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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
東野郡大戦争編
42/43

第5話 恋の巻

大和田村との戦いをする為に里見山で訓練を始めた八ニャン士。

そんな中、ニャン助が新しい煙玉を試そうと草原に投げると、不発した煙玉が誰に当たってしまった。


それは赤い頭巾を巻いている若い女だった。

ニャン助が作った新作の煙玉『ブルーファイヤー』の不発玉に当たって、草原の地面に1人の女が倒れていた。それを見たニャン助は、どうしていいか分からずアタフタと走り回る。


「どうしよん、どうしよん! 何で草原に赤い頭巾を巻いている女の子がいるのん?」


ニャン助は少し気を沈め、その場でウロウロしながら考える。


「とりあえずん、この女の子を手当しなきゃん。 誰も見てないうちに小屋に運ぼうん!」


ニャン助は倒れている女を背負い、周りをキョロキョロ見ながら急いで忍術の小屋に連れて行った。

倒れている女は気絶したままピクリとも動かない。


「額から少し血が出てるなん。 俺が雷電で思いっきり煙玉を投げたから、この子は大丈夫かなん?」


ニャン助はとりあえずその女を布団にそっと寝かせ、額の傷口に薬を塗り包帯を巻いた。そして薪で火をおこし、温かい飲み物と食事の準備を始めた。

しばらくすると倒れていた女はだんだん意識が戻り、台所で調理をしているニャン助の後ろ姿を薄目で見ていた。


「う、うん。 あ、あなたは?」

「お、気がついたかいん? 今食事の準備しているからん、布団で横に寝て待ってなん!」

「ここはどこ? い、痛い!」

「だ、大丈夫かいん? まだ動いちゃダメだよん。 ここは俺の家だから安心しなん」


ニャン助は台所から慌てて駆け寄ると、女は自分の額の傷を治療してくれたことに気がつく。


「あなたが私のケガを治療してくれたの? ありがとう」

「俺の方こそん、さっきは変な玉を投げてごめんねん。 まさか草原に女の子がいるなんて知らなかったん。 ところであんな所で何をやっていたのん?」

「ちょ、ちょっと草原で落とし物を探していたの。 ところであなたは、一体何を投げてたの?」

「それは俺が新しく作ったブル・・・」


ニャン助は新作の煙玉『ブルーファイヤー』と言おうとしたが、ハッと手で口を塞ぐ。なぜならあの煙玉には、とってもいけない物が入っているからである。


「いや、新しく作ったブルキャットソースだよん」

「ブルキャットソース? 何でソースなんか、草原に投げたの?」

「ハハハ、今度里見村で『皆んなでソースを投げよう大会』があるんだよん。 その練習をしていたんだよん、ハ・ハ・ハ」


何とも苦しい言いわけである。


「俺はニャン助。 君の名前は?」

「私はク・・・クーラだよ」

「クーラちゃんかあん、可愛い名前だねん。 クーラちゃん、お粥が出来たけど食べるかいん?」

「ニャン助さんありがとう、食べる」

「分かったん。 でもその前にん、その赤い頭巾を取ろうか」

「いや、これはいいよ。 恥ずかしいから頭巾を外したくないの」

「そうなんだん。 じゃあん、お粥を取ってきてあげるねん」


ニャン助は布団に寝ているクーラをゆっくり起こし、さっき作ったばかりのお粥をゆっくり食べさせてあげる。


「お粥、美味しいね。 これ何が入っているの?」

「俺の友達の家が鰹節の総代理店をやっていてん、そこの1番いい鰹節なんだん。 へへへ、実は俺は料理も得意なんだよねん!」


ちなみにその鰹節の総代理店とはニャン斗の家である。


「ああ美味しいかった、ありがとう。 そうだ、私は行かなくちゃ・・・いたい!」


クーラは立ち上がったが、頭の傷の痛さで布団に倒れそうになった。


「クーラちゃん、あふないん!」


まるで映画のワンシーンのように、スローモーションでニャン助はクーラを抱き抱える。そしてなぜか古屋の中がミラーボールでキラキラと光り輝き、どこからかムーディーなBGMが流れた。


「クーラちゃん・・・」

「ニャン助さん・・・」


しばらく見つめ合う2人。


「ま、まだダメだよん、クーラちゃん。 しばらくこの小屋で安静にした方がいいよん」

「でも? ここだとニャン助さんがご迷惑じゃ」

「ケガをさせた俺の責任もあるよん。 だから俺が最後まで治療するから、しばらくここで寝てなよん!」

「ニャン助さん、ありがとう。 でもやっぱりここじゃダメで、私は行きたい所があるの」

「だからん、君は安静にしないとダメだってん!」

「だって行きたいんだから、しょうがないじゃない! ニャン助さんがいたらダメなの!」

「何で僕がいたらダメなのん! そんな大ケガをしてまでん、どこにいくのん?」


下を向き恥ずかしい顔をしながら呟くクーラ。


「ト、トイレ」


ニャン助 目が点になる。


「あ、失礼しましたん。 どうぞごゆっくりん」



ここは大和田軍の本陣である『少々寺』。

ここで作戦会議をしている春花の所に、忍び狸が来て報告した。


「お伝えしますポンポン。 只今八ニャン士は戦いに備えて里見山で訓練していますポンポン。 それを確認すると、前よりかなりパワーアップしている感じですポンポン。 以上ですポンポン!」

「八ニャン士め! 前に猫剣士のトレーナーが里見村にやって来て、厳しい修業をした後はさらに強くなったと聞いているぞ!」

「春花様、我々八ポン士も普段から訓練をしていて強くなっておりますので、なにとぞご安心を」

「ユズポン、それではまだ足りぬ! 他に何かよい手はないか?」


するとタキシード姿のガンポンが、春花の前に立って一礼する。


「春花様、この私に知恵がございます!」

「おおガンポン、お前は頼もしい八ポン士の軍師だ! その知恵とは?」

「大和田の隣村には中谷村がございます。 その村と我々が同盟を組んだらいかがでしょうか?」

「中谷村って・・・あの蛙たちか?」

「わたくしの情報によれば、あそこにも新しく結成しました蛙剣士『中谷八ケロ士』がおります。 まずはその八ケロ士と八ニャン士を戦わせ、あいつらが弱まったところを我々が叩くというのはいかがでしょう?」

「それはいい考えだ! 早速、中谷村の八ケロ士と交渉してくるのだ、ガンポン!」

「ははっ、かしこまりました!」



一方、里見山で修業しているニャン太郎とニャン丸は腕につけているパワーリストを外し、八ニャン剣の訓練をしていた。このパワーリストもニャン吉同様、あの修業の時に猫剣士トレーナーの風ニャン神から貰った物である。

ちなみにDVDを買いに飛び出して行ったニャン吉は、今だに里見山には帰って来ない。


「出たな、毒グモ猫男! くらえ、太郎フラッシュ!」

「チッ、ニャン太郎、お前は変な技にイチイチ名前を付けるなぁ! あと毒グモ猫男もやめろぁ!」

「でもさぁ、ニャン丸。 風ニャン神師匠から貰ったパワーリストを外すと、やっぱりスピードとパワーが全然違うね。 今度はもう少しパワーリストを重くしてみようか」

「ヘッ、上等じゃねえか。 望むところよ」


しばらくニャン太郎とニャン丸が八ニャン剣の訓練をしていると、里見山の空から大きい笑い声が聞こえて来た。


「ハハハ、ニャン丸! お前の剣は、ほんまダッサいなぁ。 見てられへん!」

「あぁ? 誰だ、俺に変なこと言ったやつは?」


すると、ニャン太郎とニャン丸の前に2人の男が現れた。


「俺らや、マル。 久しぶりやなぁ!」

「おい、マル。 まだワシらとのケンカの勝負はぁ、ついちょらんぜよ!」

「おお、イーグとホクじゃねえか! 久しぶりだなぁ!」


ニャン太郎 目が点になる。


「イーグとホク? あと大阪と高知の方ですか?」


大声を上げて空から舞い降りて来たのは、隣りの由美村に住んでいる大鷲のイーグと大鷹のホクだった。

里見山にいきなり空から舞い降りて来た由美村のイーグとホクって、一体誰?

そして中谷村にいる蛙剣士の中谷八ケロ士って、一体何者?

コラコラニャン助くん、君だけクーラちゃんとラブラブしている場合じゃないですよ!


次回「涙の巻」をお送りします。

大和田村と同盟を組んだ中谷八ケロ士が登場!

そしてニャン助が八ニャン士を裏切る?


お楽しみニャン!

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