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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
風神雷神編
32/43

第11話 洞の巻

ペロンチョに拐われた伏夜を助ける為に、里見山のあぶねこ鍾乳洞へ向かった八ニャン士。

しかし洞窟へ行く途中の森の中で、ペロンチョの戦闘部隊であるトカゲ兵が待ち構えていた。


八ニャン士を早く洞窟へ行かせる為にニャン助1人でトカゲ兵と戦っていたが、森の中からニャン助の悲鳴が聞えてきた。


里見山の森の中からニャン助の悲鳴を聞いた八ニャン士は、不安を抱えながらようやくあぶねこ鍾乳洞のいりくにたどり着いた。そこは『猫の悪魔が宿る』と噂される通り、不気味な空気が漂う怪しい洞窟だった。先が真っ暗で何も見えない洞窟を見て、怖がりのニャン吉とニャン斗は抱き合いながらブルブルと震えていた。


「イケメンの僕はここに入るのヤダよぉ。 僕は怖いの嫌いなんだよぉ」

「ぼ、僕も嫌いだよぉ。 早く家に帰りたいよぉ」


すると怖がっているニャン斗に、一緒に稽古をしたニャン平が肩を叩きながら呟いた。


「そういえばイケメン猫のニャン斗さんよぉ、お得意のその目を光らせて暗い洞窟の先を照すっすよぉ」


それを聞いたニャン太郎は驚く。


「え? 目を光らせるって、ニャン斗ってそんな技が出来るの?」

「そっすよ。 このイケメンニャン斗さんは夜な夜な遊んでるから、長い時間目をギラギラ光らせる特技があるんす」

「そうなんだよ〜、しかもそのことを皆んなに隠してたんだとさ〜。 このイケメンはどんだけドスケベなんだよっ!」

「ちょっとちょっとぉ! 皆んなだって一応猫なんだからさぁ、少しは自分の目も光るでしょう?」


八ニャン士 ニャン斗をジッと見つめる。


「分かりましたぁ、分かりましたよぉ。 その代わり、後で僕にご褒美を下さいねぇ。 えいっ!」


ニャン斗は不貞腐れながら、洞窟の遠くまで目を光らせた。そのニャン斗の目の光りは、普通の猫の目の光りとは比べ物にならないくらい明るかった。


「にゃにゃ! すごく明るくて、暗闇の洞窟でもハッキリ見えるにゃん」

「ヘッ、目が明るいだの足が速いだの、クセのあるヤツばかりだぜ」

「あ、それは僕のことですか? クセが強いニャン丸くんに言われたくありません」


八ニャン士はニャン斗の目の光りを頼りに、恐る恐るゆっくりと洞窟を歩いて行った。



八ニャン士はしばらく暗い洞窟を歩いていると、突然どこからか地響きが聞こえてきた。


「な、何だ? この音は?」


するとゴゴゴッと大きな音を立てながら、大きな岩のような壁が上からゆっくりと降りて来た。そして硬くてぶ厚いその大きな岩の壁は、八ニャン士の目の前にある洞窟の道を塞いでしまった。


「おやおや。 どうやら岩の壁で洞窟の道を塞がれたみたいだね〜。 こりゃ参ったね〜」

「チッ、これじゃ前に進めねぇじゃねえかよ! どうするだよ、ニャン太郎?」

「あぶねこ鍾乳洞の入り口はここだけだし、この岩の壁を上げるか何かで壊さないとダメだよね?」

「ダイナマイトみたいにゃ物があれば、この岩の壁を壊せるんだろうけどにゃん。 そんにゃ物騒な物を持っている八ニャン士は、忍び猫のニャン助しかいにゃいしにゃあ」


するとニャン平がいきなり服を脱ぎ出し、自慢のムキムキの体を出しながら豪快に笑った。


「ガッハッハ! よぉし、ここは里見村1番の怪力猫の俺様に任せるっす!」

「おお、バカデカニャン平!」


ニャン平は大きな岩の下を掴み、大声を出しながら壁を上げようとした。


「うぉりやあああ!」

「ニャン平、この大きい岩の壁を上げるのはさすがに無理でしょ? ケガをするからやめた方がいいよ」

「ニャン太郎くん、大丈夫さぁ! ニャン平くんはねぇ、修業でこれより大きい山のような岩を上げたんだからねぇ」

「え、マジにゃん! ニャン平、凄いにゃん!」

「うぉりやあああ! ヘナチョコ猫のお前らに、俺様のパワーを見せてやるっす!」

「おお、ニャン平! ファイト〜ニャンパ〜ツ!」


シーン


「あれ? 壁があぎゃらにゃいっすよ?」


八ニャン士 コケる。


「チッ、バカデカトン平、全然ダメじゃねぇかよ! まったく役に立たねぇ無駄なムチムチマッチョだぜ」

「マル、待てっす。 俺には必殺奥義の雷電があるっす!」

「雷電?」


ニャン平は目を閉じながら両手を合わせ、両足を地面に踏みしめる。そしてニャン平は鼓動の高鳴りを感じながら、足と手に集中した。


「雷電雷電・・・」

「ニャン平がブツブツ言っている雷電って何にゃ?」

「ニャン蜜ちゃん、僕たち雷ニャン神グループは師匠から雷電っていう奥義を伝授してもらったのさぁ。 ニャン子ちゃんやニャン助くんも出来るよぉ」


するとニャン平の足元から火花が散り、体力がパワーアップしてきた。そして再びニャン平は大きい岩を持つと、少しずつ壁が上に動き始めた。


「雷電雷電・・・うおおお!」

「おおおお!」


ゆっくりと大きい岩の壁を上げたニャン平は、とうとう最後まで持ち上げた。


「やったぁ、ニャン平!」

「は、早く行けっす! たぶん俺のパワーは数秒しか持たねえっす!」


それを聞いた八ニャン士は慌てて壁の向こう側まで走ると、岩の壁がまた下がり始めてニャン平を潰そうとした。


「ニャン平、潰れそうだから早くこっちに来い!」

「俺はもうダメっす。 お前ら、早く伏夜様の所へ行けっす!」


ドーン!


「ニャン平〜!」


とうとう岩の壁が大きい体のニャン平を押し潰してしまうと、ニャン太郎は体の力が抜けて地面に膝をついた。


「ニャン助の次はニャン平まで・・・」

「チッ、こうなったら仕方がない。 ニャン太郎、とりあえず伏夜様の所まで早く行こう!」

「ニャン丸、分かったよ。 先に進もう」



八ニャン士はまたニャン斗の目の光りを頼りに恐る恐る暗い洞窟を歩いていると、ニャン蜜の鋭い聴力が異様な気配を感じた。


「シッ! またにゃにかいるにゃん!」

「え? 今度は何?」

「ニャン丸、頭を下げるにゃあ!」


暗い洞窟の天井にはあのトカゲ兵の大群が貼りついていて、いきなりニャン丸を襲いかかった。


「チッ、お前ら暗闇の中で来るなんて卑怯だぞ! 暴れ猫の俺様と1対1で戦え!」

「ニャン丸、そんなこと言ってもこいつらには通じないよ。 早く八ニャン剣を光らせて倒すんだ!」


ニャン太郎とニャン丸は八ニャン剣を光らせて、シュンシュンと振り回して次々とトカゲ兵を倒していった。しかしトカゲ兵の数がドンドン増えていくと、怖がりのニャン吉とニャン斗は抱き合いながら震えていた。


「だから僕は嫌だったんだよぉ。 イケメンの僕がこんな所で死にたくないよぉ」

「僕もヤダぁ。 早く家に帰りたい!」


その震えている2人を見て、女軍師のニャン蜜はいつものセリフを言った。


「ニャン斗、貴様ブサイクでキモいくせにビビるにゃあ! あとニャン吉、お前の家に行って猫アイドルDVDは全部壊してやるからにゃあ!」


ニャン蜜に怒鳴られたニャン吉とニャン斗は豹変して、八ニャン剣をシュンと出して光らせた。


「おいミッチー、誰がブサイクだってぇ。 この俺が全部やっつけてやるぜぇ!」

「へへへ、ミッチーよぉ。 猫アイドルDVDを壊したら、お前には二度と貸さねぇぜ! うおりやぁ!」

「フフフ、2人とも豹変したにゃん。 ニャン子ちゃん、私たちも戦うにゃん!」

「べらぼうめっ! あんたに言われなくたって、あたいはさっきから飛び蹴りしまくっているよ〜! ああ、トカゲはニョロニョロして気持ち悪い」


ニャン子はトカゲ兵を飛び蹴りして次々と倒していた。しかしトカゲ兵は次々と増え八ニャン士を襲って来ると、ニャン太郎は戦いにくい洞窟に苦戦した。


「ダメだ! ニャン斗の目の光りだけじゃあ、敵が見えにくい!」

「見えにゃい敵? そうにゃあ!」


風ニャン神から稽古を思い出したニャン蜜は目をつむり、トカゲ兵の早い動きの音を聞いていた。

するとニャン蜜の耳がピクリと動く。


「ニャン太郎、右45°! ニャン丸、左上45°! ニャン吉、後ろ!」


ニャン蜜に指示されたニャン太郎とニャン丸とニャン吉は、八ニャン剣でトカゲ兵を次々と倒していった。風ニャン神の修業のおかげで、3人はニャン蜜の指示で戦うことに慣れていた。


「ニャン斗、横! ニャン子ちゃん、上!」

「お〜や。 ニャン蜜ちゃんは変わった技を使うようになったじゃないか〜。 どうさたのさぁ?」

「へへへ。 風ニャン神様から稽古してもらってにゃ、素敵にゃご褒美も貰ったんにゃん! あの風ニャン神様のご褒美は嬉しかったにゃあ」

「な〜に〜、ご褒美だぁ? ちょっとあんた、風ニャン神様から何を貰ったんだい! 場合によっては、このあたいが承知しないよ!」

「ふん、ネコババァには絶対に教えてやらにゃいにゃ!」

「だまれ〜、この小童(こわっぱ)!」


ニャン子とニャン蜜は睨み合い、なぜか2人は八ニャン剣で争ってしまう。

そんな2人のくだらないケンカを見て八ニャン士は怒鳴る。


「おい、ニャン蜜とニャン子! こんな暗闇の洞窟で戦っている最中に、無駄なケンカなんかするなぁ!」

「はい、しゅみましぇん」


しばらく洞窟の戦いが続くと、ニャン斗が疲れて目の光がだんだん弱くなってきた。


「ニャン斗、大丈夫か? 目の光りが弱くなってきたよ。 そろそろ限界じゃないのか?」

「ニャン太郎くん、これじゃいつまでたってもキリがないよぉ。 よぉし、皆んなぁ目を閉じてくれ!」

「へ? 目を閉じる?」


八ニャン士はニャン斗に言われた通りに目を閉じた。

するとニャン斗は目を閉じながら腕を組み、両足を地面に踏みつける。そして鼓動の高鳴りを感じ、精神を集中させた。


「雷電雷電・・・イッケメーーン!」


ニャン斗の頭が雷電によって激しく光り輝き、洞窟の中はその光りで真っ白になった。


「ギャー!」


ニャン斗が放つ強い光りで目をやられたトカゲ兵は全滅し、次々と地面に倒れていった。


「やったぁ! ニャン斗の頭は物凄く光るんだね!」

「ヘッ、何だか凄いんだか凄くないんだか分からねぇけど、とりあえずコイツらをやっつけたぜ!」


ニャン太郎とニャン丸は喜んでいたが、ニャン斗は雷電で光るパワーを使い過ぎて地面に倒れてしまった。


「おいニャン斗、ニャン斗!」

「ニャン太郎くん。 僕は大丈夫だから、早く伏夜様の所に行って助けてあげて」

「ニャン斗、しっかりするんだ!」

「ニャン太郎くん。 僕は、イケメンだったかい?」

「ああ、ニャン斗は里見村1番のイケメン猫だよ!」


力尽きたニャン斗は少し微笑みながら気を失った。


「ニャン斗、ニャン斗!」

「ニャン太郎、ニャン斗は少し気を失っただけだ。 後から必ず助けに来るから、少し眠らせて俺たちは先へ進んで伏夜様を助けに行こう!」

「分かったよ、ニャン丸。 ニャン斗、後で必ず助けに来るから少し寝ててね」


ニャン太郎はニャン斗をそっと寝かせて、伏夜がいる方向へと進んだ。



ニャン斗の光りが無くなった八ニャン士は自分の目の光りを頼りに歩いていると、突然広い場所に出ることが出来た。そこは石灰岩の柱がいくつも立っている鍾乳洞になっていて、周りには多くの松明(たいまつ)が灯してある美しい場所だった。


「うぁ! あぶねこ洞窟の奥って、こんな神秘的な鍾乳洞になっているんだねぇ」

「そうかい? 太郎ちゃん、あたいは逆に不気味でしょうがないよ〜」


それからしばらく八ニャン士は鍾乳洞の中を歩いていると、広場の1番奥にあの大トカゲのペロンチョが待ち構えていた。


「ヒーッヒヒヒ、里見八ニャン士! やっとここまで辿り着くことが出来たなぁ!」


長い舌とシッポをゆらゆらと揺らしているペロンチョの下には、縄で縛られている伏夜が横になっていた。

暗い洞窟で悪戦苦闘している八ニャン士!

ニャン助くんに続き、ニャン平くんとニャン斗くんの雷電パワーでなんとか前に進めたのですが・・・

残った5人の八ニャン士でペロンチョを倒し、伏夜様を無事に助けることができるのでしょうか?


次回「晶の巻」をお送りします。

八ニャン士絶対絶命のピンチに、あのお方のお声が?


お楽しみニャン!

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