第12話 忍の巻
毎月開催されているニャン助忍術講座で、ニャン太郎とニャン子とニャン丸は忍術を学んでいた。
しかし忍術を学ぶはずの八ニャン士は、ニャン助の『煙トンの術』でひどい目にあってしまった。
はたして、これからどんな厳しい忍術の訓練が待っているのか?
ニャン助の煙トンの術でひどい目にあった八ニャン士は、次なる忍術を学んでいた。短気のニャン丸とニャン子はまだイライラしていたが、ニャン助は煙玉のことなど何も無かったかのように平然と話していた。ニャン助の煙トンの術でひどい目にあった八ニャン士は、次なる忍術を学んでいた。
短気のニャン丸とニャン子はまだイライラしていたが、ニャン助は煙玉のことなど何も無かったかのようにシラッと話している。
「はいは〜いん、次は『水トンの術』を行うよ〜ん!」
「チッ、さっきの煙玉にはひどい目にあったぜぇ! ゴホゴホッ、まぁだ喉が痛えよ」
「所詮ニャン助の忍術なんてさ〜、あたいは初めっからイヤな予感しかしないよ〜」
「ハハハ、さっきはの煙玉は冗談だよん。 次の忍術はマジですごいぞん!」
煙玉の作り方を失敗したニャン助は、冷や汗をかきながら慌てて忍術の話しを進める。
「水トンの術は川や海に潜って敵の屋敷に忍びこんだり、襲って来た敵から逃げたりするアレだよん!」
「ニャン助師範代、それは忍者ウットリくんでもよくやっている忍術でござるね。 ニンニン!」
「ヘッ、またダセェ忍術だなぁ。 それって竹をくわえてプカプカと泳いでいくアレの事だろ?」
「あ〜やだやだ。 なんでセクシーなこのあたいが、そんなことしなきゃいけないんだよ〜」
「水トンの術は忍術でも基本中の基本だよん。 ではまず水トンの術をやる前にん、皆んなにはこんなふうに着替えてもらうよ〜ん!」
ニャン助はそう言いながら着ていた自分の服を脱ぎ、急いでたたんで風呂敷に包み、それを頭の上に乗せた。
そしてニャン助は赤いふんどし姿のまま、ドヤ顔で仁王立ちしていた。
「ジャジャーン! これが正式な水トンの術の姿だよん。 皆んなも俺と同じように着替えてねん」
「おいおい、そんなダセェふんどし姿にならなきゃいけねぇのかよ。 ヘッ、俺はやりたくねぇよ!」
「あたいも絶対にヤダねっ! 何でこのセクシーなあたいが、真っ赤なふんどし姿にならなくてはいけなのさ~」
「ニャン丸とニャン子はいちいちうるさいなん。 じゃあ3人とも好きな格好でいいよん」
それから八ニャン士は水トンの術の為に着替え始めると、まずはニャン太郎がニャン助の前に出て来た。
「ニャン助師範代、着替えたでござるよ。 ニンニン!」
「ところでニャン太郎、何だその格好はん?」
ニャン太郎はウェットスーツに酸素ボンべと足ヒレをつけていて、まるでスキューバダイビングをするような格好をしていた。ニャン助はニャン太郎の姿を見て、まるで漫才のネタのようにノリ突っ込みをした。
「そうそう。 ちゃんとボンベの酸素の量を確認して、海にダイビングして可愛い熱帯魚さんと遊んで楽しいって・・・おい! お前は昔流行った丸の内OLの休日の過ごし方かん!」
「はい、すみませんでござる。 僕はてっきり休日を満喫するのかと思っていたでござるよ。 ニンニン!」
「バカ者ん、早く着替え直してこいん! 最近のニャン太郎はん、真面目なのかボケているんだかさっぱり分からん」
「ヘッ、俺も着替えたぜ。 これでどうだ!」
次に登場したニャン丸は派手な海パンに浮き袋と水中メガネをつけて、まるでリゾートへ遊びに行くような格好をしている。ニャン助はニャン丸の姿を見て、また同じようにノリ突っ込みをしていた。
「そうそう。 そのままリゾートホテルのプールに入っちゃって、可愛いお姉ちゃんを見ながらカクテルで飲んで美味しいって・・・おい! お前は昔流行ったIT系男の休日の過ごし方かん!」
「チッ、いちいちうるせぇな、別にふんどし姿じゃなくたっていいだろ? あと、俺は浮き輪が絶対に必要なんだよ」
浮き輪が必要と聞いたニャン助はニャン丸を疑う。
「はっは~ん。 浮き輪が必要ってん、ひょうとしてお前はカナヅチだなん? 暴れ猫のニャン丸は泳げないんだろん」
「バカヤロウ、ただ俺は顔を水につけるのがちょっと苦手なだけなんだよ」
「いいからニャン丸も早く着替え直してこいん! あれ? ところでニャン子どこだん?」
ニャン助はキョロキョロ見渡すと、いつの間にかニャン子の姿が見当たらない。すると周りが急に暗くなり、いきなりスポットライトが当たった。
「ホーッホッホッホ! 今度はあたいの番だね~!」
そのスポットライトから出てきたニャン子は、忍者の手裏剣が胸についている『手裏剣ビキニ』になって登場した。そして突然セクシーな水着になったニャン太郎とニャン丸は、目が点になりながら顔が赤くする。
「ホーッホッホ! セクシーな手裏剣ビキニのあたいを〜、ナメんじゃないよ〜!」
「ニャン子ちゃん? さすがにその手裏剣ビキニは、水トンの術ではないと思うよ」
「ニャン子はこの前やってたあのニャン姫コンテストで、ちょっとキャラが変わったのか?」
説明しよう。
『ニャン姫コンテスト』とは、里見村で1番美しい女猫を決めるコンテストである。以前このコンテストでニャン子はド派手なパフォーマンスを披露したが、見事に落選してしまった。
ニャン太郎とニャン丸は呆れていたが、なぜかニャン助だけがニャン子の手裏剣ビキニを見て興奮している。
「シッシッシ! ニャン子ちゃ〜ん、君はとてもすばらしいよ〜ん。 合格だ〜ん!」
「ん? なんか、ヤバいことになった?」
「ニャン子ちゃんは、最高のくノ一だよ〜ん! ニャン助師範代のお部屋へおいでよ〜ん♡」
目がハートになり我を忘れたニャン助は手裏剣ビキニ姿のニャン子に抱き着こうとしたが、当然ニャン子の怒りが爆発する。
「忍術師範代のお前が〜、あたいの『お色気の術』にかかってど〜すんのさ〜! このニャンドスケベが〜!」
ニャン子の得意の飛び蹴りが出て、ニャン助はまたどこか遠くへ飛んで行った。
10分後。
「ええ最後はん、『金トンの術』を行うよん!」
「金トンの術? ニャン助師範代、それは聞いたことないでござるねぇ? ニンニン!」
「ニャン助? お前は今日2回もニャン子に飛び蹴りされて、だんだん体がボロボロになってきてねぇか?」
「ったく、このニャンドスケベが! 今度スケベなことをやったら、地球の果てまで蹴ってやる!」
イライラしているニャン子を無視して、ニャン助はまたシラっと忍術講座を進める。
「この金トンの術とはん、敵が襲いかかった時に逃げる為の最高の術だよん!」
「チッ、また逃げる忍術なのか? お前さっきから逃げている忍術しかねぇじゃね〜か?」
「ニャン丸はまだまだ甘いんだよん。 逃げるは恥だが役に立つんだよん!」
「ちょいとお前さん。 それって、な〜んかどっかで聞いたことあるようなセリフだね〜」
「ところでニャン助師範代、その金トンの術というのはどうやるんでござるか? ニンニン!」
するとニャン助は、またドヤ顔をしながら仁王立ちをしていた。なぜならこの金トンの術は、ニャン助自慢の術だからである。
「それは大勢の敵から逃げる時にん」
「敵から逃げる時に?」
「敵の様子を伺いながらん」
「敵の様子を伺いながら?」
「お金をきれいにバラまくのだよ~ん!」
ニャン太郎とニャン子とニャン丸 コケる。
「お金をバラまくって本当でござるか? 本当にそんな忍術があるんでござるか? ニンニン!」
「ちょいとお前さん! 金トンだか栗きんとんだか知らないけど、なんだかピンと来ない忍術だね~」
「ヘッ、そうだそうだ。 この変な忍術は、実際に見せてくれないと分からんなぁ」
「見せるも何もん、ただお金をバラまくだけだよん」
ニャン助がいくら説明してもニャン子とニャン丸は全く納得していないというか、知らないふりをしている。
「いやいや、その説明だけじゃあ分からないね~。 ねぇニャン丸、あんたもそう思うだろ〜?」
「そうそう、早くその金トンの術をニャン助師範代が見せてくれよ。 なぁニャン子」
「もう、しょうがないなん。 じゃあニャン助師範代が金トンの術をやるから、よく見てるんだよん」
それを聞いたニャン丸とニャン子は、お互い嫌らしい顔を見ながらニヤリと笑う。そうとも知らずニャン助は服の懐に手を入れて、自慢の金トンの術を披露した。
「大勢の敵がん」
「大勢の敵がぁ?」
「こっちへ向かって来たらん」
「こっちへ向かってきたらぁ?」
「こうだよ〜ん!」
ニャン助は服の懐からガマグチの財布を出し、空高くお金をバラまいた。
「やったぁ!」
ニャン丸とニャン子は必死にニャン助のお金を拾い集め、その場から逃げ去って行った。
「ハハハハ、バ〜カ! お前はずっとそこでお金をバラまいていろっ。 逃げろ〜っ!」
「キャハハハ、お金いっただき〜! あたいはこれでエステに行こ〜。 じぁね〜!」
お金を持って逃げるニャン丸とニャン子を、ニャン助は泣きながら必死で追いかけた。
「待って〜ん! 俺のお金を返してくれよ~ん!」
走っている3人を見ていたニャン太郎は目が点になり、東野川の河川敷でポツンと一人で立っていた。
「む、むごいでござる。 ニンニン!」
まぁ普通にお金をバラまいてしまったら、盗まれることは間違いないでしょうねぇ。
このニャン助忍術講座で、本当に里見村を守ることが出来るのでしょうか?
この物語を読んでいる良い子の皆さんは、ぜったいにニャン助のマネをしないようにねん!
次回「信の巻」をお送りします。
八ニャン士の仇を取る為に、暴れ猫ニャン丸が1人で敵と立ち向かう!
お楽しみニャン!




