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魔獣使役で魔界生活~転生した先は魔王軍幹部の悪魔族でした~  作者: UMA未確認党
第7章 闇の商会編

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61話 決着vsアムドスキアス

 「せっかくあの商会は俺のことを臨時とは言え雇ってくれたんだ。これぐらいは失敗するわけにはいかないんだよォ!」

アムドスキアスが笛を吹くとアトミックファミリーのギャングたちを立ち上がらせる。

「さぁ皆さん!とっととあいつらを始末しなさい!」

ギャングたちはラクサス達に飛び掛かって来る。

「ちょどうするよ。ネロ、ローシァ!」

ラクサスが振り返るとネロは爆笑していた。

「ハハハ!こりゃいいね。向かってくるなら俺らが相手しないとね。」

「しかしネロさんよ。獣人騎士団の一般獣騎士たちはもう満身創痍ですぜ。」

勢いよく答えるネロに脇に控えていたバッファが警告する。ラクサスが見ると確かに先のギャングとの白兵戦で獣騎士たちはヘトヘトになっていた。しかし仮にも防衛任務を受けているので何とか立ち上がろうとする者もいるが、疲弊しているのでは戦力に勘定できないだろう。

「でもそれは向こうも一緒だろう。」

「いえ違いますわよ。ネロ…向こうは魔術で強化されているので力の制御が外れてしまっているの。」

本来生物は必ずどこかで理性のストッパーがかかり100%の力を出すことなどない。それがたまに外れる時のことを一般的には火事場の馬鹿力と称するのだが、今向こうにいるアムドスキアスはそれを無理やり引き出すことが出来る。当然デメリットも存在し、そもそも疲労がたまっている身体を無理やり動かしているので肉体が耐えられないことがほとんどで身体が崩壊してしまう。しかしアムドスキアスは悪魔なので本来ギャングたちがどうなろうと知ったことではない。

「今ホムラ姉さまに連絡を取りましたわ。すぐ来るとのことです。」

「でも応援が来るまで耐えしのぐ必要があるな。ラクサスどうにかあいつ等を弱められないか?さすがの僕でもこの物量に押されてはたまったものではないから。」

ネロはそうラクサスに依頼する。ラクサスは少し思案した後でマンドラゴラを呼びつけて彼が運んで来たバッグから手のひらサイズの色付きのガラス玉のようなものを取り出した。

「これ使えるか分からないけど試すか…」

ラクサスはそのガラス玉を拳で叩く。

「出でよ。青の幽霊!」

すると中から大量の青色のゴーストが出現し、無音でギャングたちに向かって行った。


ゴーストは遺跡の中や戦場で死んだ兵士の怨念が具現化し、半透明の為物理攻撃が効かない厄介な魔物である。逆にゴーストの方も相手に物理的ダメージを与えることはできないがこの厄介さの本質はそこにはない。ゴーストは魔力を餌にするため、憑りついた相手に特大のデバフ効果をもたらすことが出来るのだ。遺跡の中などで攻撃力が無いからと油断しているといつの間にか憑かれてしまい、弱体化してしまったところを他の魔物に襲われるというのが上位者の陥りやすい罠だったりするのだ。ちなみにラクサスはギルドで遺跡探索を頼まれた時に周りにいたのを捕獲し、封印しておいたのだ。そして普段は牧場奥の洞窟の中に配置してある。


ゴーストたちはギャングたちに憑りつくと、ギャングたちの動きが緩まった。そして更にラクサスは畳みかける。

「やれ~!」

「ガウガウガウ!」

ラクサスは魔狼に命じてギャングたちに攻撃させる。更に彼のコートの裏側から大量の霊剣が飛び出してギャングたちを地面に貼り付ける。当然収まらなかった者もいたが、それはネロとローシァの敵ではない。

「獣刀流 双頭番犬!」

飛び掛かって来たビリーに対しネロは二刀流の居合斬りを放ち一気に倉庫の奥に吹き飛ばしてしまう。

「ちっ…上手くやるよ!でもこちらには爆弾があることをお忘れなきよう。」

アムドスキアスはそう言って爆弾を手で叩いて強調する。しかしラクサスは動じない。

「いやお前は爆発させられないだろ…」

「は?バカかお前!俺だって爆弾ぐらい使えるわい!」

アムドスキアスは激高する。

「いや何を言ってるんですの…あちらは奥の手出してるのですわよ?」

ローシァがラクサスにあきれ顔で言う。しかしラクサスは悪意ある笑みを浮かべる。

「だってお前…それやったらお前も爆死することになるんだからさ。」

「は?」

呆然とする一同をよそにラクサスはニコニコしながら畳みかける。

「いやアンタが俺のことをドリアの息子って知ってたように俺も風の噂だけ聞いてたんだよ。上級悪魔族に能力に驕って全く身体鍛えてない阿呆がいるってさ…」

そうしてラクサスは昔話を始めた。



昔の話ラクサスはドリアと剣を交えていた。年齢の上ではラクサスの方が有利なのだが、ラクサスはいかんせん体が小さいのとまったく鍛えていないせいで筋肉量の多い父親に勝てないでいた。ボロボロになったラクサスは父に問うた。

「あの親父…俺別に魔獣使役あるしさ。わざわざ身体鍛えなくても魔王様に貢献できるんじゃないか?」

「たわけが!そんな心持ちでは魔王軍四天王どころか幹部昇進すら厳しいぞ!」

ドリアは今までにない剣幕で激怒した。

「でも俺魔力だけは高い悪魔族だぜ。」

「その傲慢さがいかんと言っているのだ!遠くの国に吾輩たちと同じ上級悪魔族がいてな…この前会合に入って来た時に聞いたのだ。貴様より年上の者で能力に慢心し全く身体を鍛えなかったせいでそれに伴った精神性も鍛えられずどの組織にも契約してもらえなかったものがな…」

「は、はぁ…」

「とりあえず!吾輩は貴様に剣術でも体術でも何でもよい。近接戦闘の術を身に着けさせることが大切だと考えておる。分かったら早く次行くぞ!」


「俺は地獄のようなしごきを受け続けて、遂に一応は薙刀術を修得したんだ…剣術じゃないけどネ!」

「そ、そうだったんですわね…ドリアさんそう言うところ厳しいですものね。」

ローシァは少しラクサスに同情した。

「って訳で、お前は多分爆弾を爆発させられないほど臆病だって親父に聞いたぜ。最初は名前なんか聞かなかったから誰なんだと思ったがまさかこんなところで仕事をしているのに出会えるとは…」

アムドスキアスはラクサスに馬鹿にされて激高した。

「お、俺だって!爆弾ぐらい爆発させれるわ!」

そう言ってアムドスキアスは爆弾に火をつけてラクサス達に投げつけた。

「やっぱラクサスの言う通り自爆するのが怖いんじゃねぇか!僕達に投げつけてさ!」

「そりゃそうですわよ!何を進んで自爆しようとする者がいますのよ!」

ネロとローシァは慌てる。


飛んできた爆弾は…空中で固定された。そして空中分解してしまった。

「全く…僕が来るまでの時間稼ぎを感謝するよ。まぁその前に僕が来たことに感謝したまえよ!」

そこにいたのはネーデルであった。


「来てくださったのですね。ネーデル!」

ローシァは振り返って感謝を述べる。

「あぁ!僕が一番素晴らしい男だからね!さぁラクサスやりたまえ!」

「言われなくとも!」

ラクサスはポチに乗り、一瞬でアムドスキアスに神器を叩きこむ。

「うが…」

元から鍛えてなかった男が耐えきれるわけもないアムドスキアスは気絶する。

「これが鍛えたものの力だお前がちゃんと身体を鍛えてれば…俺は親父にあんなしごきを受けることもなかったかもしんないのに!」

「「「それとそれは違うでしょうが!」」」

ネロとローシァとネーデルは同時にツッコむ羽目になった。


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