第8話 華の巻
いよいよ『第56回 里見村ニャン姫コンテスト』が開催された。
『ニャン姫』という称号を勝ち取る為にニャン子とニャン蜜、そして前回大会の勝者ニャン姫の激しい女猫バトルが始まった。
さて、コンテストの優勝者は誰の手に!
コンテストの最初の部門は『猫ダンス』だった。これは自分で選んだ曲に合わせ、得意の猫ダンスを披露するという部門である。コンテストにエントリーした多くの女猫たちが次々と猫ダンスを披露すると、会場にいる観客は興奮して盛り上がっていた。
そしていよいよ里見村1番人気のニャン姫が登場すると、会場は歓声が一斉に沸く。ニャン姫はポップな曲に合わせて、得意の『ニャン姫ジャンプ』を披露した。
「ニャンニャンニャ〜ン、ニャン姫ジャ〜ンプ!」
「ニャンニャンニャ〜ン、ニャン姫ジャ〜ンプ!」
「皆んなぁ、ありがとニャンニャンニャン♡」
ニャン姫の猫ダンスが終わると、続いて可愛い衣装を着たニャン蜜が登場する。ニャン蜜は激しいリズムの曲に合わせて『ヒップホップニャン』を披露した。
「ニャニャニャンニャン! ヒップホップニャン!」
「ニャニャニャンニャン! ヒップホップニャン!」
「キューティーニャン蜜をよろしくにゃん♡」
そして猫ダンス部門の最後を締めくくるのは、この日の為に準備していたあのセクシーニャン子だった。会場のライトが突然消え周りが暗くなると、観客がザワザワと騒ぎ始める。
何か嫌な予感がしているニャン助とニャン斗。
「ニャン子、あいつは一体何をする気だん?」
「僕はニャン子ちゃんのパフォーマンスを見るのが、とってもとっても怖いよう」
すると突然会場の中央にスポットライトが当たり、そこに立っていたのはド派手な花魁の姿したニャン子だった。そしてどこからか鼓の音が聞こえて来ると、ニャン子は高らかに声を上げながら華麗に舞った。
ポーン! ポン! ポポン! ポン!
「さ〜、皆の衆! あちきの舞をご覧あ〜れ!」
天井から降ってくる大量の紙吹雪の中で、ニャン子は2つ扇子を持ちながら日本猫舞踊を披露する。
「よ~っニャニャニャン! は~っニャニャニャン!」
ニャン子のド派手な登場と華麗な舞いに、会場の観客が口を開けながら一斉に氷りつく。そしてニャン子の舞いを見ていたニャン助とニャン斗は、地面に倒れて頭を抱えていた。
「ああニャン子、やっちまったよん」
「ニャ、ニャン子ちゃんは、ちょっと気合いが入りすぎたのかなぁ?」
「は〜っ! ああ、決まったよ!」
猫ダンスが終わり続いての部門は『猫ソング』だった。これは村で流行している歌や懐メロなどを歌う部門で、いわばカラオケ大会である。コンテストにエントリーした多くの女猫たちが猫ソングを披露した後、いよいよ本命のニャン姫が得意の猫ソングを歌った。
ちなみに猫ソングはニャン姫の十八番であり、選曲した曲は今1番流行りの『猫ジャラシで捕まえて』である。
「猫ジャラシでぇ♪ 私をぉ♪ つ・か・まえてぇ♪」
「ニャン姫ちゃ~ん、捕まえてぇ!」
「皆んなぁ、ありがとニャンニャンニャン♡」
ニャン姫が歌う1番人気の猫ソングで会場が盛り上がった後、続いてニャン蜜が猫ソングを披露した。ニャン蜜が選曲した歌は、いつもカラオケで歌っている猫演歌『愛のカツオ節』である。
ニャン蜜は着物姿で登場し、声高らかに歌った。
「愛のぉ〜♪ 一本釣りピーーー !(放送禁止)」
説明しよう。
前回でも話したが歌うことが大好きなニャン蜜は、放送できないくらいもの物凄いスゴい音痴である。
ちなみにニャン蜜本人はその自覚がない。
ニャン蜜の猫演歌の歌声に会場の観客がまた口を開けながら一斉に氷りつくと、ニャン助とニャン斗はフラフラしながら耳を塞いでいた。
「前もニャン吉の家でん、ニャン蜜ちゃんのヤバい歌を聞いたなん」
「あぁ、僕は頭がクラクラしてきたよ。 ちょっと横になりたい」
「あれれ、皆んにゃどうしたのかにゃ? 私の猫演歌を聞いて、そんにゃに感動したのかにゃん♡」
そして猫ソング部門の最後を締めくくるのは、またセクシーニャン子だった。先ほどの猫ダンス同様に会場がまた暗くなると、突然ニャン子にスポットライトが当たる。
するとニャン子は大きく両手を広げ、ワイヤーでぶら下がりながら空を飛んだ。
「さ〜、皆の衆! あちきの猫オペラをお聞きっ!」
ワイヤーで空中を飛んでいるニャン子が選曲した歌は、世界的に有名なプッチーニャンの猫オペラ『猫々夫人』だった。
「ニャ~ニャニャ〜♪ ニャ~ニャニャ〜♪」
そのニャン子の猫ソングと派手なパフォーマンスに、ニャン助とニャン斗がなぜか感動している。
「おお、ニャン子が宙を舞ったよ〜ん!」
「まさしく、空中浮遊イリュージョン!」
「よよよいよい! は〜っ、めでてぇな!」
コンテストの2部門が終わり、厳密な審査でニャン子とニャン蜜とニャン姫の3人が決勝進出に決まった。
そしてコンテスト最後の部門は『猫水着』だった。これは説明するまでも無く、女猫の美しい水着姿を審査する部門である。この水着部門は大会のメインイベントで、会場にいる観客の盛り上がりはさらに最高潮となった。
「うおおお! 水着部門待ってましたぁ!」
まず1番目は、ニャン姫の勝負水着『フラワー猫ビキニ』で登場する。ニャン姫の可愛いフラワービキニでフリフリすると、会場にいる観客が大声で叫んだ。
「ニャン姫ちゃ〜ん、フラワー猫ビキニがフリフリしてとっても可愛いよぉ!」
「皆んなぁ、ありがとニャンニャンニャン♡」
ニャン姫の披露が終わると、続いてニャン蜜の悩殺水着『スクール猫水着』で登場する。そのニャン蜜のスクール水着には、可愛い子猫のイラストが描いてあった。
「ニャン蜜ちゃ〜ん、スクール猫水着がチャーミングでとってもキューティーだよぉ!」
「皆んなぁ、ウルトラスーパー大好きにゃん♡」
そして猫水着部門の最後を締めくくるのは、いろいろ派手なパフォーマンスを繰り返しているセクシーニャン子だった。そして会場がまた暗くなると、中央でポーズを決めているニャン子にスポットライトが当たる。
最初は着物姿で静かに立っているニャン子だが、観客に向かって叫びながらその着物を一気に脱いだ。
「皆の衆〜! あちきの水着を〜、ご覧あれ〜!」
ニャン子が着ていた水着とは、全身小判で出来た爆裂水着『猫小判ビキニ』だった。小判がキラキラと黄金に光るビキニを着て、ニャン子はドヤ顔しながら仁王立ちしていた。
そしてなぜか会場の周りから、何発も花火が舞い上がる。
ヒューンドーン!ドーン!ドーン!
「おおお! ニャン子ちゃ〜ん、猫小判ビキニが眩しくて爆裂に最高だよ〜!」
そのニャン子のド派手なパフォーマンスに、ニャン助とニャン斗は大興奮していた。
「おお、花火も上がってすげ~ん! 今年のコンテストはセクシーニャン子で決まりだなん!」
「猫に小判ビキニなんて、セクシーブラボーだよぉ!」
「このあたいを〜! ナメんじゃないよ〜!」
最高に盛り上がったニャン姫コンテストが終わって最終審査に入ると、休憩の間八ニャン士は集まって話しをしていた。
「いやぁ、最後のニャン子の小判水着はすごかったなん! なぁ、ニャン斗」
「うん、あれは芸術作品だよぉ。 ニャン子ちゃん、僕はとても感動したなぁ!」
「ホーホッホ! 今年のコンテストの優勝は、このあたいがいただきだね〜!」
「ニャン子ちゃん、ちょっと待ってにゃ。 私の猫演歌だって、観客が静まりかえるほど感動してたにゃ!」
ニャン子とニャン助とニャン斗 コケる。
「おやおや、お前さん。 あんなパフォーマンスで、このあたいに勝てると思ってんのか〜い?」
「まぁね。 ネコババァの小判水着より、若い私のスクール水着の方が絶対に可愛いにゃん」
「だれがネコババァじゃい! あんた、またあたいにケンカ売ってるのかい?」
「インチキ花魁のネコババァは、これからもずっと優勝はできにゃいにゃん!」
「べらぼうめ! あんた、あたいとやる気だね!」
怒り狂ったニャン子とニャン蜜はお互い八ニャン剣をシュンと抜き、とうとう激しい斬り合いとなった。
「くたばれ〜、小童!」
「うるさいにゃ、ネコババァ!」
すると、突然会場から緊急のアナウンスが流れる。
「皆さん只今最終審査の最中ですが、審査が難航してますのでしばしお待ち下さい」
「おやおや、どうしたのかね〜? このセクシーニャン子さんが優勝に決まっているじゃないか〜」
「ニャン姫コンテストでは今までにないことが起きました」
「なに?」
「どうやら今回エントリーしていたキューティーニャン蜜ちゃんは、『男の子』だということが分かりました!」
そのアナウンスを聞いたニャン子とニャン助とニャン斗は、新事実をまだ理解してない。
「へ? ニャン蜜ちゃんって男の子?」
「え? ニャン蜜ちゃんってボーイ?」
「ん? ニャン蜜ちゃん、ってことは?」
「は〜い♡ 私は可愛いニューハーフにゃん!」
ニャン子とニャン助とニャン斗 コケる。
ショックを受けたニャン助とニャン斗は、腰を抜かしてしばらく立てない。
「ニャン蜜ちゃんがまさかニューハーフだなんてん、俺はマジで好きだったんだよん」
「僕もたまには趣味で女装するけどさぁ、ニャン蜜ちゃんがニューハーフだなんて全然気づかなかったなぁ。 ニャン蜜ちゃんは可愛いから、僕のファンクラブに入って欲しかったのになぁ」
「ちょっとぉ、ニャン助とニャン斗は失礼だにゃ。 ニューハーフの私のことを好きににゃってくれてもいいし、ファンクラブに誘っても別に構わにゃいにゃん。 皆んにゃ好きににゃることは自由だにゃん!」
ニャン子もショックを受けて立ち直れない、
「こいつがニューハーフってマジか。 しかもこんなに可愛いし、何だこのクオリティは?」
「だからぁ、可愛い私はニャン子ちゃんには負けにゃいって言ってるにゃ!」
「な〜に〜? ニューハーフがこのニャン姫コンテストに出てんじゃないよ、ややこしい!」
「はぁ? コンテストにニューハーフがダメって、どこに書いてあるにゃ。 これだからネコババァは嫌いだにゃ!」
「な〜に〜? あんた、またあたいにケンカ売ってんのかい?」
ニャン子とニャン蜜は怒りのあまり再び八ニャン剣をシュンと抜き、さらに激しく斬り合った。
「上等だにゃ、ネコババァ! どっちがニャン姫にふさわしいか、ここで決着をつけてやるにゃあ!」
「だまれ~、この小童!」
すると会場からまたアナウンスが流れて、今回の大会について説明があった。
「今回の大会はいろいろありまして、審査委員たちもどうしたらいいか悩みました。 そして優勝者がなかなか決まらず、大変苦戦しております。」
「ん? ってことは?」
「したがって! 今回の大会は無効となりますので、前回の勝者であるニャン姫ちゃんが優勝となりま〜す!」
今回のコンテストの優勝者は前大会の優勝者であるニャン姫に決まり、ニャン助とニャン斗が大声で喜んだ。
「おお、やっぱりニャン姫ちゃんが優勝だん!」
「やったねニャン姫ニャンニャンニャ〜ン!」
ニャン姫はステージに上がり、盛り上がっている観客に向かって喜びを語る。
「やったぁやったぁ、優勝だぁ! 皆んなぁ、ありがとニャンニャンニャ〜ン♡」
「ニャンニャンニャ〜ン! ニャン姫ニャ〜ン!」
観客のニャン姫コールがいつまでも鳴り響き、そのままニャン姫のソロコンサートが始まった。
「猫ジャラシで〜♪ 私を♪ つ・か・まえて〜♪」
激しいケンカでボロボロになっているニャン子とニャン蜜は、ニャン姫のコンサートを見ながら目が点になる。
「へ? ニャんで?」
第56回ニャン姫コンテストは、前回の勝者であるニャン姫ちゃんに決まりましたぁ!
でもニャン蜜ちゃんがニューハーフだからって、別に可愛いならいいじゃないですかね?
このコンテストの為にずっと努力してきたニャン子ちゃんは・・・また来年がんばってね!
次回「智の巻」をお送りします。
ニューハーフのニャン蜜は八ニャン士の女軍師?
お楽しみニャン!




