表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
風神雷神編
28/43

7話 獣の巻

雷ニャン神によってパワー強化の修業しているニャン平とニャン子とニャン助とニャン斗。

地味に辛い腕立て伏せ1,000回と腹筋1,000回と背筋1,000回は、雷ニャン神の悪魔の囁きによってなんとかクリアすることが出来た。


しかし猫のパワースポットであるニャイアガラの滝には、なにやら不穏な空気が漂っていた。


さらに1000回プラスされて腕立て伏せや腹筋をしている八ニャン士の前に、雷ニャン神は突然3匹の猛獣を連れて来た。さも当たり前のように猛獣を連れて来た雷ニャン神は、必死に稽古している八ニャン士に紹介した。


「今日の稽古は、俺の可愛いペットと一緒に遊んでもらうぞ。 俺のペットであるクマのマーちゃんと、トラのラーちゃんと、ゾウのウーちゃんだ!」


何の前振りもなくいきなり3匹の猛獣を紹介され、八ニャン士は目を点になる。


「あのぉ、雷ニャン神様?」

「この野生的な方々と?」

「とっても弱ぁい僕たちは?」

「どうやって遊ぶのですかん?」


すると、大きなクマとトラとゾウが鋭い目をしながら八ニャン士を睨みながら叫んだ。


「グウォー! ガォー! パォーン!」


猛獣を叫び声を聞いた八ニャン士は、ドン引きしながら顔が引きつっていた。ニャン子はゴクリと喉を鳴らし、無茶なことを言っている雷ニャン神に問いかける。


「お前さん、ちょいと待ちな。 ここはのどかで平和な里見村の里見山だよね? 何でこんな猛獣なんかいるんだい?」

「ニャン子、大丈夫だ。 このペットの猛獣ちゃんたちは、お前たちを死なせないくらいに俺がちゃんと手なずけている」

「死なせないくらいって・・・。 ひょっとして雷ニャン神様はおバカなのかい?」


そして3匹の猛獣を連れて来た雷ニャン神は、今回の修業の内容について説明する。


「ええ今日の修業は、これからこの可愛い猛獣たちと戦ってもらう。 皆んな、早く八ニャン剣を抜け!」

「さっきは猛獣と一緒に遊ぶって言ってたっすのに、いきなり戦うってそれはないっす! ああ腹減った!」

「そうだよん! こんな凶暴な猛獣にん、俺の忍術が使えるわけないだろん」

「あのぉ猛獣の皆さんさぁ、お金あげるから僕だけ許して下さいよぉ」


そんな八ニャン士のくだらない言い訳など全く聞いてない大きなクマは、怯えているニャン平を狙っていた。そしてトラはニャン子、ゾウはニャン助とニャン斗を狙うと、怯えている八ニャン士に向かってジリジリと近づいて来た。


「な、何で俺にクマのマーちゃんが来るんすか? しかも俺より体がデカいじゃねえっすか?」

「トラのラーちゃん? こんなあたいの美しいお肉を食べても、まったく美味しくないからやめときなって」

「ゾウってん、こんなに大きかったかなん? そしてこんなに鼻が長かったかなん?」

「今、パォーンって言ったよね? パォーンって?」


八ニャン士 大声を出す。


「ギャ~! 逃げろ~!」


大声を出しながら森の中を必死に逃げ回る八ニャン士を、3匹の猛獣は凄いスピードで追いかけた。


「おいおいおいおい!」

「ムリムリムリムリ!」

「やだやだやだやだ!」

「ダメダメダメダメ!」


逃げ回る八ニャン士を見た雷ニャン神は頭を抱え、怒鳴るように大声で叫ぶ。


「おい逃げるなぁ、八ニャン士ぃ! 早く八ニャン剣を抜いて猛獣たちと戦え!」

「師匠ぉ、それは無理でぇす!」


ピーッ!


雷ニャン神の指笛が鳴ると、八ニャン士を追いかけていた3匹の猛獣はピタッと止まる。


「へ? 止まった?」

「だからお前たちはダメなんだ。 いつまでも逃げてるんじゃなくて、この猛獣に立ち向かうんだよ」

「でもどうやって闘ったらいいんすか? 俺たちがこんな猛獣に勝てるわけないっすよ」

「ニャン平にも弱点があるように、この猛獣にも必ず弱点はある。 いつまでも逃げてばかりいたら、相手の弱点が見えなくなってしまうだろ?」

「雷ニャン神様ぁ、そりゃあ理屈は分かるけどさ〜。 あたいはセクシーな女猫なんだから、こんな猛獣と戦えるわけないじゃないか〜」

「ニャン子、つべこべ言わないでもう一回やるぞ!」


すると、また3匹の猛獣は八ニャン士を睨みながら近寄って来た。八ニャン士はブルブルと震えながら八ニャン剣をシュッと抜き、猛獣を見ながら気合いを入れていた。


「マーちゃん、かかって来るっす。 怪力猫のニャン平くんはやればできるっす!」

「ラーちゃん、あたいがあんたのお相手するよ〜。 今度ショッピングモールに行って、トラ柄のセクシービキニでも買っちゃおうかしら?」

「ウーちゃんはお鼻が長いからん、俺が作った煙玉ってきくのかなん? それとも金トンの術かなん?」

「僕は絶対にゾウ料理を食べないと心に決めました。 だからウーちゃん、僕を食べないでね」


「グウォー! ガォー! パォーン!」


猛獣は再び大声で叫びながらを追いかけると、また八ニャン士は一斉に逃げる。


「おいおいおいおい!」

「ムリムリムリムリ!」

「やだやだやだやだ!」

「ダメダメダメダメ!」


ピーッ!


雷ニャン神の指笛で猛獣が止まると、逃げ続ける八ニャン士に向かってもう一度気合いを入れた。


「新しい猫剣士の里見八ニャン士よ! いつまでもそうやって逃げてばかりしていたら、守らなきゃいけない大切な人を全て失ってしまうんだぞ!」


八ニャン士は雷ニャン神の言葉が胸に深く刺さる。


「いつまでもポンコツ八ニャン士で、お前たちはそれでもいいかぁ! 勇気を出して戦え、里見八ニャン士!」


雷ニャン神に激を飛ばされて下を向いていた八ニャン士は、顔を上げて目をキラリと光らせた。


「何ぃ、ポンコツ八ニャン士? おう、やってやろうじゃねえっすか! ああ腹減ったぜ!」

「ヘッ、上等だよ! そこまでコケにされたら、このあたいだって引き下がる訳にはいかないね〜」

「おうおう、俺だって里見村の忍び猫だん! お前らなんかん、忍術でやっつけてやろうじゃないのん」

「そうだよぉ。 僕がファンクラブの女猫ちゃんを守らなくてさぁ、誰が女猫ちゃんを守るんだよぉ!」


少し顔つきが変わった八ニャン士を見て、雷ニャン神はニヤリと笑う。

そして八ニャン剣を強く持って構えると、今度は八ニャン士の方から猛獣に立ち向かって行った。


「へなちょこクマのマーちゃん、俺の必殺技『ニャン平ダイナマイト』をくらうっす!」

「バカトラのラーちゃん、このセクシーニャン子さんの飛び蹴りをナメんじゃないよ〜!」

「ハナタレゾウのウーちゃん、俺の必殺の煙玉を何発もくらえよ〜ん!」

「ブサイクゾウのウーちゃん、 僕は君よりイケメンなんだから、絶対負けないよぉ!」


剣を掲げた八ニャン士は、勇気を振り絞って3匹の猛獣に突撃して行った。


「うわあああ!」


プシュー・・・


八ニャン士 目が点になる。


「へ?」


先ほどまで大声で叫んでいた3匹の猛獣は、突然空気がぬけて小さく萎んでいった。突然小さくなった猛獣を見て、八ニャン士の開いた口が塞がらない。


「はぁ? これはもしかして?」

「師匠の猛獣ってん、ただのお人形だったのかなん?」


すると、雷ニャン神は笑いながら『大成功!』と書かれているプラカードを持って立っていた。


「ハッハッハ、これは猛獣ドッキリでしたぁ! ドッキリ大成功!」


八ニャン士 コケる。

雷ニャン神の悪ふざけにニャン士は怒り狂った。


「雷ニャン神、てめぇふざけんじゃねえっすよ! このドッキリが何の修業なんすかぁ!」

「おんどりゃ〜! お前さん、これは一体どういうことか、説明してもらおうじゃないのぉ!」

「俺、本当に本当に怖かったんだよん! 本当に本当に死ぬかと思ったんだよん!」

「僕はちょっとだけチビってしまったんだよ。 イケメンの僕はお婿に行けないじゃないかぁ!」


しかし雷ニャン神は、何事も無かったかのようにケロッとした顔をしながら八ニャン士に言い返した。


「そんなこと言うけどよぉ、最後にお前たちはあの猛獣に立ち向かったじゃねぇかよ。 やればできるくせに」


意外な言葉を雷ニャン神から言われ、怒り狂っていた八ニャン士は急に黙る。


「大トカゲのペロンチョが出てきた時だって、皆んなビビって何も動けなかったろ? もしお前たちがこの修業でパワーを強化したとしても、こうやって逃げてばかりじゃ何もならないだろうがぁ!」


返す言葉がなく、小さくなる八ニャン士。


「ま、まぁ。 確かにそうっすね」

「お前たちは敵と戦う前から気持ちで負けてんだよ」

「そんなこと言われてもさぁ、あたいはか弱い女猫なんだよぉ」

「今日はそれを理解してもらう為の稽古だったんだ。 だから、ただのドッキリじゃねえんだぜ!」


やっと理解した八ニャン士は横一列に並んで、力強く返事をした。


「そうだったんですね。 分かりましたぁ!」


それを見た雷ニャン神はホッと一安心して、フッと優しく微笑えんだ。



すると雷ニャン神の後ろから何やら大きな物影が動き、森の動物や鳥たちが一斉に逃げて行った。

雷ニャン神の後ろから現れたのは、里見山しか存在しない凶暴な大サルの『マジックモンキー』だった。マジックモンキーは大声を上げ、自分の胸をドンドンと強く叩く。


「ウキウキウッキー!」


しかし大きくて凶暴なサルを見ても、ビビりの八ニャン士は全く怖がらない。なぜなら八ニャン士は先ほど雷ニャン神にドッキリをかけられたばかりだから、さすがに二度目は驚かなかった。


「へっ、どうせこのデカいサルも、師匠が仕組んだ人形なんだろ? もう俺たちは騙されねぇぜ!」

「ヘッ、いい加減におしっ! あたいをナメんじゃないよ〜」


前まで逃げてばかりしていた八ニャン士は、全く怖がらずにマジックモンキーに立ち向かって行った。


「うおおお!」


八ニャン剣を振り回してマジックモンキーと戦っている八ニャン士を遠くで眺めていた雷ニャン神は、勇敢に戦う八ニャン士の姿を見て満足そうに笑った。


「よしよし、少しは稽古の成果が出たみたいだな。 ならば、俺もひさびさに暴れるかぁ!」


雷ニャン神は華麗な雷ニャン剣を抜いて構えると、剣先からバチバチッと火花が散った。


「雷ニャン剣奥義 避雷針(ひらいしん)!」


説明しよう

雷ニャン神は雷を操ることができる猫剣士である。避雷針とは人や建物に被害がないように、ワザと雷を落とす鉄塔や鉄柱のことである。


雷ニャン神は光った剣を地面に突き刺すと、空から激しい雷が大きなサルの頭に落ちて来た。強烈な雷をうけたサルは丸こげになり、里見山の森の中へ逃げて行った。

初めて雷ニャン神の大技を見た八ニャン士はドン引きする。


「師匠ぉ? あの雷の技はなぁにかな?」


ご機嫌な雷ニャン神は剣を納め、マジックモンキーと勇敢に戦った八ニャン士を褒めた。


「お前たち、やれば出来るじゃねぇか。 あの大きなサルと戦うなんて、今回猛獣の稽古をした甲斐があったぜ!」

「だって、あの大きなサルも師匠の人形でしょ?」

「ハッハッハ! あれは俺の可愛いペットじゃなくて、里見山の本物の猛獣だ! だから俺もちょっとヤバいと思って、雷ニャン剣で倒したんだよ」


八ニャン士 目が点になる。


「へ? あの大きな猿は師匠の人形ではにゃい?」

「んなワケねぇだろ! いやぁ、里見山にはいろんな猛獣がいて楽しいな。 ハッハッハ、皆んな笑え笑え!」


雷ニャン神は腰に手をあてながら笑っていたが、真実を知った八ニャン士は全員顔が引きつっていた。


「ハ・ハ・ハ・・・まったく笑えにゃい」

雷ニャン神の言う通り、戦う前から逃げてはいけませんね。

でも猛獣から逃げていた八ニャン士が大きなサルと戦ったなんて、少しは克服出来たような気がします。

里見山には凶暴のマジックモンキーがいますので、登山する時は気をつけましょうね。


次回「速の巻」をお送りします。

風ニャン神のスピード強化の修業で得たものとは?


お楽しみニャン!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ