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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
風神雷神編
22/43

第1話 集の巻

江戸時代後期、曲亭馬琴(きょくていばきん)によって描かれた長編伝奇小説


南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでん


室町時代に里見家の伏姫ふせひめと八犬士たちが、あらゆる敵と戦う痛快娯楽の物語。

仁義礼智(じんぎれいち)忠信考悌(ちゅうしんこうてい)の8つの徳目をもった八犬士の活躍は、今もなお映画や舞台で表現され、多くの人々がこの物語を知っていることであろう。


いや、知っている人だけ知っている有名な物語である。


しかしここに描かれている『里見八ニャン伝』とは、山里外れた里見村を守る為に8人の猫剣士があらゆる敵と戦うスペクタル・アドベンチャー・ストーリー!


と言いたいところだが、どうやらそうではないらしい。


村長の娘の伏夜が、猫の守護神である大猫神様を助けたことによって作られた里見八ニャン士。

性格がバラバラで個性的な八ニャン士のおかげで、里見村のダム建設計画を中止することができた。

そして猫上様から里見村と伏夜を守ることを命じられた。


はたしてこれから八ニャン士は、里見村と伏夜を守ることができるであろうか?


「里見八ニャン伝」は、そんな8人の猫たちのドタバタハチャメチャな物語である。


日本の山奥のさらにまた奥に東野郡(とうのぐん)という集落があり、そこに里見村(さとみむら)という小さな村があった。隣の大和田村(おおわだむら)が国から賄賂を貰っていたというあのダム建設計画事件から数日が経ち、里見村はしばらく平和な日々が続いていた。

里見村の猫剣士である八ニャン士はそれぞれの家で(あるじ)に仕え、お互いに交流はしないままゆっくりと暮らしていた。なぜ八ニャン士がお互いに交流しないかというと特に意味はなく、そもそも猫は自由気ままな生き物であるからそれはしょうがない。


そんなある日のこと、里見村一番地にある村長の似星(にぼし)連太郎の家で、1人娘の伏夜(ふせよ)はが大声を出しながらニャン太郎を必死に探していた。

ちなみにこの家が騒々しいのは毎度のことで、伏夜の大きな怒鳴り声は里見村でも有名である。


「ニャン太郎ぉ! ニャン太郎はどこぉ?」

「はいはい伏夜様。 また大声出してどうしたんですか?」

「さっきからお父さんとお母さんがいないんだけど、どこに行ったかニャン太郎は知らない?」

「ああ、それならダンナ様と奥様は先ほど温泉旅行に出かけて行きましたよ」

「はぁ? 温泉旅行?」


それを聞いた伏夜はブルブルと怒り震えると、イヤな予感をしたニャン太郎は怯えながら耳を塞いだ。

なぜなら伏夜の怒鳴り声はハンパないのである。


「まったく〜! ま〜た〜私を置いて〜、二人で温泉に行きやがったな〜!」

「ヤバい、伏夜様がキレた」

「今夜のご飯は〜、一体どうすんのよぉぉぉ!」


伏夜の怒鳴り声が外にまで響くと、その声に驚いた通行人やバイクが激しく転倒した。ニャン太郎はフラフラしながら、伏夜の怒りを抑えようとしていた。


「ふ、伏夜様、そんなに大声を出さないで下さい。 ダンナ様と奥様の仲がいいのは良いことですから」

「ニャン太郎、なぁにノンキなことを言ってるのよ! お父さんなんか毎日毎日『今日の晩御飯はどうするんだ』って私に言ってくるくせにぃ」

「ええ! 晩御飯のこと毎日言ってるんですか? 前に晩御飯のことで伏夜様の家出事件があったのに、本当にダンナ様は懲りない方ですね」


かつて晩御飯の件で伏夜が家出をするとかしないとかで、似星家ではかなり揉めたことがあった。


「まったくぅ、旅行に行くなら行くで早く言ってよね! とにかく今から私は買い物に出かけるから、ニャン太郎は家の留守番をしててね」

「はぁい、かしこまりましたぁ」


伏夜は買い物かごをかかえ、プリプリと怒りながら1人で買い物に出かけた。玄関で伏夜を見送ったニャン太郎は、嫌な汗をふきながら溜息をついた。


「やれやれ、この家はいつもドタバタしてるよ。 それにしてもあの伏夜様の怒鳴り声も問題だよなぁ」


そんなことを呟いていると、ニャン太郎の首についている『仁の玉』が光り出した。


「あ、久しぶりの猫上様だ。 一体何だろう?」


それは里見山の里見神社に住んでいる猫上様からの連絡だった。


「ホーッホッホッホ、八ニャン士の諸君! 今すぐ私の神社に集まりなさぁい!」


ニャン太郎 首をかしげる。


「八ニャン士は集まりなさいって、猫上様急にどうしたんだろう? とにかく伏夜様に置手紙をして、神社へ行ってこよう。 メモメモ」


『伏夜様、すみません。 猫上様から呼び出しがあって今から神社に行ってきます。 太 』


ニャン太郎はテーブルに手紙を置いて、里見山にある里見神社へ向かった。



ニャン太郎が急いで神社にたどり着くと、神社の境内にはすでに八ニャン士が全員集まっていた。


「チッ、ニャン太郎、オメェは相変わらず遅せぇなあ。 俺はさっきからお前にイライラしてケンカしたくなったぜぇ」

「ニャン太郎、久しぶりだけど元気かにゃ? キューティーニャン蜜ちゃんは相変わらず可愛いにゃん!」

「よう、ニャン太郎。 お前はいっつも来るのが遅いからん、また忍術の勉強をした方がいいなん!」

「ガッハッハ! 何だ、浦島ニャン太郎は今ここに来たっすか! ああ腹減った!」

「おやおや、太郎ちゃんご機嫌ようだね〜。 お前さん、元気にしてたか〜い?」

「やあ、ニャン太郎くん。 僕はイケメンだからさぁ、君が遅れたって全然怒らないよぉ」

「あ、ニャン太郎くん、お久しぶりです。 僕は早く家に帰りたいです」


久しぶりに会った八ニャン士の姿を見て、ニャン太郎はキラキラした目をしながら笑った。


「やあ、皆んなぁ! 本当に久しぶりだねぇ!」

「チッ、またお前はキラキラしやがって! ところでカミオは、また何で俺たちを神社に呼んだんだ?」

「さあねぇ。 またくだらにゃいギャグや説教とかでいちいち呼ばれたんじゃ、たまんにゃいにゃあ」

「俺は忍び小屋で煙玉を作っていて忙しいんだよん」

「あたいだってエステとかネイルとかあるんだから、こう見えて暇じゃないんだよ〜」

「皆んな大丈夫だよぉ。 僕たちはいい猫たちだからさぁ、きっと素晴らしいご褒美があるんだよぉ!」

「あ、僕は説教は嫌いです。 だから早く家に帰りたいです」

「おう、カミオはどこっすか? 俺は腹が減ってるっす!」


ちなみに猫の神様である猫上様の本名は猫山上王びょうざんじょうおうと言い、八ニャン士はそれを『ネコヤマカミオ』と読み間違いをしてから『カミオ』と呼んでいる。


すると、どこからかあの老人の声が聞こえて来た。


「だ〜れ〜が〜カミオじゃあ!」


里見神社が光り輝きいきなり扉が開くと、その中から白装束の猫上様が現れた。


「ワシは猫の神様である猫山上王であ〜る!」


八ニャン士 目が点になる。


「帰ろ帰ろ」

「待て待て、ワシを1人にしないで」


それから猫上様は神社の台に立ち、八ニャン士を見下ろしながら笑っていた。


「ホーッホッホ! 八ニャン士よ、久しぶりじゃな」

「お久しぶりです、カミオいや猫上様。 どうしてまた皆んなをここへ集めたんですか?」

「ホッホッホ、特に意味はない。 なんだか神社に1人でいると暇で暇で、お前たちを呼んだのじゃ!」


八ニャン士 コケる。


「コラッ、カミオ。 そんなことでいちいち俺たちを呼ぶんじゃねぇ! バカバカしいから本当に帰るぞ」

「冗談じゃねぇっす。 皆んな、帰るっすよ。 ああ腹減った!」

「まあ待て待て、うそじゃうそじゃ!」

「だからさぁ、集めた理由を早く言ってにゃん」


すると、今度は猫上様は深刻な顔をして語り始めた。


「実は昨夜ワシの枕元に、あいつがやって来たんじゃ」

「あいつ? あいつって誰ですか?」


猫上様は八ニャン士に向かって大声で叫ぶ。


「恐ろしい大トカゲの妖怪『ペロンチョ』じゃあ!」


その妖怪の名前を聞いた八ニャン士は大声を出す。


「ええええ! 大トカゲの妖怪ペロンチョ〜?」

「そうじゃ。 近いうちにあの恐ろしいペロンチョが、この平和な里見村にやって来るのじゃ!」

「ペロンチョだなんてん、ふざけた名前だなん」

「にゃんだか名前だけでも気持ち悪いにゃあ」


猫上様は神社の床に座り、ペロンチョのことについて八ニャン士に語り始めた。


「昨夜ワシが神社でウトウトしていると、こんなことがあったのじゃあ・・・」


(回想)

ワシが寝ているとだな、枕元から白い煙りが出てきたんじゃ。 その煙りは大きなトカゲの妖怪だった。


「な、何ヤツじゃ!」

「ヒーッヒヒヒ! おい猫上、久しぶりだなぁ」

「ペロンチョ、お前はまだ生きておったのか」

「ヒヒヒヒ、やっとお前を見つけたぜぇ。 今度『猫水晶(ねこすいしょう)』を取りにこの村に来るから、大人しく待ってなぁ!」

「なにぃ、猫水晶じゃと?」

「ヒヒヒヒ! その水晶を食べると、不思議なパワーがつくんだよ」

「猫水晶は猫世界にとって大切なものなんじゃ。 お前なんぞに水晶を渡すもんかぁ!」

「ヒヒヒヒ! 猫上、覚悟しろよ」

「クソ、ペロンチョめ! どうしたらいいもんかのぉ」



「・・・ということなんじゃ」


猫上様は深刻な顔をしながらペロンチョについて語った。ペロンチョの話しを聞いた八ニャン士は、全員青ざめた顔をしながら喉を鳴らした。


「ゴックン! なんだかこれって、ヤバくにゃい? ってかペロンチョって、にゃに? 

八ニャン士は久しぶりの再会を喜んだのも束の間、猫上様から村にペロンチョが来ることを告げられた。

はたして、大トカゲの妖怪ペロンチョとは一体何者なのでしょうか?

それにしても名前がペロンチョって、なんかキモい。


次回「師の巻」をお送りします。

ペロンチョを倒す為に、あのイケメン猫の剣士たちがやって来た!


お楽しみニャン!

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