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4話 暴れまわるグリフォン

後ろから人間たちの悲鳴が聞こえてきた。

思わずラクサスが後ろを振り返ると、そこでは巨大な魔獣が暴れ始めていた。

「グリフォンだ~!」

「キャア、助けて!」

「おいおい、こりゃ聞いてないぞ。」

ラクサスも逃げ出して行こうとしたが、なぜかこういう時に限って全く足が進まない。まるで彼にこの場から離れるなと言わんばかりに足は俺のことを拘束してくる。

「グリフォン・・・・どうしてこんな街中に出現してんでさぁ!」

「知らないよ!俺だってグリフォンをその目で見るのは初めてなんだから!」

慌てるリコールを何とかなだめるので精一杯だ。グリフォンの身長は約6m…中型か…グリフォンの足元を見てみるとさっきの男がいた。

「お、お前!魔王軍の貴族らしいな!何とかしてくれ!」

その男の手には先ほどの大石が…コイツ…やりやがった!ラクサスはそう言って睨みつける。

「だ、旦那!どうしやしょう!このままじゃ街が!街が!」

「ああ、分かってるよ…」

ラクサスは頭を抱える。

やべぇ、何とかしないと……でもいったいどうする…

よく見るとそのグリフォンの踏みつけている建物の中に先ほどのユリカの店らしきものがあった。ラクサスは正直こういうことが得意ではない。

「はぁ…はぁ…舐めやがって‥‥」

かといってこのまま指をくわえて見ているほど甘くはない。

「そこの武器屋!なんか貸せ!」

ラクサスは丁度近くに会った武器屋に声をかける。

「え?ああ何でも持って行ってくれていいですけれど。」

ラクサスはその言葉を聞く暇もなく。一番大きい武器を取ると羽を広げて飛び立った。

「リコール!親父を呼んで来い!俺はここで食い止める!」

「ええ?!生きて帰ってくださいよ‥‥」

「無論だ!」

ラクサスは飛び立ってグリフォンの前に立つ。

「おい!破壊活動は止めろ!この俺が相手してやる!」

「ぎゃああお!」

グリフォンは吼える。

「ったく話を聞かないな…」

ラクサスは鉾をグリフォンに突き刺す。

「ガッ!」

グリフォンは悲痛な叫びをあげた。

「当たり前だ!お前如きにやられるわけがないだろう?」

そうは言ったもののこのあとどうするか……するとグリフォンが腕を振り回す。

(やべぇ、直撃する!)

ラクサスがそう思った瞬間、ペンダントからバリアが出る。そしてすんでのところで腕を防いだ。

「こうなったら俺の能力を使うしかないか…」

ラクサスは何とかして飛び上がるとグリフォンの背中に乗った。

「落ち着け!どうどう!」

ラクサスはグリフォンの背中の上で彼を振り落とそうとするグリフォンに決死の声掛けをする。

「アイツ何やってんだ?」

街の人々はただただ混乱している。そこにラクサスは

「安心しろ!俺の魔術は『魔獣使役』今からコイツを俺の従魔にするから安心しろ!」

そうして何度も何度も背中をさすっているとその内グリフォンが大人しくなった。

「俺の名前はラクサス・バレンタイン。お前の主人だ。」

「ぎゃあお!」

街に静寂が戻った。




「‥‥・さーん!」


「ラクサスさーん!」

ラクサスはユリカに声を掛けられて目覚めた。

「また助けていただいたんですね!」

「い、いやこの程度‥‥何ということもない…」

「いえ、悪魔族の人でも信用できるんだなって。」

「ハハハ、そりゃあそうだ。悪魔は一度人に受けた施しを忘れない。契約の種族だ。ちょうど使い魔も出来たし万々歳だ。」


「でも、私はあなたに2回も助けてもらいました。でも、私は…」

「このペンダントが俺を守ってくれた。これでチャラだろう。」

ラクサスは微笑んでそう言った。

「そうですか。ならこのペンダントはしばらく持っていてください。」

「いやこれはユリカの」

「いいんです。私ではそのペンダントの力を引き出せなかったんです。あなたが使うべきです。」

「あ、ああそうか…」

ラクサスはそのペンダントを握りしめて言った。


「結構なことだラクサス。」

後ろから声が聞こえる。

「お、親父?」

そこにはラクサスの父親、ドリア・バレンタインが立っていた。そばにはリコールも控えている。

「先ほどのグリフォン事件を収めたのは貴様だな?」

「す、すみません出過ぎた真似を…」

すると、ドリアはラクサスの顔を叩いた。

「痛い!なにすっだ!」

「貴様は己で考えて行動したんだろう?それをなぜ恥じる。」

「う・・・・」

「己のやったことに責任を持ち自信を持てぬものがなぜ魔王など目指せようか。」

「は、はい……」

ラクサスがそう応えるとドリアは彼の頭を撫でる。そこにリコールは恭しく

「その…お喜びのところ大変申し訳ないのですが。これはどうします?」

と聞いた。

「あ、ああこのグリフォン…勢いで従えたけど大丈夫かな?」

するとドリアは笑って。

「貴様が死ぬまで面倒を見るなら構わん。」

「後で名前も決めないとですね。」

この日からグリフォンはラクサスの従魔となった。



「それはそうと親父はいったい何の用件で。」

「うむ、魔王様がお前をお呼びだ。」

「魔王様?魔王様ってあの魔王様?」

「当たり前だろう。魔王が魔王でなければいったい誰が魔王を名乗るというのだ?」

「そりゃそうか…」

「時間がない。早く行くぞ!」

そう言ってドリアは翼を広げて飛ぶ。武人らしい猛々しい翼だ。ラクサスも追いかけていく。

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