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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
風神雷神編
33/43

第12話 晶の巻

ペロンチョに拐われた伏夜を助ける為に、八ニャン士は里見山にある『あぶねこ鍾乳洞』へ向かった。

しかしその途中にある森や洞窟の中で、ニャン助とニャン平とニャン斗が倒れてしまった。


そして洞窟の奥にある鍾乳洞の広場には、あのペロンチョが待ち構えていた。

鍾乳洞の奥にある広い場所で待ち構えていた大トカゲの妖怪ペロンチョは、長い舌とシッポをブンブン振り回していた。その下で縄に縛られて横になっている伏夜は、助けに来てくれた5人の八ニャン士を見て、洞窟の中が響き渡るくらい大声で叫んだ。


「八ニャン士ぃ! 助けてぇ!」

「伏夜様ぁ! おのれペロンチョ、僕たちの大事な伏夜様を返せぇ!」

「ヒーヒヒヒ! やっとここまで来たな、八ニャン士。  最後は俺様がお前たちを食べてやる」

「ペロンチョ、お前の思い通りにはさせないぞ! 伏夜様、僕たちが必ず助けますから待ってて下さい!」

「おっと小僧。 この小娘を渡して欲しければ、お前が持っている猫水晶を渡してもらおうか?」


ニャン太郎は言われた通り懐から猫水晶を取り出し、それを掲げながらペロンチョに叫んだ。


「ほら、これが欲しがっている猫水晶だろ。 これをお前に渡すから、早く伏夜様を離すんだ!」

「ヒーヒヒヒ、じゃあ猫水晶は頂くぜ。 こんな小娘はお前らにくれてやる!」


ペロンチョは長い舌を出してニャン太郎から水晶を奪い取ると、伏夜の体を縛っている縄を解いた。

そして寝ていた伏夜は慌てて起き上がり、すぐさま八ニャン士の所まで走って行った。


「ヒーヒヒヒ! 小娘は返したけどなぁ、お前ら全員この洞窟から生きて帰れると思うなよぉ」

「チッ、うるせぇペロンチョ! 俺らだって、ニャン助とニャン平とニャン斗の仇をとらなきゃいけねぇんだよ。 俺はさっきからお前にイライラしてたまんねぇんだよ!」

「お前さん、ちょいとやり過ぎたみたいだね〜。

あたいたちをナメんじゃないよ〜!」

「やい、ヌルヌルベチョベチョのペロンチョ! 伏夜様と里見村は、私たち八ニャン士で守るんにゃあ!」

「あ、僕はケンカや争いが嫌いで家に帰りたいけど、伏夜様を助けて帰ります」


ニャン太郎は伏夜を後ろに下がらせ、腰の八ニャン剣をシュンと抜いて赤く光らせた。


「伏夜様はここに隠れ休んで下さい。 おいペロンチョ、僕はお前を絶対に許さない!」


そして他の八ニャン士も八ニャン剣をシュンと抜き、それぞれの剣を光らせた。


「皆んな、あのペロンチョをやっつけろ!」

「おお!」


いよいよ八ニャン士とペロンチョの戦いが始まった。そしてニャン蜜は普通に戻っているニャン吉を豹変させるために、もう一度あのセリフを叫んだ。


「ニャン吉! ここでペロンチョに負けちゃったら、もう二度と猫アイドルのDVD買えなくなるにゃあ!」

「なにぃ、そんなことさせるかぁ! よし、俺はここでパワーアンクルを外すぜぇ!」


ニャン吉が言うパワーアンクルとは、風ニャン神の稽古でつけていた両足5kgずつある重り(おもり)のことである。豹変したニャン吉はパワーアンクルを取り外すと走るスピードが物凄く速くなり、ペロンチョの体を素早く登って剣をシュンシュンと振り回した。


「うおおお! おりゃおりゃおりゃあ!」


ニャン吉の走るスピードの速さに、ニャン子は口を開けて驚いていた。


「おやおや。 小柄で小声のニャン吉ちゃんって、あんなに走るのが速かった子だったかしら? しかも速すぎて姿が見えないじゃないか〜」

「ニャン子ちゃん、実はニャン吉って八ニャン士の中で1番足が速いにゃん。 しかも風ニャン神様の稽古のおかげで、よりスピードが速くにゃったにゃん!」

「ヒーヒヒヒ、お前たちは修業して少しは力をつけてきたようだな。 しかし、まだまだこれからだぁ!」


ペロンチョは突然自分のシッポを体から切り離すと、シッポは自由に飛び回りながら八ニャン士を次々と跳ね飛ばしていった。


「何だ、あの切れたシッポは? まるで自分の意思があるみたいに動いているよ」

「チッ、皆んなぁ気をつけろ。 ペロンチョは自由にシッポを操れるみたいだから、あれに殴られたら吹き飛ばされるぞ!」


ペロンチョの鋭いシッポの攻撃に、ニャン蜜は八ニャン士に向かって的確に指示をする。


「ニャン太郎、上! ニャン子ちゃん、左後ろ45°! ニャン丸、前! ニャン吉、右45°!」


八ニャン士はニャン蜜のその指示に従い、ペロンチョのシッポの攻撃を交わしながら攻撃していた。


「それにしてもニャン蜜ちゃんの指示は役に立つじゃないか〜。 ちょいとあんたのことを見直したよ〜」

「ありがとにゃん。 ニャン子ちゃんの飛び蹴りも、前よりパワーがあってセクシーだにゃん!」


シッポの攻撃ではなかなか八ニャン士を倒せないペロンチョは、いろいろ指示をしているニャン蜜の動きをジッと見ていた。


「チッ、ちょこちょこ指示しているあの小娘が少し厄介だなぁ。 じゃあ、あいつにはこうしてやるか!」


ペロンチョはそう言いながら長い舌を出して、八ニャン士にいろいろ指示しているニャン蜜の体に巻き付けた。


「キャ〜、にゃめろぉ!」

「ニャン蜜ちゃぁん!」

「ヒーヒヒヒ! なんだか的確に指示しているお前が1番邪魔だから、あっちへ行ってしばらく寝ていろ」


ペロンチョは長い舌を振り回し、ニャン蜜を広場の遠くへと飛ばす。そして飛ばされたニャン蜜が地面に落ちると、そのまま気を失ってしまった。


「ニャン蜜ちゃぁん! 大丈夫かぁ?」

「ヒーヒヒヒ! あの小娘の指示が無くなって、これでやっとスッキリして動きやすくなったぜぇ。 さて残りの4人も、あの小娘みたいに飛ばしてやるか」

「チッ、うるせぇ、お前をブチ殺してやるよ! ちくしょう、こんな時に剣の光りが薄くなってきたぜ」


あれから時間が経って八ニャン剣が光りが消え、スピードもパワーも無くなってしまう。


「とうとう光りが消えたよ。 これから8分2秒のチャージを待たないといけないよ、ニャン太郎くん」

「こうなっては仕方がない。 皆んなぁ、一旦ペロンチョから離れるんだぁ!」


八ニャン剣のパワーが弱くなった八ニャン士はペロンチョの攻撃を止めて、伏夜がいる所まで一旦後ろに下がった。

ペロンチョは逃げた八ニャン士に向かって、ゆっくりと歩き始めた。


「ちっくしょう! これじゃあ、しばらくは何も出来ないよ。 軍師のニャン蜜ちゃんも気絶して倒れてるし、僕たちだけで何か作戦を考えなきゃ」


すると急にニャン子が八ニャン士の前に出て、長いキセルを咥えながら花魁のポーズをとった。


「ホーホッホッホ! 太郎ちゃん、どうやらこのセクシーニャン子様の出番のようだね〜。 八ニャン剣がパワーをチャージするまで、このあたいの必殺の雷電飛び蹴りでなんとかするよ〜」

「雷電と・び・げ・り?」


ニャン子は目を閉じて両手を合わせた。そして鼓動の高鳴りを感じると、ニャン子の両足から火花が出てきた。


「雷電雷電・・・アチョー!」


ニャン子の両足から火花が散ると、雷電の力がパワーアップしていった。

そしてニャン子はペロンチョのシッポを激しく飛び蹴りをすると、まるで雷の光のように音を鳴らせながら炸裂する。


ドーン!


「ギャ〜! 何だ、この小娘の飛び蹴りはぁ?」

「さっきから雷電雷電って何だかよく分からないけど、ニャン子ちゃんの飛び蹴りは前より遥かにスゴイじゃないかぁ!」

「ヘッ、しかもニャン子の雷電飛び蹴りは、もしかして光った八ニャン剣より凄いパワーがあるぞ!」


ニャン太郎とニャン丸とニャン吉 目が点になる。


「ニャン子のあの飛び蹴りはメチャクチャ怖い。 しばらくセクシーニャン子を怒らせるのを止めましょう」


ニャン子の鋭い飛び蹴りで、ペロンチョのシッポはかなりダメージを食らっていた。そして力強くペロンチョのシッポを蹴り上げると、壁に当たってとうとう粉々になった。


「ニャン子ちゃん、やったぁ!」

「ホーホッホッホ、決まったね〜! このあたいのセクシーな足をナメんじゃないよ〜!」


それから8分2秒が経ち再び八ニャン剣が光り出すと、ニャン丸は再び大声を上げる。


「よし、八ニャン剣が光った。 戦闘開始だぁ!」


するとシッポを破壊されたペロンチョは、背中から黒くて太いムチを取り出してきた。


「よくも俺のシッポを潰してくれたなぁ! お前らぁ、絶対ゆるさぁん!」


シッポを潰されて怒り狂ったペロンチョは黒いムチを振り回すと、その物凄いパワーでニャン丸とニャン子とニャン吉を弾き飛ばしていった。


「うわあああ!」


遠くへ吹き飛ばされた3人が地面に落ちて気を失ってしまうと、それを見たニャン太郎は大声で叫んだ。


「ニャン丸! ニャン吉! ニャン子ちゃん!」

「ヒーヒヒヒ。 おい小僧、やっとお前1人になったな! 俺様がお前とゆっくり遊んでやるよ」

「ちっくしょう、よくも皆んなをやってくれたな。 僕1人でも戦って伏夜様を守るぞ!」


ニャン太郎は光る八ニャン剣を強く握りしめペロンチョの方へ走って行くと、それを見た伏夜は泣きながら叫ぶ。


「ニャン太郎、危ないからもうやめてぇ!」



すると、伏夜の耳にどこからか声が聞こえて来た。その声は伏夜しか聞こえないくらい細やかで美しい声だった。


『伏夜、伏夜』

「え? あ、あなたは誰?」

『私は昔あなたに助けられた白い猫の大猫神です』

「大猫神様!」

『伏夜、あなたにはこの白鳳弓(はくほうきゅう)を授けます。 それでペロンチョが持つあの猫水晶に矢を放つのです!』


伏夜の目の前が突然白く光り、ゆっくりと白い弓と白い矢が1本落ちて来る。


「でもあの猫水晶は大猫神様の魂ですよね? それでは大猫神様が死んでしまうじゃないですか?」

『私は大丈夫です。 さぁ、早く矢を放ちなさい!』

「分かりました、大神猫様!」


伏夜は白鳳弓を握りしめ、ペロンチョの近くまで走った。



しばらくペロンチョと戦っていたニャン太郎は黒いムチに吹き飛ばされ、とうとう力尽きて地面に落ちてしまった。伏夜は地面に横たわっているニャン太郎を強く抱きしめながら叫ぶ。


「ニャン太郎、ニャン太郎ぉ!」

「ふ、伏夜様、すみません。 ぼ、僕はもう動けません」


ニャン太郎は伏夜の胸に抱かれながら、徐々に気を失ってしまった。

それを見たペロンチョは、不気味な笑いをしながら伏夜に近づいて来る。


「ヒーヒヒヒ! これで里見八ニャン士は全滅で、残るは小娘だけだぜぇ!」

「ニャン太郎〜!」


伏夜は気を失っているニャン太郎を抱きながら泣いた。その伏夜の涙がニャン太郎の首についている『仁の玉』に落ちると、その玉は伏夜の涙で濡れていた。

それから伏夜は涙を拭いて立ち上がり、ペロンチョに向かってギロリと睨む。


「おのれ、ペロンチョ! よくも私の大事な八ニャン士をやってくれたなぁ!」


伏夜は大神猫様からもらった白鳳弓を構え、ペロンチョが持つ水晶を狙った。


「お前、いつの間に弓と矢を? な、何かイヤな予感がする」


ペロンチョは伏夜の白い弓と矢を見てビビると、大神猫様がまた伏夜に囁く。


『伏夜、今です。 早く白鳳弓で水晶を射るのです!』


ペロンチョはどこからか聞こえる美しい声に戸惑っていた。


「この声は? ま、まさか?」

「ペロンチョ〜! これでもくらえ〜!」


伏夜が放った白い矢はペロンチョが持つ猫水晶に刺さった。

そして白い矢が刺さった猫水晶は激しく光り出し、その後大爆発した。


ドーーーン!


「ギャアアアア!」


ペロンチョは叫びながら水晶の爆発と同時に白い煙りとなり消えていった。


「はぁはぁ、とうとうペロンチョをやっつけた」


消えるペロンチョを見た伏夜は、白鳳弓を落とし力尽きて地面に膝をついた。




伏夜がペロンチョを倒して安心していたその時、今度は黒い煙が出てきてまた違う妖怪が現れた。


「うおおおん! 俺の相棒のペロンチョがや〜ら〜れ〜た〜とは〜、お前ゆるさ〜ん」


黒い煙から出た恐ろしい妖怪とは、大ムカデの妖怪『ゲロッパ』だった。

伏夜さんの放った白い矢でやっとペロンチョを倒したと思いきや、今度は大ムカデのゲロッパが出てきました!

しかし、八ニャン士は全員気を失ったままです。

はたして伏夜さんは、1人であのゲロッパに立ち向かうことができるのでしょうか?


次回「影の巻」をお送りします。

伏夜を救いにやって来たあの影の正体とは?


お楽しみニャン!


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