65話 美少女ゴーレムづくり
ユリカがラクサスに渡したのは巨大な石だった。ラクサスはそれに見覚えがある。
「これは…この前ボルケニアで渡してくれた簡易ゴーレムのもっと大きいバージョンか?」
「ご名答です。これはゴーレムと言うかホムンクルスの核でして。今までのはありきたりの材料で簡易的にゴーレムを作るだけでしたがこれはより恒常的に動かせますのでより多彩なゴーレムづくりができます」
「つまり、1から材料を集めろと?」
「まぁそうなりますね。でも自由度は高いですよ?武器仕込んだりできますし」
「そうかありがと!俺今丁度人手が欲しかったんだよ!」
ラクサスはそう言うとユリカの手を掴んで、金を渡す。
「一体いくらだ?」
「全部合わせて約500万ゴールドですが」
「人こき使うのに500万ゴールドで済むだけありがたいから貰ったぞ!」
「貴方意外とブラック雇用気質なんですね‥‥」
ユリカはラクサスに対して少し呆れた気持ちを抱いたがそんなことをおくびにも出さずに
「属性はどれがいいですか?一応今は火と氷と雷属性しかなくて…」
「氷は向こうにローシァ嬢がいるからな…差別化の為にここは光を選択させてもらうよ」
「承りました。毎度ありがとうございます!」
そうしてユリカは核を渡し、アンジェラと連れ立って帰っていく。
ラクサスは金属の棒を曲げていた。周りにはマンドラゴラ達もいる。
「しっかし…ゴーレムづくりって大変だなぁ…骨格から作らなきゃならないとは…」
『でもらくさすさんがこきつかうためにつくるんだからとうぜんでしょう』
「まぁそうなんだけどな…」
骨格には魔鋼を用いる。正直高級品で手痛い出費だが魔力を伝えれば伝えるほどに頑丈になる性質の為金属としての使い勝手は良い。
『らくさすさんはおとことおんなどっちでつくるんですか?』
マンドラゴラの1体が魔鋼を曲げながら尋ねる。するとラクサスはマンドラゴラを見つめるとこう述べた。
「そんなものキュートな美少女に決まってるだろ!オタク舐めんじゃねぇ!」
『は、はぁ‥‥』
ラクサスは生前もとんでもないオタクだったため大学生男子の考えが捨てられていないところがある。その為仲間を作るなら絶対アニメに出て来る美少女だと決めていた。
(そう言えば最近アニメ見てないな…てかここテレビないし!キャラ出て来る物語本はあるけどさ…)
この世界は中世ファンタジー風の世界観でありながら文化水準はラクサスが以前いた世界と遜色ない。今までいた別の転生者たちが少しずつ環境を変えていったのだろうか…
まぁそんなことはどうでもいい。ラクサスはさらにその周りに固い粘土を肉付けして行く。
「まぁそれにしても…プラモデル作ってるみたいでワクワクするな!」
『ぷらもでるですか?』
そうこうしているうちに土台が完成した。
「出でよ俺の理想の巨乳美少女メイド!名前は俺の元居た世界の光関連の名前でネオンだ!」
ラクサスは黄色い核を中心に埋め込む。
その瞬間、人形は崩壊した。いやただバラバラになったのではない、人形は熱を帯びていた。
「熱いな!これが新たな生命が生まれる感覚…髪とか細かい部分は自動で微調整してくれるらしい…良かった俺のせいで手足の長さが変わったら苦労するだろうからな」
ラクサスはそう言ってゴーレムが形成されるのを待つ。少しずつではあるが形は変わり顔は美しいものになり、頭皮には黄色の長髪が生えて来た。そして体を見ると…
「‥‥あ!そうだ服着せなきゃダメじゃん!このままじゃ痴女が生まれちまう!」
そうしてラクサスは手元にあった麻布を投げる。それはゴーレムにまとわりつき簡易的な服になった。
こうしてラクサスの目の前に新たな仲間が生まれた。髪は橙色のツインテールで顔は可愛い系の女子だ。中肉中背で出る所はそれなりに出ている。
「お呼びでしょうかご主人様」
これが新たなるラクサスのメイドにして相棒の美少女ゴーレムネオンの第一声であった。




