第6話 涙の巻
大和田村の春花と八ポン士は、里見村との戦いの前に中谷村の蛙剣士である中谷八ケロ士と同盟を図っていた。
一方、里見山で訓練をしているニャン丸の前に、昔からのケンカ仲間であるイーグとホクが現れた。
さて、このイーグとホクとは一体何者なのか?
里見山で八ニャン剣の訓練していたニャン太郎とニャン丸の前に、大鷲のイーグと大鷹のホクが大きな翼を広げて空から舞い降りて来た。そしてイーグとホクは、ニャン太郎とニャン丸の前で腕を組みながら仁王立ちしていた。
「ようマル、久しぶりやなぁ! 元気にしてるかぁ?」
「おまんの噂はちょくちょく聞いちょるぜよ。 相変わらずムチャしちょるみたいだのぉ、マル!」
「ケッ、誰かと思えばイーグとホクじゃねえか! 相変わらず気にいらねぇ顔してるなぁ!」
ニャン太郎はいきなり現れたイケメン鳥の2人をキョロキョロ見る。
「ニャン丸、この方たちはどちらさまで?」
「ヘッ、この2人は昔から俺のケンカ仲間なんだよ。 隣りの由美村に住んでいる最悪の極悪鳥だ!」
「誰が最悪の極悪鳥やねん、このチンピラ猫がぁ!」
「ケッ、やかましい! イーグ、久しぶりにケンカするかぁ?」
現れてすぐケンカを始めようとするニャン丸とイーグに、ニャン太郎はワタワタと慌てる。
「まあまあ、お2人ともケンカはやめて下さい」
「ハッハッハ、安心しや。 これはワシらの挨拶みたいなもんぜよ」
「ん? ところで、誰やテメ?」
「あ、初めまして。 僕は里見村に住んでます、正義感あふれるニャン太郎くんといいます」
それを聞いたイーグとホクは、やたらニャン太郎の体をペタペタと触る。
「おお、おんしゃあがのニャン太郎かえ!」
「あの里見村のダム計画の工事止めさせた猫っちゅうんはお前のことか? お前、えらい凄いやんけ!」
「いや〜ん、それほどでも」
ニャン太郎 照れる。
すると、ニャン丸はイーグとホクに肩を組みながら笑う。
「ヘッ、ニャン太郎。 イーグとホクは由美村1番の暴れ鳥で、ガキの頃から俺とよくケンカしてたんだよ」
「せやせや、なっつかしいなぁ。 毎日ケンカばっかりして、しまいにはお前とやり合うんも飽きてしもうたんや」
「それから3人が仲間になって、あちこちの村へ行っては生意気なヤツらぁとケンカしちゅうた!」
「そうそう、ギャハハハハ!」
ニャン太郎 ドン引きする。
「僕、ぜんぜん笑えませんけど」
イーグはニャン丸の肩を叩きながら笑う。
「ほなの、マル。 また近いうちに遊ぼうや!」
「また暴れとうなったら、いつでも由美村のワシらぁに声かけや!」
「おう! イーグとホク、また一緒に暴れようぜ!」
こうしてイーグとホクは大きな翼を広げて、笑いながら空高く飛んでいった。
一方大和田村では、軍師ガンポンが中谷村の蛙剣士である『中谷八ケロ士』を春花の前に連れて来た。
「春花様、蛙剣士の中谷八ケロ士を連れて参りました!」
「よく来てくれたな、我が同士の八ケロ士よ!」
春花の目の前にいたのは、同じ姿形をした8人の蛙が横一列に並んでいた。
包丁の達人で八ケロ士リーダー『ケロイチ』
お玉でコンコン叩く達人『ケロニ』
ザルをたくさん投げる達人『ケロサン』
シャモジでペチペチ叩く達人『ケロヨン』
フライパンで相手を転がす達人『ケロゴ』
油でベチャベチャにする達人『ケロロク』
塩とコショウを振りまく達人『ケロナナ』
世界のレシピを持つ八ケロ士軍師『ケロハチ』
中谷八ケロ士の姿を見た春花は目を点にする。
「ガンポン、これはどういうことだ? 今から3分クッキングでもやるのか?」
「残念ながら違います、春花様。 中谷村の蛙剣士はクローン蛙でございますので、少し似たような姿になっております。 しかしそのクローン蛙の中でも、特にこの8人は優秀な蛙を集めた剣士でございます!」
「蛙剣士と言っても、誰も剣を持ってないじゃないか。 しかもクローン蛙で同じ姿のこいつらを、どうやって見分けたらいいのだ?」
「はっ、それはお腹に書いてある数字をご覧下さい」
八ケロ士のお腹にそれぞれ1から8までの大きな数字が書かれいると、それを見た春花は呆れた目をする。
「ってことよね?」
するとガンポンは突然大声を出して、八ケロ士の名前を1人1人読んだ。
「ケロイチ!」
「ケロッ!」
「ケロニ!」
「ケロッ!」
春花 目が点になる。
「ガンポン、なんか嫌な予感がするぞ」
「ケロサン! ケロヨン! ケロゴ! ケロロク! ケロナナ! ケロハチ!」
「ケロッ! ケロッ! ケロッ!・・・」
春花 コケる。
「ガ、ガンポン、これはどういうことだ。 この似たような蛙剣士と、私はどうやって話せばいいのだ?」
「ご安心下さい、基本はリーダーのケロイチと話しをします。 ケロイチ、里見村と戦うために我々と同盟組んでくれるな!」
「ケロケロッ!」
「我々の総大将は春花様だ! 八ケロ士は春花様に従ってくれるな?」
「ケーロケロッ!」
「春花様、お喜び下さい。 中谷村は我々大和田村と同盟を組んでくれました」
春花 またコケる。
「ガンポン、お前は『ケロッ!』だけでこいつらの言葉が分かるのか? しかもお前の言葉がこいつらに伝わるのか?」
「はい。 私は昔、通信教育で『ケロ語』は少し勉強しましたのでご安心下さい」
「ハッハッハ! では八ケロ士の諸君、今一度言う! 我々大和田村と中谷村は同盟を組み、宿敵里見村を倒すぞ!」
シーン
何も反応しない八ケロ士に春花は呟く。
「なぜ私の言葉だけ分からんのだ?」
一方忍び小屋の中では、ニャン助とクーラがゲームをしたり歌を歌ったりして仲良く暮らしていた。
そしてクーラが頭をケガをしてから、2・3日が経とうとしていた。
「クーラ、もう頭のケガは治ったみたいだなん。 よかったなん!」
「ありがとう、ニャン助さんのおかげよ」
「クーラちゃん、これからもん、ずっと僕のお友達でいてくれるかなん?」
「もちろんよ! 私、優しいニャン助さんが好きよ」
里見村一のスケベであるニャン助は、すっかりクーラに恋をしてしまった。
「ニャン助さん、いろいろありがとう。 だいぶ体がよくなってきたから、私はそろそろ家に帰らなくてはいけない」
「ええ、帰っちゃうのん? このままずっとここにいたらいいよん」
「私もそうしたいけど、それは無理なのよ」
すると、突然忍び小屋の扉がバン!と開く。
小屋の入り口に立っていたのは、ずっとニャン助のことを探していたニャン平だった。
「おい、ニャン助! おのれは皆んなが大和田村の戦いの為に必死で訓練している時に、何で女とイチャイチャしてるっすか?」
「ニャン平、これにはいろいろ訳があって」
ニャン平はクーラの顔に気づく。
「ん? しかもその女は、大和田の狸じゃないっすか」
「ええ? 大和田の狸?」
ニャン助が目を擦って顔をよく見ると、クーラは慌てて顔を隠す。
「女の下から、ずっと狸のシッポが出てるっすよ。 お前はずっと狸の女と一緒にいて、ぜんぜん気づかなかったっすか?」
「う、うん。 クーラちゃんは可愛いから、ぜんぜん気づかなかったん」
ニャン平 コケる。
そしてニャン平はクーラに向かって指をさした。
「おいお前、俺たちは里見八ニャン士のニャン平とニャン助っす! お前は一体誰者なんすか?」
「ふっ、バレちゃあ仕方がないポンだね!」
クーラは鼻で笑い、早技で忍びの服に変身して赤い頭巾を外した。
「え? クーラちゃんは、ひょっとして忍び?」
「そうだポンよ! 私は大和田八ポン士の忍び狸ポンのクーポンよ!」
「八ポン士の忍び狸のクーポン?」
「私は春花様の命令ポンで、里見村の様子を偵察ポンしに来たんだよ」
「里見村を偵察?」
「私のお色気の術ポンで、この忍び猫の煙玉ポンの中身を知りたかったのさ。 あと少しポンだったのに」
「へへへ、そういうことっすか。 そうと分かったら、お前をこの村から返すわけにはいかねっすね」
ニャン平はいきなりクーポンの腕を掴む。
「キャー! 何ポンするの?」
「ニャン助、早く縄を持ってこいっす! 大和田のスパイであるこいつを縄で縛って、皆んなの所に連れて行くっす!」
「ニャン平、しかしん・・・」
「しかしもカカシもお菓子もあるっすか! ニャン助、早くするっす!」
ニャン助はニャン平を手伝ったらいいのか、クーポンを逃した方がいいのか、オロオロしながら迷っていた。
すると、ニャン助はとんでもない行動に出てしまった。
「ニャン平、ゴメーン!」
ニャン助はクーポンを捕まえていたニャン平の顔をいきなり殴り、そのままニャン平の体をおさえた。
「クーポン、今のうちに早く大和田村に逃げるんだん!」
「ニャン助さん、でもあなたポンは?」
「クーポン、俺のことはいいよん! 早くここから逃げるんだん!」
ニャン平はニャン助におさえられてバタバタしていた。
「ニャン助、何しやがるっす! 離しやがれっす!」
「離さないん! ニャン平、ごめんだよん!」
「テメェ、八ニャン士を裏切ったっすなぁ!」
それを見ていたクーポンは急いで小屋を飛び出し、涙を流しながら東野橋を走って大和田村へと渡った。
「ニャン助さん、ありがとポンです。 本当にゴメンポンです!」
ニャン平を捕まえていたニャン助も小屋から飛び出し、泣きながら橋を渡るクーポンに向かって叫んだ。
「クーポーン! クーポーン!」
ちょっとちょっと、大変なことになりましたよ!
大和田村は中谷村と同盟を結ぶし、ニャン助くんは裏切って忍び猫のクーポンを逃すし!
しかしあの『ケロ語』って、一体どこで分かるんですかね?
次回「脱の巻」をお送りします。
里見村に新たな助っ人の由美八チョウ士が登場!
そして裏切ったニャン助が八ニャン士から脱退?
お楽しみニャン!




