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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
東野郡大戦争編
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第2話 覇の巻

里見村村長の娘である伏夜の所に、大和田村に住んでいる高校時代の同級生の春花が突然訪ねてきた。

そして伏夜は、春花から『大和田八ポン士』という狸剣士を結成することを告げられる。


はたして、大和田八ポン士をつくる春花の目的とは一体何であろうか?

ここは大和田村1番地あるお寺『少々寺(しょうしょうじ)』。伏夜の同級生である春花は、少々寺の住職の1人娘であった。

里見村から帰って来た春花は素早く甲冑に武装して、中庭が見えるお寺の廊下に立った。


「大和田八ポン士よ、全員ここに集まれ!」

「はい、春花様。 私たちはここにおります!」


朱色の派手な甲冑を着て仁王立ちしている春花の前に、8人の狸剣士が膝をついて頭を下げていた。


剣の達人である八ポン士リーダー『ユズポン』

紅一点の女忍者『クーポン』

カンフー使いの中国狸『チャンポン』

大和田村1番の怪力狸『ガチャポン』

長槍の暴れ狸『デコポン』

2つの機関銃を持つ『ウエポン』

イケメン狸のマジシャン『スッポン』

八ポン士軍師『ガンポン』


八ポン士が横一列に並ぶと、春花は腕を組みながら笑みを浮かべる。


「フッ、私は里見村へ行って伏夜と会って話をしてきた。 どうやら里見村には、うわさの里見八ニャン士という猫剣士がいるのは本当らしい」


すると侍姿をしているユズポンが、握り拳を震わせて声を張り上げた。


「今こそ我が大和田村の力を、あの宿敵である里見村に見せる時がやってきましたな、春花様!」

「そのようだな、ユズポン」


続いて女忍者であるクーポンと中国狸のチャンポン、そして怪力狸のガチャポンが笑みを浮かべる。


「うふふ。 あの里見村ポンを攻めるなんて、今から楽しみポンですよ」

「わたしのカンフー 皆んな倒す あるよ!」

「はぁあ、俺様が猫1人1人ひねり潰してやるってよ! はぁ眠い眠い!」


そして暴れ狸のデコポンとちょっと危ないウェポン、そしてインチキ英語のスッポンが興奮する。


「ワシの長槍は天下無敵じゃけぇ!  はよぉあの暴れ猫のチンピラと、ひと暴れしとうてたまらんわ!」

「ウヘヘヘ! 俺の機関銃で全員ブチ殺してやる! ウヘヘヘ!」

「おやおや、ユーたちはだいぶ気合いがインしてるねぇ。 まぁ、ミーは軽くウォーしますけどね」


そして最後にタキーシード姿の八ポン士軍師のガンポンが立ち上がり、春花に向かってお辞儀をする。


「春花様、戦いのことは全てこの軍師ガンポンにおまかせを!」

「軍師ガンポン、頼んだぞ。 お前たちも頼もしい狸剣士だ!」

「春花様。 前の『里見村ダム計画事件』では、我が大和田村の大俵村長がワイロを貰って逮捕されました。 ゆえに大和田村で頼るお方は、少々寺の春花様しかおりませぬ!」


説明しよう。

前に大和田村の大俵村長と建築会社の琴梅社長が国からワイロを貰い、里見村をダムで埋めるという事件があった。しかしそれは八ニャン士の活躍によりそのダム計画を阻止され、大俵村長と琴梅社長は逮捕された。


「分かっている、ユズポン。 だから私は長年大和田村の野望だった東野郡制覇を実現して、日本初の『春花独立国』を作るのだ!」

「おお!」


春花の力強い掛け声に、八ポン士は雄叫びを上げる。


「そして春花独立国になったその暁には、私が『春花始皇帝』となるのだぁ!」

「おお! 春花始皇帝、バンザイ!」


八ポン士が大声で万歳していると、女忍者であるクーポンが寺の庭にある草むらに隠れている何かの気配に気づく。


「ん? 何者ポンか?」


クーポンは草むらにシュッ!と小刀を投げると、草影がフッと消えた。


「くそ、逃げポンされられたか!」

「クーポン、どうしたのだ?」

「はっ、春花様。 あの素早い動きポンは、おそらく里見村の忍び猫ポンかと思います」

「それはマズイですね。 今言われた春花様の独立国の話を聞かれましたか?」

「ガンポン、まあいい。 遅かれ早かれアイツらにはいずれ知れることだ。 我々は早速里見村との戦いの準備にとりかかるぞ!」

「おお!」


再び春花の強い掛け声に、八ポン士の士気がさらに高まった。



一方里見村の似星家では、テレビの歌番組を見ながら伏夜とニャン太郎がノンキに歌っていた。2人が歌っていたのは、里見村で今流行している『キャットタワーで待ってるニャン♡』である。


「キャットタワーで〜♪ 私は〜♪ 待ってるニャ〜ン♪」


2人が気持ちよく歌っていると、突然ニャン太郎の首についている『仁の玉』が光り出す。それは里見山の里見神社に住んでいる猫上様からの知らせだった。


「ホーホッホ! 八ニャン士よ、今すぐ神社に集まりたまえ! あ、それから今回は伏夜さんも一緒に来るのじゃ!」


説明しよう。

八ニャン士の首についている『仁義八行の玉』は、八ニャン士同士がお互い通信が出来る玉であった。


猫上様からいきなりの号令に、ニャン太郎と伏夜は不思議そうに見つめ合う。


「猫上様が神社に集まれって、また一体何があったのでしょうか? しかも今回は伏夜様も一緒だなんて」

「何だろね? とりあえず行ってみようか?」


とりあえず連太郎には『里見神社に行ってきます』と置き手紙をして、伏夜とニャン太郎は神社に向かった。



2人が神社の境内に着くと、猫上様に呼ばれた他の八ニャン士はすでに集まっていた。


「よう、ニャン太郎! ケッ、お前は相変わらず遅えヤツだなぁ。 伏夜様、ご無沙汰です」

「ガッハッハ! これはこれは伏夜様、お待ちしてたっすよ。 ああ腹減った!」

「おやおや、太郎ちゃ〜んと伏夜さま〜。 お2人さんとも、ちょいとお久しぶりだね〜!」

「今回は伏夜様も一緒なんだなんてん、俺はとっても嬉しいなん。 ヒヒヒヒ!」

「伏夜様、こんにちはにゃん! ニャン太郎久しぶり、元気にゃん?」

「はぁい! 僕は可愛い伏夜様と会えるなんてぇ、今日はなんていい日なんだぁ!」

「あ、ニャン太郎くんと伏夜様、お久しぶりです。 僕は早く家に帰りたいです」


久しぶりに八ニャン士を見たニャン太郎と伏夜は、皆んなのあいさつに笑顔で応える。


「やぁ皆んな、久しぶりだね! あの『あぶねこ鍾乳洞の戦い』以来かなぁ?」

「こんにちは、皆んな元気そうだね。 その節はありがとう!」


説明しよう。

『あぶねこ鍾乳洞の戦い』とは、伏夜が妖怪ペロンチョとゲロッパに誘拐され、助けに行った八ニャン士が見事に勝利した戦いである。


すると里見神社の扉が光りながら開き、中から白装束を着たあの猫上様が現れた。


「ホーホッホ! ワシがこの神社の猫の神である『猫山上王びょうざんじょうおう』であ〜る!」


八ニャン士と伏夜 目が点になる。


「チッ、毎回その登場いらなくね?」

「あと名前もん、『ねこやまカミオ』でよくねん?」

「カミオ、いい加減におし! お前さんはいっつも登場がしつこいんだよ〜」

「ああ、バカバカしいっす! 腹が減ったから皆んな帰ろうっす!」


そそくさと帰ろうとする八ニャン士と伏夜を、猫上様は慌てて止める。


「ちょい待てぇ、ワシだってたまには名セリフを言ってもよかろう?」

「ケッ、それって名セリフじゃねぇし!」

「ところでカミオ、今回集めたのは何ですかにゃ?」

「カミオさんさぁ、また厳しい修業とかじゃないだろうねぇ? 僕は苦しいのが苦手なんだよぉ」

「あ、それなら僕は早く家に帰ります。 さよなら」

「いやいや、今回は修業の話ではない。 実は先日ワシの忍び猫から、ある重大な情報が入ったのじゃ」

「ほうほう」


猫上様の話しに耳を傾ける八ニャン士と伏夜。


「その忍び猫の情報によると、どうやら大和田村には大和田八ポン士という狸剣士が結成されたらしい!」

「ええ! 大和田八ポン士?」


八ニャン士 空いた口が塞がらない。


「チッ、あのクソ狸がぁ! 八ポン士だなんて完全に俺たちをパクリやがったなぁ! 今度会ったらボッコボコにしてやる!」

「ったく、とんでもねぇ狸野郎たちっす! 全部まとめて食ってやるっす!」


しかしそれを聞いて伏夜だけが下を向いていたのは、八ポン士の存在は春花から聞いて知ってるからだった。春花から聞いた伏夜は嫌な予感をしていたので、八ポン士については猫上様や八ニャン士にはまだ話をしていなかった。


「それで猫上様、その八ポン士と僕たちがどういう関係あるんですか?」

「ニャン太郎、ここらからが問題なのじゃ。 忍び猫の情報によると、どうやらその八ポン士は東野郡制覇をする為に里見村と戦争を始めるらしいのじゃ!」


八ニャン士は里見村中に響き渡るくらい大声で叫んだ。


「東野郡せいはあ? 里見村と戦争だってぇ?」

伏夜さんの友達である春ちゃんが、大和田八ポン士を結成して東野郡を制覇して、春花独立国を作る計画をしていました!

これから八ニャン士と伏夜はどうなってしまうのでしょうか?

しかし大和田村の八ポン士も、八ニャン士に負けずクセが強そうですね。


次回「始の巻」をお送りします。

いよいよ八ニャン士の前に、あの八ポン士の狸が現れる! そして伏夜の決断とは?


お楽しみニャン!

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