22話 火山街ボルケニアに行こう
マサムネが影の中に消えた後でラクサスは魔王とドリアに向き直る。
「あの…父上マサムネさんが行ったあとなんですが……その……あの……」
「ん?どうした?」
ラクサスはドリアの方を見て
「例の侵入騎士って……例の帝国に返さなくていいんですかね。そろそろ返さないと流石にマズイんじゃ……」
「あぁ。そのことであるがな…どうやらあの騎士連中は国から見捨てられているらしい、無情な話だ。」
ドリアは腰に帯びた剣の鞘を撫でながら言った。
「気の毒ですが……、仕方ありませんね。」
ラクサスは苦笑いをしながら言う。
すると、後ろに居たローシァが
「それでは、私は本邸に帰らせていただきますわね、もし何かあればお呼びくださいませ。」
「あぁ、ご苦労だった。ローシァ。」
そう言って魔王はローシァに礼を言う。
「それじゃあ。俺もそろそろ買い物に行きたいですねぇ。この矛ボロボロになってきてしまったから。」
そうラクサスは片手に持った矛を見て言う。矛は歴戦のせいでボロボロであり、刃はこぼれてしまった。それをみたアルフレッドは後ろから来て矛を取ると
「あぁ…こりゃあひでぇな。こりゃあボロボロを超えたボロボロだちゃんと気を使えよな。」
「あ、はい。すいません。」
ラクサスはアルフレッドに謝るとアルフレッドは矛をラクサスに返して言う。
「とりあえずこの矛を素振りしてみやがれ。」
そう真面目な顔で言うので、ラクサスは矛を何回か素振りした。すると…
「あぁ~やっぱりか。てめぇの強さに武器が追い付いてねぇな。てめぇにゃオーダーメイドの業物でもねぇと釣り合わないだろう。」
と、アルフレッドは笑いながら言う。
「現にマサムネの使ってる日本刀なんかはどっかの刀匠が打った業物らしいしな、てめぇ……どうせそこらの武器屋で適当に見繕ったやつだろう。強者目指すならまずは形から入らねぇとダメだぜ。」
「あぁ……はい、わかりました。」
そう言ってラクサスは頭を下げるとアルフレッドは
「お前この後暇か?俺様がお前に合う武器職人を見繕ってやってもいい。」
「あぁ……じゃあ、お願いします。」
そう言ってラクサスは頭を下げるとアルフレッドは笑いながら言う。
「じゃあ行くか。じゃ、陛下俺様はこれで。」
「う、うむ!ご苦労であったな。アルフレッドよ。」
「は!」
そう言ってアルフレッドは敬礼をしながら部屋を退出した。ラクサスもその後に続いて部屋を退出して行った。
ラクサスは巨大な岩場の前に立っていた。
「ここが……鍛冶屋のある街ですか?」
ラクサスは辺りを見渡しながら言う。そこには多くの巨石が乱雑に置かれていた。岩場は山になっておりあちこちにごつごつした石が出ている。どうやらこの巨山の上に件の街があるらしい。
すると、背後のアルフレッドが声をかける。
「ここが鍛冶屋のある街火山街ボルケニアなんだが…気を付けろよな。」
そう言ってアルフレッドはラクサスを見下ろす。
「この街はな…」
ズドーン!と、言う地響きが鳴り響く。
「な……何事です!?」
ラクサスは辺りを見渡すと、アルフレッドは笑いながら
「まぁ、見てろって。」
そう言ってアルフレッドは近くの岩場に腰をかける。すると、その岩場の後ろから巨大な影が現れる。
「な……あれは!」




