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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
東野郡大戦争編
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第3話 争の巻

春花の号令で大和田村で結成された狸剣士の大和田八ポン士。

春花は八ポン士を利用して東野郡の4つの村を制覇し、春花独立国を興すという野望を持っていた。


猫上様から八ポン士の話しを聞いた伏夜と八ニャン士は、その結成の意味をまだ知らなかった。

猫上様から八ポン士の東野郡制覇という話しを聞いて、八ニャン士はしばらく言葉失っていた。


「4つの村がある東野郡を制覇するなんて。 猫上様、そんな無茶苦茶な話がありますか?」

「ニャン太郎、これは紛れもない事実なのじゃ」

「おやおや。 あのハンパな狸たちも東野郡を制覇するなんて、ずいぶんと大きく出たじゃなか〜。 これは穏やかじゃないね〜」

「ニャン子ちゃん、こんにゃ大きい話は大和田の狸だけで出来ることじゃにゃいよ。 猫上様、この件はにゃにか裏に誰かがいるにゃ?」

「お、さすが女軍師のニャン蜜じゃ。 実はこの話にはもう1人影で操るヤツがおるのじゃ!」

「チッ、そんなふざけたヤツは誰だよ?」


機嫌悪いニャン丸が荒々しく言うと、言いにくそうに下を向いていた伏夜はようやく重い口を開く。


「猫上様、それは私の同級生の春ちゃんでしょ」


八ニャン士 大声を出す。


「ええ! 伏夜様の同級生?」

「そ、そうなんじゃよ。 実は八ポン士を裏で操っているのは、伏夜さんの友達の春花さんなんじゃ」

「実はこの前、春ちゃんから八ポン士結成の話を聞いていたの。 皆んなには黙っていてゴメンね。 でもまさか春ちゃんが八ポン士を結成した理由は、東野郡制覇をすることだなんて知らなかった・・・うあぁぁん!」


突然地面にしゃがみこみ泣き崩れる伏夜のことを、ニャン蜜は背中をさすって優しくなぐさめた。

伏夜が泣いている姿を見て慌てる八ニャン士。


「あわわ、伏夜様が泣いちゃったよ。 おいイケメンのニャン斗、何とかしろよ」

「ええ! ニャン丸くんが大声を出すからいけないんでしょう? 八ニャン士にとって大事な伏夜様を泣かせるなんてさぁ、僕は絶対に許せないなぁ」

「カミオ〜、か弱い女を泣かすなんてお前さんは罪な男だね〜。 一体どうしてくれるのさ〜」

「そうっすよ、とりあえずここはカミオが伏夜様に謝るのが1番っす」

「そうだねん。 たぶんこの空気はん、全く気が利かないカミオが悪い流れだねん」

「あ、僕もそう思います。 カミオさん、早く伏夜さんに謝って下さい」


伏夜の涙に非常に弱い八ニャン士は、猫上様をジッと睨む。


「さあカミオ! 泣いている伏夜様に謝って下さい!」


猫上様 目が点になる。


「ん? ニャンで?」


すると忍び猫が神社にサッとやって来て、素早く猫上様に手紙を渡した。猫上様はその手紙を開き、そして八ニャン士に読ませる。


『里見八ニャン士と伏夜、お前たちに伝えたいことがある。 今すぐ東野橋へ来い。 春花』


春花からの手紙を読んだニャン蜜は険しい顔をする。


「ニャン太郎、早速向こうから戦線布告だにゃん」

「そうだねニャン蜜ちゃん。 猫上様、とりあえず僕たちが東野橋に行って春花さんに会ってきます。 そして何としてでも大和田村との戦争を止めさせます」


すると伏夜はニャン太郎の体をおさえる。


「ニャン太郎、八ニャン士は橋に行っちゃダメ! 相手が春ちゃんなら、同級生の私が行って話をしてくる。 昔は優しかった春ちゃんなら、きっと分かってくれるはずだよ!」

「でも伏夜様、今の春花さんは様子が変です。 逆に伏夜様が橋に行ったら危ないですよ!」

「八ニャン士は行っちゃダメ、戦争になっちゃう! 猫上様、私がなんとか春ちゃんを説得します。 だから八ニャン士じゃなくて、私に橋へ行かせて下さい!」

「う、ううん。 はてはて、困ったのぉ」


神社の境内で全員が静まりかえると、突然ニャン子が切り出した。


「太郎ちゃ〜ん、いいじゃないか〜。 伏夜様本人が春花さんに会いたいっ言うんであれば、行かせてあげようじゃないの〜」

「そうだよん、伏夜様に行かせてあげようよん」

「僕もそう思うねぇ。 皆んなでケンカしないでさぁ、話し合えばいいじゃないかぁ」


体をブルブルと震わせながら怒るニャン太郎。


「皆んな、そんな無責任なこと言わないでよ! 万一伏夜様の身に何かあったら、一体どうするんだよ!」


その時、ニャン丸がニヤリと笑う。


「ヘッ、ばぁか。 ニャン太郎、その伏夜様をお守りするのが俺たち里見八ニャン士の役目なんだろ?」

「ガッハッハ、忘れたっすか! 伏夜様がどこに行っても、俺たちがお守りするんすよ。 ああ腹減った!」

「伏夜様が橋に行って春花さんと話しがすんだら、早く家に帰りましょニャン太郎くん」


八ニャン士は全員ニヤリと笑うと、ニャン太郎は笑った。


「み、皆んな、伏夜様を守ってくれるんだね。 ありがとう!」


伏夜も涙を拭いて笑顔になると、八ニャン士はなぜか照れる。


「八ニャン士、ありがとう。 じゃあ皆んなで一緒に行こうね!」


伏夜の涙だけでなく、笑顔にも非常に弱い八ニャン士であった。

そして猫上様は春花の所へ行く伏夜と八ニャン士を見送った。


「皆んな、くれぐれも気をつけるんじゃぞ!」

「はい、行ってきます!」


こうして八ニャン士と伏夜は、春花と八ポン士がいる東野橋へと向かった。



東野川に架かる東野橋にたどり着く伏夜と八ニャン士。橋の中央には春花と八ポン士が、腕を組みながら横並びに並んでいた。

伏夜の顔を見た春花は、バカにしたような顔をしながらニヤリと笑う。


「へぇ、お前たち。 コソコソと逃げずによくここに来たねぇ」

「春ちゃん、東野郡制覇なんてバカなマネはやめてよ! そりゃあ大和田村の狸と里見村の猫はたまにケンカするかもしれないけれど、お互いの村同士で仲良くやればいいじゃない?」

「ハハハハ、笑っちゃうね、伏夜。 今さら大和田村が里見村と仲良くできるか! 我々はあのダム建設計画の件で、大俵村長が逮捕された恨みは忘れていないんだよ」

「それは国から賄賂を貰って無理矢理ダム建設をしようとしていた、大俵村長が悪いんでしょ? 春ちゃん、昔はあんなに優しかったのにどうしちゃったのよ?」

「うるさい、昔の話をするな! いつもいい子ぶる貴様が、私は昔から大嫌いなんだよ!」

「春ちゃん、一体どうしちゃったの?」


目つきも口調も変わり果てた春花を見て、伏夜が少し涙ぐむ。

すると、侍姿のユズポンが1歩前に出て大声で叫んだ。


「拙者が八ポン士リーダーのユズポンでござる。 八ニャン士、おぬしらのリーダーはどなたか?」

「へ? リーダー?」


八ニャン士 目が点になる。


「おい、リーダーって誰だっけ? チッ、イライラする質問してくるヤツだぜ」

「そういえば、俺たちにリーダーなんていなかったっすなぁ? ああ腹減った!」

「おやおや、今までリーダーがいなくて闘ってきたのも不思議なもんだ〜ね〜。 じゃあ、さっさと決めようじゃないか」


八ニャン士が橋の上でリーダーは誰かについてザワザワしていると、話が進まないユズポンはイライラする。


「うるさぁい、おぬしらはいつまでも赤子みたいにザワザワとかニャンニャンしてるんじゃなぁい! いいから早くリーダー出てこい!」


ザワザワしていた八ニャン士は、全員ニャン太郎の顔を見る。


「まぁとりあえずさぁ、ここはニャン太郎くんでいいんじゃないのかなぁ。 僕はケンカが嫌いだよ」

「あ、僕はてっきりニャン太郎くんがリーダーだと思ってました。 だから早く帰りましょう」

「めんどくせえなん! とりあえずニャン太郎、お前がチャッチャと行ってこいよん!」

「ええ、何で僕なの? ずるいよぉ。 リーダーは公平にジャンケンで決めようよ!」


そしてニャン蜜がニャン太郎の背中を押す。


「はいはいニャン太郎、あの変にゃ侍みたいにゃユズポンていう狸は面倒だからから早く行きにゃん!」

「ニャン蜜ちゃんまで。 まったく、もう」


嫌そうな顔をするニャン太郎は、頭をかきながら仕方がなくゆっくりと前に出る。


「あのぉ、はじめまして。 という訳で、先ほど決まりました八ニャン士リーダーのニャン太郎といいます。 どうぞよろしくお願いします」


八ポン士 コケる。


「お、おぬしは、拙者をバカにしているのか?」

「いやいや、だってこんなリーダーの挨拶なんて初めてなんだもん。 早く言ってくれたら、ヒーローっぽくセリフを考えたのに」

「そんなことはどうでもよい! よいか八ニャン士リーダー、大和田村が4つの村を統一して東野郡を制覇する! そして春花独立国を起こして始皇帝になられるお方は、ここおられる春花様だ!」


それを聞いた八ニャン士と伏夜は驚く。


「春花独立国の始皇帝?」

「速やかに里見村を我々に渡せば、無駄な争いはせん。 しかし我々の目標を邪魔するのであれば、大和田八ポン士がおぬしたちを許さんぞ!」

「ハッハッハ! そういうことだよ、伏夜!」


春花と八ポン士は東野橋で仁王立ちしていると、ニャン蜜は春花の額に何か書いてある文字に気づく。


「にゃにゃ? あの文字ってにゃんだ?」


ニャン蜜はアゴに手をあて、春花の額に書いてある文字について考えていた。



するとユズポンとデコポンが八ニャン士に叫ぶ。


「おい、八ニャン士リーダーであるニャン太郎! 悪名高いおぬしたちは早く降参し、我々八ポン士の言うことを聞け!」

「ワレか、里見村のチンピラ猫ちゅうんは。 暴れ狸デコポン様の長槍で、ボコボコにいわしちゃるけぇのぉ!」


それを聞いたニャン太郎とニャン丸は叫ぶ。


「おいユズポン! お前がやっている悪者のような汚いやり方に、正義の僕たちが納得するわけがないだろ!」

「チッ、このインチキ広島弁野郎がぁ! ポンカンだかポンポコリンだか知らねえが、お前ら好きにはさせねぇぞ!」


すると今度はガチャポンとスッポンが叫ぶ。


「はぁあ、1番デカい猫お前ってか? お前は俺がひねり潰してやるってよ! はぁ眠い眠い!」

「ヘイ! ユーはブサイクでヘラヘラしたキモい猫だねぇ。 ユーはイケメンのミーとは比べものにならないね」


それを聞いたニャン平とニャン斗が叫ぶ。


「ガッハッハ、そこのガチャガチャ狸! テメェは狸鍋にして俺が食べてやるっすよ。 ああ腹減った!」

「おい、誰がキモい猫だってぇ? 貴様の方がキモい狸じゃねぇかよ!」


すると今度はクーポンとチャンポンが叫ぶ。


「あっちの八ニャン士ポンには、スケベな猫ポンがいるそうだね」

「いや あそこは 変なおいらん いるあるよ」


それを聞いたニャン助とニャン子が叫ぶ。


「シッシッシ、あっちには可愛い忍び狸がいる見たいだねん! ならば俺の忍術でん、メロメロにしちゃうよん!」

「やい、お前さん。 その変な花魁ってぇのは、ひょっとしてあたいのことか〜い? あたいをナメんじゃないよ!」


すると今度はウェポンとガンポンが叫ぶ。 


「ウへへへ! オメーら全員俺の機関銃でぶっ放してやるぜぇ! ウヘヘヘ!」  

「おやおや、あちらは自由きままな猫の剣士だけに、皆んなバラバラみたいですね。 ところで軍師はどなたですか?」


それを聞いたニャン吉とニャン蜜が叫ぶ。


「あ、なんか変態な狸がいて、僕怖いです。 早く家に帰りたいです」

「にゃによぉ、にゃんにゃのよぉ。 八ニャン士の軍師は私だけど、にゃんか文句あるにゃ?」


里見八ニャン士と大和田八ポン士が橋の上でバキバキに睨み合うと、春花が大きな声で高笑いした。


「ハーハッハッハ! これで話は決まったみたいだね、伏夜。 これから大和田村と里見村は大戦争になるよ!」

「春ちゃん、もう手遅れなんだね」


伏夜はポケットからハチマキを出し、頭にギュッと縛った。


「よし、分かった!  そっちがその気なら、こっちも全力で里見村を守ってみせる!」


伏夜と春花も東野橋の上で睨み合った。


そして、いよいよ里見村と大和田村の全面戦争が始まった。

さあ、大変なことになってきましたよ!

大和田村から戦争を仕掛けられた里見村は、これからどうなってしまうのでしょうか?

まぁとりあえずニャン太郎くん、八ニャン士リーダー昇格おめでとう!


次回「謎の巻」をお送りします。

八ポン士と戦う為に、再び八ニャン士の訓練が始まった!


お楽しみニャン!

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