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里見八ニャン伝  作者: ワタベミキヤ
猫剣士立志編
18/43

第18話 喰の巻

4年に一度開催される『東野郡大食い選手権大会』が始まり、里見村予選会ではニャン平とニャン丸とニャン蜜とニャン吉が大食いに挑んだ。

しかし意気込んでいたニャン丸が、1回戦で早くも脱落してしまった。


はたして、誰がこの予選で勝ち残ることができるのか?

予選1回戦の『村中華パラパラしっとりチャーハン』が終わり、チャーハンを食べ過ぎで倒れているニャン丸をニャン平は冷たい目で見下ろしていた。


「ったく、だらしねぇヤツっすな。 マル、お前そんな少食でよくこの俺と闘う気になったっすな?」

「チッ、うるせぇ! 俺はお前と違って繊細な体をしてるんだよ! ああ、腹いっぱいで動けねぇ」

「繊細な体って、お前チャーハンを半分しか食ってねぇじゃねっすか! ニューハーフのミッチーより食べてないって情けねぇっす!」

「ちょっとニャン平、そのミッチーってやめてにゃ。 私はキューティーニャン蜜ちゃんにゃの!」

「ガッハッハ! それに比べてミッチーはニューハーフのわりに結構食べたみたいっすね、感心感心。 まぁ、でも次の予選ではお前を倒すっす」

「やれるもんにゃら、やってみにゃさいにゃ。 この大食い猫のアホカバトン平!」

「だ~れ~が~アホカバトン平っすかぁ! いくら可愛いニューハーフだからって、俺は手加減しねぇっす!」


ニャン平とニャン蜜が八ニャン剣をシュンと抜き、バキバキとお互い睨み合っていた。



予選2回戦の料理のテーマがアナウンスされると、会場にいる観客の声が上がった。


「さてさて2回戦のテーマは『アーメン、ソーメン、僕チャーシューメン』です! 1時間でチャーシューメンを何杯食べるかを競います!」

「おおおお、今度はチャーシューメンだぁ!」


体の大きいニャン平は2回戦のテーマを聞いて、また興奮しながら笑っていた。


「ガッハッハ、肉肉しいチャーシューメンはまたまた俺の大好物っす! ああ腹減った!」

「私もラーメンは大好きだけどチャーシューが意外と苦戦するから、軍師としてはにゃにか作戦を考えるにゃん!」

「あ、僕は何でここにいるのでしょ? 早く帰りたいです」


「では大食いチャーシューメン! よ〜い、バン!」


スタートの合図が鳴ると、長いテーブルに座っているエントリー者は一斉にチャーシューメンを食べ始めた。


「おりゃおりゃおりゃ、俺様は何杯でもチャーシューメンを食べてやるっす!」

「ふうふうふ~、ふうふうふ~」

「ズルズルズル、ズルズルズル」


大食いのニャン平の勢いはさらに増し、何杯も熱いチャーシューメンを食べる。


「まだまだまだぁ、ぜんぜん余裕っす! もっとチャーシューメンを持ってこいっす!」

「ふうふうふ~、ふうふうふ~」

「ズルズルズル、ズルズルズル」


「ピーッ! はい、終了です!」


2回戦のチャーシューメンの大食いが終了し、またエントリー者の半分が脱落した。そしてニャン平とニャン吉が次の3回戦に進み、意気込んでいたあのキューティーニャン蜜が脱落した。


「おい、ミッチー。 お前ずっとふうふうふ〜してたけど、ひょっとして猫舌っすか?」

「あんにゃ熱いチャーシューメンを、ガバガバ食べてるあんたがバカ舌にゃんだにゃ! ああ、あっちいにゃあ」


さっきチャーハンを食べ過ぎて寝転んでいるニャン丸が、全く意味の無い意地をはる。


「チッ、チャーシューメンなら俺は何杯でも食べられたけどな。 最初にチャーシューメンをやれよ!」

「まだそんなことを言ってるっすか、お前は。 少食の白いマルちゃんは、黙ってそこで寝てるっす」

「私だってねぇ、チャーシューメンがあんにゃに熱くなかったらもっと食べれたにゃん!」

「ミッチー、試合が始まる前にチャーシューを食べる作戦とか何とか言っておきながらっす、そもそも猫舌じゃあ意味ねぇっすだろ? そもそも猫の舌って猫舌っすか?」

「いいじゃにゃい。 猫の舌のことは猫舌って言わにゃいけど、猫舌の猫ちゃんってにゃんか可愛いにゃん!」

「ミッチー、俺はお前の言っていることがさっぱり分からんっす。 早く家に帰って、兵法のお勉強でもしなさいっす」


ニャン平はそう言いながら、1人ポツンと立って知恵の輪をしているニャン吉を横目で見つめた。


「それにしても、意外とニャン吉がいつまでもシレーッといやがるっすなぁ。 しかもあんなにモグモグズルズルしてたのに、今は平気で知恵の輪なんかしてるっす」

「あ、僕は何でここにいるのでしょ? 早く帰りたいです」

「もしかして小声で小柄のニャン吉は大食い大会のダークホース、いや猫だけにダークキャッツっすか?」



予選3回戦の料理のテーマがアナウンスされると、会場にいる観客の声が上がる。


「さて3回戦のテーマは『ギョギョギョーギョ・ギョーギョギョ餃子』です! 1時間で餃子を何個食べるかを競います! これで勝者が決まります!」

「おおおお、今度は餃子だぁ!」


3回戦のテーマを聞いたニャン平は、鼻息を荒くして興奮していた。


「ガッハッハ、ギョギョギョ餃子はまたまたまた俺の大好物っす! ああ腹減った!」

「あ、僕は何でここにいるのでしょ? 早く帰りたいです」

「おいニャン吉、お前が残るとは想定外っす。 その小っちゃい声した小っちゃい体で、よくここまで来たもんすね」

「あ、僕は何でここにいるのでしょ? 早く帰りたいです」

「さっきから帰りたい帰りたいって、テメェふざけるじぁねえっす! 里見村予選の勝者は、俺様のものっす!」


「では、大食い餃子! よ〜い、バン!」


アナウンスからスタートの合図が鳴ると、長いテーブルに座っているエントリー者は一斉に餃子を食べ始めた。


「こんにゃろこんにゃろこんにゃろ、俺様は何十個でも何百個でも餃子を食べてやるっす!」

「パクパクパク、パクパクパク」


ニャン平は勢いよく何個も餃子を食べていると、隣にいるニャン吉は一定のペースで餃子を食べていた。


「まだまだまだぁ、ぜんぜん余裕っす! このニャン平様にもっと餃子を持ってこいっす!」

「パクパクパク、パクパクパク」


なぜか一定のペースで餃子を食べているニャン吉に向かって、ニャン平はコソコソと話しかける。


「おい、ニャン吉。 お前はとっくにお腹いっぱいで、本当はギブアップっすだろ?」

「パクパクパク、パクパクパク」

「おい、さっきからパクパクパク食ってないで諦めろっす。 所詮、お前はこの俺様には勝てないっす!」

「パクパクパク、パクパクパク」

「うっ、こいつはなんなんだっす? この小声で小柄の体で、異常な食欲は一体どこにあるのだっす? ならば!」


するとニャン平は周りをキョロキョロしながら、テーブルの下でニャン吉にDVDをこっそりと渡す。


「おい、ニャン吉。 俺は新しい『ニャニャイロXYZ』のDVDを手に入れたっす」

「ピクッ! 新しいニャニャイロのDVDだと?」


その猫アイドルのDVDを見たニャン吉は顔が変わり豹変する。3回戦が始まる前にニャン平はこうなる事を予想して、あらかじめニャン吉の好きな猫アイドルのDVDを隠し持っていたのだ。


「しかも、ニャニャイロのデラックスDVDっす! これはある秘密ルートから極秘で手に入れたDVDで、頭がブッ飛ぶほどヤバいやつっす!」

「おいニャン平、そのDVDをどこで手に入れた? ニャニャイロのデラックスDVDは数少ない限定版だから、さすがにこの俺も持ってねぇぞ!」

「だろ? だから予選会を降参したらっすね、ニャン吉先生にこのデラックスDVDをタダで渡してもいいっすよ」


それを聞いたニャン吉は目の色が変わる。 


「なんとぉぉぉ! 俺は餃子なんかパクパク食ってる場合じゃねぇ! こんな大会早く降参するから、そのニャニャイロのDVDを俺によこせぇ!」


ニャン吉はニャン平が持っていたDVDを口で奪い取ると、爆走しながら会場を出て行った。

豹変したニャン吉を見たニャン丸とニャン蜜は、ポカンと口を開ける。


「ニャン吉のやつ、餃子じゃなくてDVDを食べて出て行きやがった」

「私は見なかったことにするにゃん」


「ピーッ! はい、終了です!」


3回戦の餃子の大食いが終了し、大食い選手権大会の予選が終了した。途中棄権して会場を出て行ったニャン吉は当然敗退し、何個も餃子を食べたニャン平はすでに勝ったような気になっていた。


「ガッハッハ! 大食い大会予選の勝者は、この怪力猫のニャン平様っす!」


審査員が厳密に餃子の数を数え、いよいよ予選会の結果発表のアナウンスが流れる。そして10位から順番に発表され、いよいよ第2位の発表となった。


「いよいよ第2位の発表です! 第2位は・・・」

「第2位は?」

「里見村8番地のニャン平くんです! おめでとうございます!」

「おおおお、あの怪力猫のニャン平かぁ!」


会場にいる観客はニャン平の健闘に拍手を送ったが、ニャン平だけが目が点になる。


「へ、俺が2位っす? ニャン丸もニャン蜜もニャン吉もいないのにっすか? じゃあ1位は誰っすか?」

「そして第1位は・・・」


「大食い猫アイドルのニャン姫ちゃんです! おめでとうございます!」


八ニャン士 コケる。


説明しよう。

ニャン姫とは、前に開催された『第56回里見村ニャン姫コンテスト』の優勝者のことである。


ニャン姫は喜びながらステージに上がり、会場にいる観客に向かって笑顔で手を振っていた。


「やったやったぁ、ニャンニャンニャン♡」

「ニャン姫さん、ニャン姫コンテストと大食い大会予選の優勝おめでとうございます。 これから里見村の代表として、東野郡大食い選手権大会に出ていただきます!」

「私はぁ、里見村の代表としてぇ、がんばるニャン! ニャンニャンニャン♡」

「すばらしい! ではニャン姫さん、ここにいる里見村の皆さんに向けてメッセージをお願いします!」

「里見村の皆んなぁ、私をいっぱい応援してニャン! ニャンニャンニャン♡」

「ありがとうございます! 優勝したニャン姫ちゃんには、このまま歌っていただきましょう! 歌はもちろん、今大流行の『猫ジャラシで捕まえて』です!」


それからニャン姫のワンマンライブが始まり、大食い選手権大会の会場はさらに盛り上がっていた。


「猫ジャラシで〜♪ 私を〜♪ つ・か・まえて〜♪」

「ニャン姫ちゃ〜ん、ニャンニャンニャン!」


その盛り上がっているコンサートを見ていた八ニャン士は目が点になる。


「にゃにゃにゃ。 まさか、ニャン姫ちゃんが大食い大会に参加してたにゃんて。 あんにゃに可愛いのに大食い猫アイドルだにゃんて、本当に恐ろしい女猫だにゃあ」

「ケッ、俺はさっきのチャーハンでまだお腹いっぱいで気持ち悪いぜぇ。 さぁ、帰ろ帰ろ」

「あ、僕は何でここいるのでしょ? 早く家に帰ってニャニャイロのDVDが見たいです」


チャーハンとチャーシューメンと餃子を食べ過ぎたニャン平は、口から泡を拭きながら倒れた。 


「ニャン姫が優勝? いったいあいつはどんだけの量を食べたんすか・・・バタン!」


そして倒れたニャン平は愛牛である『鉄平牛(てっぺいぎゅう)』の背中に乗せられ、トボトボと家に帰って行った。

大食い大会の予選の勝者は、なんとあのニャン姫ちゃんでしたぁ!

しかし里見村代表のニャン姫ちゃんは撮影会がある為、東野郡大食い選手権大会はあっさりと棄権したみたいですよ。

ニャン平くんは大食い猫アイドルのニャン姫ちゃんに負けないように、また4年後がんばりましょうね。


さて次回は「疑の巻」をお送りします!

ダム建設計画で里見村が沈められる? 八ニャン士は村を守ることができるのか?


お楽しみニャン!


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