である前に、俺たちにとってはお世話になったお姉さんですから。それに恋の悩みに年齢なんて関係ありませんよ」

「あたしも菫さんに恋愛相談してたからお互い様ですって」


 別の意味で教師失格かもしれないのはさておき、夏鈴が菫さんに恋愛相談?


 ふと二人が再会した時に交わしていた会話を思い出す——夏鈴の変化に驚く菫さんに『菫さんのアドバイス通り頑張った結果です!』と意気揚々と語っていた夏鈴。

 どうやら二人には俺の知らない関係性があるらしい。


「おまえたちの言う通り、いつまでも落ち込んでいられないな」


 みんなで励ましたおかげもあってメンタルを持ち直した菫さん。


「菫さんも元気になったことだし、掃除を始めよっか♪」


 夏鈴は席から立ち上がり右手を前に差し出す。


「そうだな。夏休み中にできる限り掃除を進めよう」


 その言葉に賛同しながら俺は夏鈴の手に自分の手を重ねる。

 みんなで一致団結——悠香と莉乃さんはもちろん、傍にいたあげぱんとのりべんとわたあめもテーブルの上で立ち上がり、みんなの手の上に前足を載せる。

 猫の手も借りながら頑張るべく、決意を新たにしようとした時だった。

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