プロローグ
2/9:連載再開しました!
——忘れられない恋がある。
誰しも思春期を迎えれば、そんな恋の一つや二つあるだろう。
クラスで一番可愛い女の子や、地味だけど趣味の合う文学少女。近所に住む綺麗なお姉さんだったり、禁断の恋とわかっていても惹かれてしまう美人教師だったり。
瞳を閉じれば今でも瞼に浮かぶ女の子がいると思う。
俺の場合、そんな女の子が三人いた。
それらの恋は本来、思い出として懐かしむだけのはずだった。
想いを馳せながらアルバムを開くような、もしくは後悔とともにスマホのカメラロールを見返すような、報われなかった青春の一ページとして思い出すだけの記憶。
いつかど再会できるようなドラマみたいな展開はありえない。
数年掛けて未練を消すことができた、ある日のことだった。
——俺は幼い頃に好きだった『三人の女の子』たちと再会した。
そのうちの一人——初恋の女の子こと酒井悠香。
彼女と進学先の花崎高校で再会した時は驚きのあまり目を疑った。
病弱だった姿は見る影もなく健康的で、大人しかった性格は病気が治ったことで別人のように明るくなり、良い意味で当時の面影のない美少女に成長していた。
当然、初恋の女の子と再会してなにも起こらないはずがない。
紆余曲折を経て、悠香と当時を振り返ってわかったこと。
それは八年間、ずっと勘違いをしていたということ。
あの日——俺は失恋なんてしていなかった。
これが叶わなかった恋の答えだった。
こうして初恋を振り返り、叶わなかった恋の答え合わせは残り二つ。
季節は巡り夏本番、俺は二番目に好きになった女の子と向き合うことになる。
はたしてこれは運命の再会か、それとも恋の神様の悪戯か。
あの日の恋は、未だに終わってくれないらしい。




