表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
風神雷神編
34/43

第13話 影の巻

伏夜が白鳳弓で放った白い矢によって猫水晶が爆発すると、ペロンチョは白い煙となって消えていった。

しかし今度は黒い煙が立ち上がり、新たに大ムカデの妖怪ゲロッパが現れる。


八ニャン士は全員気を失い倒れたままの状態で、伏夜は1人でゲロッパに勝つことが出来るだろうか?

ペロンチョが白い煙になって消えた後にまた現れたのは、大ムカデの妖怪ゲロッパだった。ゲロッパはペロンチョよりも全長が遥かに大きく、多くの足が奇妙にウネウネと動いていた。

そしてペロンチョを退治した伏夜をジロリと見下ろし、低くて不気味な声で叫んだ。


「この小娘~、よ~く~も俺の相棒ペロンチョをやってくれたな~! この大ムカデのゲロッパ様がお前を許さ~ん」

「ゲ、ゲロッパ? どうしよう、八ニャン士はいないし白い矢はもう無いし」

「ガハハハハ、八ニャン士も〜全滅したのか~。 だったらしばらくは~、この小娘と遊んでや~る~!」

「うるさい、ゲロッパ! 私1人だって里見村を守ることが出来るんだぁ!」


白い矢を持っていない伏夜は、白鳳弓をブンブンと振り回し抵抗する。しかし体が大きいゲロッパに、伏夜の反撃など通用する訳がない。

ゲロッパはもて遊ぶかのように、無数の腕を使って笑いながら伏夜を弾いて転がしていた。


「キャ~、やめて~!」

「ガハハハハ、楽しいの~! お前と遊んだ後は~、ゆっくり食べてや~る~」


やがて伏夜は力つき地面に倒れて立てなくなると、ゲロッパはゆっくりと近づいて来た。ゲロッパの恐ろしい姿を見ながら、いよいよ殺されると伏夜は思った。


「私はもうダメ。 八ニャン士も平和な里見村も、これですべてお終いだわ」



伏夜が気を失いかけたその時、広い洞窟のどこからか声が聞こえて来た。


『やい、ゲロッパ! それ以上伏夜様をいじめたら、僕たちが許さないぞ!」


洞窟に響く高い声にゲロッパは周りを見渡す。


「誰だ~、出てこ~い!」


洞窟の遠い所に8人の影が映ると、首についている玉が1つ1つ光り輝いていた。


仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌


ゲロッパは8人の光る玉を見て、少しうろたえていた。


「お、お前らは〜?」


戦いに倒れていたはずの八ニャン士が、なぜか横一列に立って並んで仁王立ちしていた。


「我ら里見八ニャン士だ!」


ケガもなく元気な八ニャン士を見た伏夜は、涙を流しながら叫んだ。


「八ニャン士ぃ、皆んな生きてたのねぇ!」

「お前ら~、気絶していたのではなかったの~か~?」


八ニャン士は軽く笑みを浮かべ、1人1人ドヤ顔しながらゲロッパに叫んだ。


「ヘッ、俺たちは地獄から這い上がってきたぜ。 俺はお前とケンカするのが無茶苦茶楽しみだぜ!」

「お前さんはニョロニョロして気持ち悪いんだよ〜。 あんまりあたいらをナメんじゃないよ〜!」

「シッシッシ! 伏夜様をイジメたお前なんかん、俺の忍術でやっつけてやるよん」

「ガッハッハ! こいつなんかやっつけて、早く帰って飯でも食おうっすか。 ああ腹減った!」

「ブサイクなゲロッパさん、俺のイケメンの顔にケガさせたら承知しないぜぇ!」

「俺はケンカは嫌いだけどよ、伏夜様をイジメたお前はもっと嫌いだよ。 ああ早く家に帰りてぇ!」

「フフフ、大トカゲのゲロッパめ。 私の策を見くびるにゃあ!」


そして伏夜をもて遊んだゲロッパに向かって、怒り狂ったニャン太郎が列の中央で叫ぶ。


「やい、ゲロッパ! 僕たちの大切な伏夜様を、よくもイジメてくれたなぁ」

「ケッ、弱いお前たちに~何が~出来る~!」

「うるさい、僕はお前を絶対に許さない! 伏夜様をイジメたお前を、僕はお前を絶対に許さない!」


八ニャン士は八ニャン剣をシュンと抜き、それぞれの剣を光らせた。

そしてニャン太郎は赤く光った剣を上に掲げ、ゲロッパの前に突き出しながら叫んだ。


「仁義礼智忠信考悌

  伏夜様をお守りする我ら里見八ニャン士! 

             正義は僕たちだぁ!」


横一列に並んだ八ニャン士を見たゲロッパは、怒り狂いながら吠えた。


「俺もペロンチョを倒したお前たちを〜ゆるさ~ん。 全部まとめて~倒してや~る~!」

「皆んな、行くにゃあ。 かかれぇ!」

「うおおおお!」


八ニャン士軍師ニャン蜜の合図で、八ニャン士とゲロッパは激突した。



怪力猫のニャン平は雷電のパワーで、ゲロッパのお腹周りを両腕で潰した。


「雷電雷電・・・うおおおりやぁ!」


ニャン斗は雷電のパワーで頭を光らせて、ゲロッパの目を潰そうと攻撃した。


「雷電雷電・・・ピカピカー!」


ニャン助はゲロッパの口の中に次々と爆弾を入れていった。


「雷電雷電・・・忍法雷電イナズマ爆弾!」


ニャン子はゲロッパの体に連続で飛び蹴りをした。


「雷電雷電・・・アチョー!」


ニャン蜜は八ニャン士にいろいろな攻撃の指示をした。


「ニャン太郎、右! ニャン丸、45°左!」


ニャン吉は姿が見えなくなるくらい素早く飛び回り、数十本あるゲロッパの腕を剣でシュンシュンと切っていった。


「おらおらおらおらぁ!」


そしてニャン丸とニャン太郎は八ニャン剣をシュンシュンと素早く振り回し、ゲロッパの腕や胴体を切っていった。


「くらえ、ゲロッパ!」


しかしゲロッパの体はいくら手足を切られても、すぐに再生する能力があった。それでも八ニャン士からしつこく攻撃されると、ゲロッパはイライラしながら叫ぶ。


「うっとうしいぞ〜、お前ら〜。 いくら切っても〜、俺の体は再生するから全く効かんぞ〜!」


ゲロッパは体を横に振りながら抵抗し、八ニャン士を次々と弾き飛ばしていった。

しかし風ニャン神と雷ニャン神の修業で鍛えられていた八ニャン士は、ゲロッパにやられても反撃を繰り返していた。


「ヘッ、俺たちもだいぶ強くなってきたな。 まだまだ俺は暴れられるぜぇ!」

「ガッハッハ! マル、お前は弱いんだから気をつけろっす! いざとなったら俺が助けてやるっすからな!」

「チッ、うるせぇバカトン平! お前だって腹が減って倒れるんじゃあねぇぞ!」

「ニャン吉、右45°! ニャン太郎、後ろ! ニャン助、下!」

「雷電・雷電・・・アチョー! まったく、あたいのセクシーな足が太くならないか心配だよ〜。 ああ、早くエステに行きたいね〜」


八ニャン士の激しい攻撃で、暴れていたゲロッパの力が徐々に弱まっていく。


「よし、皆んなぁ! コイツはもう少しで倒れるよ」

「や〜か〜ま〜し〜! こんなことで〜、このゲロッパ様が倒れると思っているのか〜」


また怒り狂ったゲロッパは自分の腹を空けると、中からムカデ兵の大群が現れた。

ムカデ兵とは、ゲロッパが操る戦闘部隊のことである。


「お〜れ〜が〜休んでいる間、ムカデ兵がお前たちを遊んでくれるわ〜」


ムカデ兵が持っている鋭い牙で八ニャン士を襲う。


「ちょ、ちょっと待ってにゃん。 私本当はムカデが嫌いだにゃん! あっち行ってにゃあ」

「ムカデ兵がこんなに大群じゃあ、いくら八ニャン剣で切ってもキリがないよ」


その時、豹変しているニャン斗が八ニャン士に叫んだ。


「皆んな、目をつむれ! さっきの洞窟みたいに、イケメンのニャン斗様がムカデ兵の目を潰してやる」


八ニャン士と伏夜はニャン斗の言われるまま目を閉じる。

しかしゲロッパもムカデ兵に指示を与えた。


「あいつの光る技には気〜を〜つ〜け〜ろ〜。 ムカデ兵よ〜、お前たちは体をま〜る〜くな〜れ〜!」

「雷電雷電・・・ピカピカピッカァー!」


ニャン斗は雷電で激しく頭が光った。しかしムカデ兵は体を丸くし、ニャン斗の光りをさえぎっていた。


「くっそぉ、俺のイケメン雷電がブサイクムカデには効かないぜぇ!」

「ニャン蜜ちゃん、他に何か秘策はないのかい?」

「ニャン太郎、ちょっと待ってにゃん。 今考えてるにゃん!」


丸くなっていたムカデ兵は元に戻ると、今度は後ろで隠れている伏夜を襲って行った。


「キャ〜、ニャン太郎助けてぇ! ムカデがこっちにやって来るぅ!」

「あ、伏夜様ぁ! 今僕が助けに行きます!」


ニャン太郎は伏夜を助ける為に、靴からバネを出して高く飛んだ。


「ニャン太郎ジャーンプ!」


ニャン太郎はクルクル回りながら伏夜の所まで飛び、襲って来るムカデ兵と戦った。


「ムカデ兵め、伏夜様に触れたら許さないぞ!」


そして1匹のムカデ兵が伏夜を襲ったその瞬間、怖がっていた伏夜は思わずポケットに入っていたハッカ飴を投げつけた。


「もぅ、気持ち悪いムカデね! あっち行ってよ!」


するとハッカ飴に当たったムカデ兵は、慌てるように後ろに引き下がった。


「あれ、どうしたの? ムカデちゃんは飴玉が嫌いなの?」


伏夜はまた数個のハッカ飴をムカデ兵に投げると、ムカデ兵は慌てるように逃げて行った。

伏夜がハッカ飴を投げているのを見ていたニャン蜜は、ムカデ兵の弱点に気づく。


「そっか、ムカデはハッカとかのメンソール系に弱い虫にゃんだ! ニャン助ぇ、にゃんかスースーするようにゃメンソール系の煙玉持ってにゃい?」

「ニャン蜜ちゃ〜ん、それならあるよ〜ん!」

「よしっ、それをムカデ兵に投げるにゃん!」


ニャン助がムカデ兵にメンソール系の煙玉を投げると、ムカデ兵は慌てるようにゲロッパのお腹へ逃げて行った。


「やったぁ! ムカデ退治、大成功!」


しかし洞窟に充満しているメンソールの強い臭いで、伏夜と八ニャン士はお酒に酔ったようにフラフラしていた。


「ふ、ふせよさまぁ。 だ、だいじょぶですかぁ?」

「ニャンたろ。 めと、はなと、くちがスースーしすぎて、あたまが、ふらふらする」

「チッ、前の忍術講座の時もそうだったけど、自称忍び猫のニャン助の煙玉は良いのか悪いのか分んねぇ。 ああ、目が痛ぇ」

「こらっ、ニャンスケベ! お前さん、また適当な煙玉を作りやがったね〜」


説明しよう。

忍び猫のニャン助は里見村で『ニャン助忍術講座』をしている。その講義の時に使った怪しい煙玉で、八ニャン士はゴホゴホと咳き込むくらい酷い目にあった。


「ハ・ハ・ハ、煙玉に入れたメンソールの量を間違えたかなん? 良い子の皆んなはマネしないでねん!」


メンソールの煙玉でムカデ兵をやられたゲロッパは、怒りながら大声で叫ぶ。


「俺のムカデ兵に〜、よ〜く〜も〜やってくれたな〜。 お前たち〜ゆるさ〜ん!」

「にゃにゃ、あの大ムカデの妖怪ゲロッパにはメンソールの煙玉が効かにゃいにゃん!」


怒り狂ったゲロッパは目を赤く光らせると、背中から黒くて大きい剣を取り出した。

ゲロッパが持つその黒い剣からは、何やら怪しい妖気がメラメラと漂っていた。

伏夜のピンチに駆けつけたのは、復活した八ニャン士でした!

しかし怒り狂ったゲロッパは、また怪しい黒い剣を取り出してきた。

はたして八ニャン士は、黒い剣を持つゲロッパに勝つことが出来るだろうか?


次回「剣の巻」をお送りします。

ついに出た! 八ニャン士の必殺技を初公開!


お楽しみニャン!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ